月別アーカイブ: 2014年1月

インプラント治療を受けるにあたって その1.

今では殆んどの歯科医院でインプラント治療を患者さんに勧める様になりました。

患者さんの側でも、取り外しの必要な入れ歯よりもズーと良い面が強調されて
ついその気になってインプラント治療を受ける気持ちになるかもしれません。

私は長い間、インプラント治療に携わってきました。
インプラント治療の無い日はありません。
ズーと四半世紀、インプラント治療の毎日でした。

この様な私ですが、インプラント治療が最良の治療だとは思っていません。

私は入れ歯もブリッジの治療も行います。

インプラント治療と同じように、入れ歯には入れ歯の良さ、ブリッジにはブリッジの利点があります。

治療の方法を選択する際に、先ずはインプラント治療ありきという考えは間違いです。

どの治療方法に対しても、それぞれの方法のメリットとデメリットを
患者さんの体質、健康状態、性格、生活環境なども考慮していくのが必要だと思います。

私はインプラント治療を希望されてお越しになる患者さんが殆どですが、
皆さんに採血を行い、詳細なデーターを取得します。

そして内科対診です。
患者さんの潜在的な体質を把握する事で始めて、長期のインプラント治療が獲られると確信しています。

歯科治療における感染防止対策 その8.

インプラント治療は歯科の治療の中でも、特に感染防止対策に留意しなければなりません。

今では殆んどの歯科医院で安易にインプラント治療を奨めるようになりました。
が、そのぶんインプラントの使い回し等の、私には考えられない位のトラブルも発生しています。

インプラント治療は、異物であるチタン製のネジを骨の中に埋め込む治療です。
通常では異物に対して身体は拒絶反応を起こします。

インプラント治療では、生体の拒絶反応を起こすこと無く、生涯に渡って身体の中で安定した
骨とチタン製のネジの結合を維持しなければなりません。
また、決して感染が生じない配慮が必要です。

インプラント治療では、一本のインプラントを埋め込むのも数本のインプラントを埋め込むのも
全く同じ手間がかかります。

インプラントの材料費用はインプラントの本数に比例して高額になりますが、
手術で使用する骨に孔を開けるためのドリル類やメス等のディスポーザブル製品の数は同じです。
また時間的なものも、手術時間はインプラントの本数が増えてもあまり大きく変わらず、
まして手術前の口腔清掃の時間、術後の安静時間、器具の滅菌にかかる手間と時間は
インプラントの本数にかかわらず全く同じです。

インプラントの本数と費用については非常にシンプルでないのは、このような理由からです。
但し、アストラテック.インプラントやストローマン.インプラントなどの世界水準のインプラントは
国内のメーカーを問わず、材料コストから高額になっています。

インプラントと一口に言っても色々な種類のものがあります。
また、手術の方法から被せもの作り方も、材料差以上に様々です。

私も専門家として、この辺りの説明に苦労する時があります。

但し、絶対に忘れて頂きたくないのは、完全な感染防止対策の環境下でのインプラント治療を
受けて頂きたいという事です。

歯科治療における感染防止対策 その7.

今では治療に携わる歯科医師や歯科衛生士、アシスタントが治療用手袋を装着するのは当たり前の事となりました。

但し、これはあくまでも、治療する側の患者さんからの感染防止対策です。

また、インプラントなどの手術に際しての手袋は滅菌済みの清潔なものですが、
通常の治療で装着する手袋は、治療する側の防護のためですから未滅菌である事を患者さんはご存知でしょうか?

手袋を装着して治療している事と、治療が清潔である事は別問題です。

歯科の治療では毎日の様に歯を削ります。

口の中を確りと診察出来るように、スリー.ウェイ.シリンジという水鉄砲の様な器具で
口の中にエアーを吹きかけたり、水で洗らわれた機会を経験された事があるかと思います。

このスリー.ウェイ.シリンジがディスポーザブルあるいは滅菌したものを患者さん毎に交換している医院が
ごく稀である事は、前に述べた通りです。

しかもこのスリー.ウェイ.シリンジは、患者さんの口腔の粘膜に直接に接触しますし、
患者さんの唾液の跳ね返りや歯の削り飛沫をもろに浴びます。

歯科の治療における感染防止対策の初歩の初歩はくどい様ですが
スリー.ウェイ.シリンジの取り扱いと言っても過言ではありません。

歯科治療における感染防止対策 その6.

歯を削ると、削られた歯質が眼には見えなくてもIMG00244飛び散って室内を浮遊します。

この飛び散った削りくずは、凡そ2メール四方にまで及ぶそうです。
当然、治療する歯科医やアシスタントの顔や頭は、削りくず曝されます。

また忘れてはならないのは、治療椅子の周辺の器具も削りくずに曝される事です。

仮に歯を削られている患者さんが、C型肝炎の感染者であれば、
その患者さんの削られた歯の飛沫は感染源となるのです。

診療椅子のテーブルの上に注意して下さい!

