日別アーカイブ: 2013年12月21日

無菌的治療方法 その3.

 歯の表面を覆っている
人の身体の中で一番硬い構造を持つエナメル質。

 このエナメル質を取り除くと
象牙質と云う組織が
歯の中心部にある歯の神経を
取り囲む様に
包んでいます。

 硬い硬い歯ですが
この象牙質は
決して石ッコロの様な
単純な構造ではありません。

 細い細いストローの様な中空の菅が
沢山束ねられた様にして
象牙質を形作っています。

 中空の菅の一端は神経の側に
もう一端は歯の表面へと
言い替えれば、
歯の中心部から表層へと
中空の菅が束ねられて
象牙質は形成されています。

 歯を削り、
エナメル質が取り除かれると
この象牙質が剥き出しになります。

 歯を削った際に、決して神経を触った訳ではないのに
激しい痛みを感じるのは
歯を削った先の向こう側の神経まで
中空の菅を通して繋がっている為です。

 この中空の菅から神経側から
歯の全体に渡って栄養が送られてもいます。

 私達はこの中空の菅を象牙細菅と呼んでいます。
この象牙細菅の中に細菌が侵入してしまうと
後々厄介な事になります。

 歯の治療が終り
人工物で封鎖した内側で
象牙細菅の中に侵入した細菌が
活動を始めます。

 歯の治療が終わった歯が
後々になってから
痛みだしたり
神経が死んでしまう原因の大半が
細菌の感染に由るものです。

 三枝デンタルオフィスでは
削った歯の表面に対して
化学的な処理を行います。

 文献的に酸溶液で削った歯の表面を
処理する方法もみかけられますが、
この方法では
象牙細菅を形作っているコラーゲン繊維が
壊されて歯そのものが傷んでしまいます。

 そこで特殊な溶液を使い分けて
歯を傷める事がなく
象牙細菌の中に侵入した細菌を殺菌し、
加えて
象牙細菌の中に細菌が侵入出来ない様に
完全封鎖してしまいます。

 これが歯科保存学の最先端治療です。
この辺りは決して、患者さんには気づいて頂けませんが
プロとしての心意気であると
私は思っています。

無菌的治療方法 その2

 口の中での治療は
常に細菌による感染の危険性に
曝されています。

 虫歯の治療に於いては
先ずは、
完全に虫歯菌に侵された部分を
取り除かなければなりません。

 これは虫歯検知液を使う事で
解消されます。
この検査液は
細菌感染のある部分を
赤く染めだします。
 この虫歯検知液を使うと
虫歯の取り残しはありません。

 虫歯を取り除かれた部分は
云わば裸になった
キレイな歯質です。

 この部分に唾液がかかると
細菌感染します。

 キレイになった歯質に
唾液がかからない様にする為に
私の診療所では
必ずラバーダム防湿方法を行います。

 薄いゴム製のシートに
小さな孔を開けて
その孔から治療する歯を露出させて
口の他から隔離して仕舞います。

 そうする事で
治療する歯を
唾液や吐く息の湿気からさえも
護る事が出来ます。

 ラバーダム防湿方法は
歯科保存学の教科書の
第一章の無菌的治療方法の
一番初めに記述されている位、
基本的な手技です。

 ラバーダム防湿方法は
正に無菌的治療方法の初歩の初歩的
治療方法です。

 仮にいくら高額な冠を被せても
唾液に汚染された上からでは
余計に嫌気性菌の繁殖を
助ける結果になります。

 ラバーダム防湿方法なくして
無菌的治療は不可能です。