日別アーカイブ: 2013年8月29日

川崎律子 歯科衛生士

 昼下がり、
診療所の自室で
患者さんが来られるのを
待っていた。

 携帯電話の
着信のバイブレーションに
大学からだろうと、
電話を手にしたら
新潟の歯科衛生士の
川崎律子女史であった。

 随分とご無沙汰であったが、
相変わらずの
爽やかな川崎節は
健在であった。

 川崎女史とは
若い時分からの
顔見知りである。

 彼女は、
今は亡き原田富一先生の
一番弟子であった。
先生が御在命で在ったなら、
彼女の活躍を
一番に喜んでいるに違いない。
何れにしても、
原田先生は
この世に確かに
自身の歯科DNAを
遺したのである。

 電話で、
私の診療所の宮田君の
トレーニングを
是非にとお願いした。

 此の秋からは
宮田君も毎月
新潟へと
通う事になった。

 世に云う
名の通った歯科衛生士と
仕事を御一緒させて頂いたが、
私の贔屓は
川崎律子女史である。

 原田先生は生前、
愚息に対して

 ー 歯医者になれ! 東京じゃなく新潟に来い!
      俺んちに下宿せい!ー

と、威勢よく語っていた。
其のすぐ脇で
ニコニコ微笑んで
阿呆な二人の男の
話を聞いていたのが
川崎女史であった。

 原田イズムが
川崎女史のDNAで進化を遂げて
宮田君へと
継承される事を
心から望む私である。

オールオン4を採用しない理由

 1996年に設立された私の
高松インプラントセンターでは
オールオン4は採用しておりません。

 又、此れからも
採用する予定はありません。

 全く歯の無い患者さんに対して
インプラントを
埋め込む手術をしたその日の内に
人工歯を入れて
即日、
噛むことの出来る様にする手法は
別段、
目新しい手法ではない。

 インプラント治療の生みの親である
ブローネマルク博士自身の研究からも
同様の手法が開発されている。
ブローネマルク.ノバム.システムである。

 此のノバム.システムは
今から凡そ10年程前に
市販化された。

 市販に先だって、
私は伊藤雄策先生と
スウェーデンのクリスターソン教授より
此のノバム.システムの
実地指導を受け、
その後、
数症例程ノバムの臨床を行った。

 又、我が国に於いては
埼玉県のマキシス.インプラントセンターの
波田野先生御考案の
マキシス.ニュウが
無歯顎者に対する即日インプラント治療の
代表例であろう。

 オールオン4の開発者である
ドクター.マローの原著論文による
治療成績と、
世界で最も権威ある研究機関である
スウェーデンのカロリンスカ研究所から
オールオン4は
未だ未完成であり、
一般使用すべきではないという
報告が出ている以上、
インプラント治療に
長年、携わってきた者として
私のインプラントセンターでは
使用する気持ちにはならない。

 何故、此ほど迄に
オールオン4の営業広告が
巷に溢れているのか
私には解せないのだが。

 はっきりと云えるのは
昔から
インプラント治療に対して
真面目に取り組み、
この分野の畑を耕してきた
インプラントの専門家は
従来からの
確実な手法を
採り入れている。

 私が臨床家である以上、
香川県高松市と云う
ちっぽけな地方都市ではあるが
インプラント治療の良心を
此の地に
遺さねばならない。