テーブルの上を処狭しと色々な器具を置いてあったら御用心!

歯を削る時に使うダイヤモンド.バーの数々が並べて立て掛けてあったり、
薬瓶が並べて置いてあったりしたら、不潔この上なし!

治療テーブルの上は、さっぱりと患者さん毎に新しいものに置き換えねばなりません。

歯医者の食道楽 その6.

先日、ある方から玄米を頂きました。

内心、困ったと思った私です。
私はふっくらツヤツヤの白米が大好きだからです。

ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な玄米が
体に良い事は解っているのですが、
あの独特の香りと噛みごたえが、正直申し上げて私は苦手なのです。

但し、せっかく私のためを思って持ってきて頂いたのですから
食べないわけにはいきません。

考えに考えての裏技で私の苦手な玄米を美味しく頂きました。

玄米を炊く時にプレーンヨーグルトをいれました。

玄米3合に対してプレーンヨーグルトを大さじ1~2ぐらい。
磨いだ後にヨーグルトと塩を少々入れて
一時間程度、水を吸わせます。
で、そのまま炊飯器で炊くだけです。

乳酸菌の働きで玄米の硬さが柔らかにふっくら仕上がります。

歯科治療における感染防止対策 その4.

私の診療所には医師やそのご家族の方が患者さんとして多くお越しになられています。

何度か通われて、私に話しやすくなった処で、
皆さんが一様に同じ台詞を口にされます。

― どうも歯医者は不潔だと思っていたので、行くのが遅れて、こんな状態になってしまいました ー

医者の不養生、紺屋の白袴という言葉がありますが、
正直申し上げて、業界人の口腔の状態は、決して良いとは言えません。

医師はは毎日の患者さんの診療に追われて、自身が受診を受ける暇が無いのだろうと
私なりには善きに思っておりましたが、
実際には、医師が歯科の感染防止対策に不信感をお持ちになられていた様です。

相手が医師ですから、私の診療所の至る処を隈無く、然り気無くチェックしている事に
当然、私も気付いています。
でも、特に相手が医師だからといって、特別な配慮をする事はありません。

私は51歳です。
私が二十代半ばの時にAIDSが世間を騒がせました。
それ以前には誰もAIDS等を知る由も無かったのですが。

C型肝炎のウィルス感染者がどれ程多いのか知ったら、皆さんは唖然とすることでしょう。

未々、知られてはいない未知の感染症が今後、発見されるかもしれません。

歯科は唾液と血液に頻繁に接します。

毎日、歯を削ります。
削った歯の飛沫は血液と唾液と同じです。

私の診療所へと、せっかくお越しになって頂いたのですから
私は何が何でも院内感染を起こす事が無いよう万全の対策を講じています。

そうする事は治療以前の、私自身のプライドがその様にさせるのです。

オールセラミック.クラウン その2.

審美歯科治療の代表選手はオールセラミック.クラウンです。

艶のある瑞々しく美しい活きた歯を再現できる人工修復物です。

今はジルコニアを使用したオールセラミック.クラウンが主流です。
ジルコニアと云うのは人工ダイアモンドといったら理解しやすいでしょう。

但しジルコニアを使ったオールセラミック.クラウンも色々あります。

人工歯の裏側に薄いシェル状のジルコニア製のキャップを造り、
その上から従来のセラミックを盛り上げて歯の形を造っていく方法が
お奨めでしょう。
この方法だと、従来のメタルボンド.クラウンよりも美しく、
歯とクラウンの境目の適合もメタルボンド.クラウンに匹敵します。
但し、歯の縁端は従来のセラミックですから無理な力が架かると割れてしまいます。

対して、人工歯の全てをジルコニアで製作する方法もあります。
これは所謂、3Dプリンターの技術を応用したもので、
ジルコニアのブロック状の塊をコンピューターで制御された削り出しマシーンで
機械の手によって造られるものです。

人間の手、いわゆる職人芸に頼らないので均一な品質で供給出来ますし、
製造コストダウンが可能です。
しかしながら色の再現はまだ一つです。
目立つ前歯や小臼歯には使えません。
目立たない奥歯の治療の際に、光る金属よりは歯の色で、程度の時に
治療コストの軽減をはかるために良いかもしれません。

但し、このジルコニアのクラウンは大いに硬いので、
ジルコニアで治療した歯と噛み合う相手の歯の摩耗が心配されます。

歯科治療における感染防止対策 その3.

