日別アーカイブ: 2014年3月24日

日々の臨床で感じること その1.

若い頃、自分が年老いた頃を想像して何よりも怖れた事と云えば、
時代遅れの歯医者になって、若い歯科医に脅かされる自分の姿でした。

私も速いもので、もう五十を過ぎてしまいました。

幸いにも、ありがたい事に、若い歯科医の技量なり診断力を怖いと感じた時はありません。

むしろ、もっとじっくりと治療に向き合ったらどうかね!と若い歯科医に対して感じる事がしばしばです。

何事も、基の基をたどって考えて観てはどうかね!と感じる事がしばしばです。

小手先の小細工では、歯科の慢性疾患のコントロールはできません。

フッ素塗布とPMTCの繰り返しで、本当に皆さんの口腔が健康になったでしょうか?

ひと其々に質と云うものがあります。

その質を見極めて、見逃さないで治療方法を見つける事が何よりも肝心な処でしょう。

今では自分の仕事が精一杯で、他の歯科医の事などには全く無関心になりました。

歯の世界と云うのは、宇宙の様に広くて、いくら時間があっても足りません。

インプラント治療を受けるにあたって その7.

インプラント治療の費用については、これからインプラントをとお考えになっておられる方には大いにご関心のある事と思います。

インプラントと一言に言っても様々なインプラントがある事を、先ず知っておかなければなりません。

コストを軽減するためには、材質を純チタン製からチタン合金へと、また構造を複雑なものから単純な設計へと変えなければなりません。

世界シェアの大きい海外ブランドである三大メーカーのインプラントは、
骨の中に入るフィクスチャーと呼ばれる部分と歯肉を貫通するアバットメントと云う部分、そして人工歯の3ピース構造になっています。

対して廉価なインプラントでは一体化構造の単純化されています。

何故その様なインプラントがあるんだ?と問われましても、それを望む需要と供給のバランスから、
または市場原理が働いているのだろうとしか言いようがありません。

いずれにしても、この様な二種のインプラントを価格のみで勝負しても、
三大メーカーのインプラントには勝ち目がありません。

インプラント以外の処では、単純にご説明しやすいのが技工料金です。
通常の場合、インプラントの技工料金は普通の歯の場合に比較して約1.5~2倍位は割高となります。
また、製作する技工士の技術料には、大変大きな差があります。
やはり上手な技術士は値段に見合う製作物を造ります。

それから歯科医院サイドでの価格差は、お判り難いかもしれませんが凡そ次の事が考えられます。

手術に関わる滅菌コストの差。
手術室の有無による設備コスト。
治療にまつわる人的コストと時間コストの差。

インプラント治療と云うのは一種の移植治療です。
私は治療をする側ですから、説得力に欠けるかもしれませんが、
手術室も無い一般診療室で、忙しなく簡単にインプラントを奨める歯科医院は信用できません。

また、これは私の個人的私見ですが、1日でインプラントの手術から噛めるようになりますと唱うワンデイ.インプラントを宣伝する歯科医院も
私はお薦めできません。

色々な論文や文献がありますが、その文献、論文の出所と生の成績を再確認すべきでしょう。

歯をより良い状態で長持ちさせる努力を感じる歯科医院の方が、インプラント治療の成績も良い様です。

普通の歯の治療も確りと出来ない歯科医が、何故インプラント治療の名人、達人になれるでしょう?

百円寿司と数寄屋橋次郎のお鮨を比較するのは無意味でしょう。

私自身としては、低価格で勝負の歯科医院のインプラント治療は高いと思っています。
価格に見合う治療成績は、到底望めないと思います。