歯の中を拭いたり、歯の中に薬を入れたりする時に
綿花を小さく丸めたものやガーゼ、スポンジを使います。

もちろん、これ等は予め滅菌していますが、
私達歯科医の指に触れると、
いくら手袋を着用してても雑菌がついてしまいます。

これは汚染された不潔な状態と言えます。

私は歯に触れる綿花、ガーゼの類いは
歯に触れる寸前に、このガラスビーズ滅菌器にて
滅菌して無菌的状態にします。
IMG00245
歯の治療では、薬を入れて蓋をする機会が多いですが、
歯の中で雑菌が悪さをしない様に
完璧なまでもの無菌的治療が
長期の成功の決め手となります。

見えない処ほどに、細かい配慮が必要な事は言うまでもありません。

歯科治療における感染防止対策 その2.

歯科の治療で使う機材は、患者さんの唾液、血液、切削した歯の飛沫に
常に曝されています。

当然の事ながら、使い捨てのディスポーザブルで対応するのがベストですが、
機材によっては不可能なものもあります。

その様な場合には、滅菌処理によって無菌化しなければなりません。

最近、どこの歯科医院でもピンセットなどの基本的な治療道具類は
滅菌パックに入れてオートクレーブ滅菌をしてから患者さんに提供する様になりました。

歯を削るタービンやエンジンも同様に滅菌パックに入れて保管して
患者さんごとに交換するのが普通になりました。

これ等は当たり前の事で、最低限の感染防止対策です。
この様な普通の事が出来ていない医院には、私が患者であればゴメン被ります。

但し、気をつけなければならないのは、まだあります。

診療用チェアーに腰掛けてから、必ずチェックして頂きたい処があります。

歯科医や歯科助手が手で持つ道具の先の部分です。
スリー.ウェイ.シリンジと言います。
水鉄砲の様に、歯科医や助手がボタンを押すと、
水や圧搾空気が出てくる道具です。

歯を洗ったり、歯にエァーをかけて見えやすくする時に使うと言えば
お解りになると思います。

このスリー.ウェイ.シリンジの先の部分は、患者さんの口の中に
一番身近にある道具です。

にもかかわらず、この部分をディスポーザブル対応あるいは滅菌対応している医院は希です。

スリー.ウェイ.シリンジの先は、確実に前の患者さんの唾液や血液に汚染されています。

よくあるパターンは、治療が終わったら助手がアルコールのついた布で拭く位です。

綺麗事を言っても、この様な医院に衛生の概念はないと言って良いでしょう。

オールセラミック修復 その1.

前歯の歯科治療の材料と云えば、一番高価なものとして
セラミックが挙げられます。

優れた審美性と変わらぬ色調に、私達歯科医から観ても
セラミックは最高の審美歯科材料と言えるでしょう。

セラミック修復は大きく別けると次の様になります。

1.ジャケット.クラウン
 旧くからある方法で、被せものが全てセラミックで出来ています。
 但し、脆い性質なので欠けやすく、被せものの境目の適合性が他の方法より劣ります。
 今流行りのオールセラミック.クラウンも厳密に言え、この方法に含まれますが
 ここでは通常のセラミックだけを使って造ったクラウンの事とします。

2. セラモ.メタル.クラウン(メタルボンド.クラウン)
 ジャケット.クラウンの欠点を補うために出来た方法です。
 セラミックで出来た被せものの内面を金属で裏層コーティングした方法。
 割れやすいセラミックを金属でバックアップする事により、割れにくく、
 加えて、被せものと削った歯の境目をピッタリと適合する事が出来ます。
 但し欠点としては、使用する金属の種類によっては金属イオンが溶け出して、
 歯肉が黒染んできたり金属アレルギーの原因となる場合があります。
 又、セラミックの内側に金属があるために、金属の下地の色を消すために
 相当な技術を持つ歯科技工士が造らないと、完璧な色調再現は出来ません。
 昨今の金属価格の高騰と上手な歯科技工士の技術料金をかんがえると、
 アレルギーの生じ難い金属を使って完璧な色調に再現すると、
 一番高価な修復方法となるでしょう。

3.オールセラミック修復
 旧くからあるジャケット.クラウンとセラモ.メタル.クラウンの欠点を補うために出来た方法です。
 セラモ.メタル.クラウンの金属を使っている部分をジルコニアという材料を使っているものが、
 現在では主流になっています。
 ジルコニアは人工ダイアモンドといったら判りやすいでしょう。
 ジルコニアは、とても硬い性質をもっています。
 但し、セラモ.メタル.クラウンの様に長い歴史を持っていません。
 今後、少なくても15年程は、経過を観る必要があるでしょう。
 又、決して眼には見えませんが多くの金属成分を含有しているために、
 金属アレルギーにならないとは決して言えません。
 そのあたりは注意が必要です。

 ジルコニア以外の強化セラミックを使用したオール.セラミック.クラウンもあります。
 但し、この方法は、一本の歯の治療か、比較的小さな小範囲の修復にしか使えません。
 大きな範囲の修復は折れやすいけいこうがあります。