月別アーカイブ: 2014年8月

手術前

もう10分少々で、手術に来られる患者さんを待っている処です。

サイナス.リフトと呼ばれる副鼻腔を挙上させる手術と、インプラントを入れる手術を併用する予定です。

骨の高さが少ないと、長さの短いインプラントしか入れる事ができません。

副鼻腔の底の壁を持ち上げて、骨の高さを延長させて長いインプラントを入れる手術です。

聞くだけで恐ろしい手術と思うかもしれません。

私が歯科の治療で一番に大切に考えていること。

絶対的な安定感!

確実な手順を踏むことで、安心で安全な治療が遂行されます。

患者さんにとっては、大変な想いで治療に挑まれています。

私達、歯科医師は患者さんの想いに応えねばなりません。

安心で安全な治療が一番です。

無心の境地

朝夕は、めっきり肌寒くなりました。

夏の終わりを実感します。

今日も午後から手術です。

手術と聞けば、大変なお仕事ですね!と慰労される機会が多いのですが、

執刀する当の本人は、それほど苦にする事もなく、意外と楽しんでいます。

手術中は、まさに無心の境地です。

縫合が終わって、やっと自分に返ると云った処でしょうか。

このような集中できる事が、心地よいのかもしれません。

但し、手術が終わっての椅子に腰掛けてのグッタリ程度は、歳のせいでしょう。

若い頃の様にはいきません。

私は賭事は全く関心がありませんし、普段の生活はどちらかと云えば普遍性を好んでいます。

細かな繊細な仕事に浸っている日常故に、ヒヤリとするものから遠ざかりたいという本能が働いているのだと思います。

歯科の治療で大切な事は、確実性です。

野球に例えるならば、面白さに欠けたとしても、バンドを連発して走者を確実に塁へ送るゲーム展開が、
歯科の治療の成功の秘訣だと確信します。

親のエゴ

夏休みも、いよいよ最終局面を迎えました。

夜更かし気味の娘を、いつも通りの9時の就寝、6時の起床にさせねばと、昨夜は無理矢理に床に就かさせました。

娘は機嫌が悪くなり、私に口ごたえをします。

世間一般では、こういうのを反抗期と云うのでしょう。

当たり前といえば、当たり前の事かもしれません。

子供は産まれてくる時に、親を選べません。

産まれてきた環境しか知りませんから、決して下を比べる事もなく、現状に不満を持つのでしょう。

親の方も、子供にはまさしく無償の愛情を注ぎますので、見返りなど求めてはおりませんし。

権利を主張するには、何事においても義務が発生すると私は考えています。

最近よく耳にする【親のエゴ】と云う言葉に違和感を覚えるのは私だけでしょうか。

歯磨きについて その6.

予防と治療のための歯磨きについて、更に詳しくお話しをすすめましょう。

磨き方は場所によって微妙に異なります。

先ずは、鏡で簡単に確認できる下の前歯の裏側から始めましょう。

歯ブラシのかかとの部分だけで磨きます!

お口の中に、歯ブラシを縦に入れます。

歯ブラシのネックの部分が、下の前歯の尖端に当たるか当たらないかのギリギリの位置くらいで、お口の中に挿入します。

歯ブラシのかかとの部分は、歯の裏側の歯と歯茎の境目に!

歯ブラシをお口の中から外に向かっての、小刻みな動き、振動のような感じです動かします。

この時に、歯ブラシのかかとは決して、歯を乗り越えて、歯の外側に飛び出す事はありません!

前歯も微妙にそれぞれが向きが違いますから、歯の向きに合わせて歯ブラシも、微妙に向きを変えて下さい。

焦ることなく、この部分の歯磨きをマスターしてから他の部分の歯磨き方法に進めましょう。

隠れ趣味

休日ともなると高松市でも郊外で、香川ナンバーのキャンピングカーをチラホラ見掛ける様になりました。

突然、なぜその様な話をするのかと云うと、隠れ趣味としてキャンピングカーオタクの私です。

私が初めてキャンピングカーを手にしたのは20年位前の事でした。

今は社会人となった娘が三歳になった折に、夜眠る娘を抱き抱えて、
内緒で購入し納車されたばかりのキャンピングカーへと運び込み、
娘が朝に眼を覚ました際に

ー パパ、夢ではないん! ー

と、娘の喜び顔が見たいのと、忙しすぎてタマの休日にはホテル等何処もかしこも満室で、
折角の休みに何処へも連れて行ってやれない切なさがキャンピングカー購入のキッカケでした。

加えて、私は幼い頃よりミニカーでも玩具の自動車でも、スーパーカー等よりもトラックやダンプカーを好んで選んでいたので
そういった処からも、キャンピングカーの形が肌に合っていたのかもしれません。

購入迄は、研究に研究を重ね?アエコレ悩み!遂にはトラックを改良したキャンピングカーを選択しました。

エグザと云う車で、現在よく見掛けるキャンピングカーの基本型を創った名車です。

が、大きな車体でも馴れてくればなんの事もない!とだんだん気分はエスカレートして
2年位は乗ったでしょうか、遂にはフォードのトラックをベースにカナダで造った当時ではキャンピングカーユーザーの
憧れのまとであったB.Cバーノンのいう車種に乗り代えます。

19フィートのモデルで、この車には長い間乗りました。

後に、更に大きい22.5フィートのモデルに乗り換えましたが、このB.Cバーノンを凌駕するキャンピングカーは
今でも無いと思っています。

途中で、小振りのキャンピングカーに浮気して同じカナダのメーカーがダッジラムをベースに改造したプレジャーウェイと云う
キャンピングカーも2年位乗りました。

この車、私の次の持ち主は、紀子さまの弟君である獣医さんで、先の東北震災の折に、この車を使って
被災地のアチコチでボランティアに勤しんで居られた様です。

大きな大きな車体でしたが、洗車でストレス解消?メンテナンスを自分で行ってストレス解消?と、
私のある時代はキャンピングカーも生活の一部で、家があるのに週の半分は車の中で眠ると云ったほどでした。

男と云う生き物は、いつまで経っても心は子供のままです。
幼い頃、ロビンソン.クルーソーに憧れて、秘かに造った秘密基地気分に浸れるキャンピングカーは、
日頃の疲れを癒してくれる、私の癒しの最良の方略でした。

今ではキャンピングカーは手離してしまいましたが、還暦でも過ぎたら又、小ぶりなのを手に入れて
家人と共に、日本中の桜でも追いかけたいと思っています。

それまでは、仕事!仕事!

歯磨きについて その5.

それでは治療、予防のための歯磨きについてのお話しです。

歯ブラシの毛の生えている部分を植毛部と呼びます。
手で持つ部分は把持部といいます。
植毛部と把持部とと間をネックと呼びます。

歯ブラシは基本的にペンを持つ要領で、ペングリップで持って下さい!
持つ部分は把持部の、できればネックから離れた処。
ネック近くを持つと、細かな振動のような微妙な動かし方ができません。

植毛部を大きく拡大して観ると、ブラシのつま先、かかと、おなか、上の脇腹、そして下の脇腹と呼ばれる部分で構成されています。

エチケットのためのゴシゴシ磨きでは、おなかの部分を使っていらっしゃる事でしょう。

予防、治療のための歯磨きでは、ブラシのおなかの部分は使いません。

ブラシのつま先、かかと、上の脇腹だけを使用します!

窓の掃除をイメージして下さい。
雑巾でガラスをゴシゴシ拭き掃除が、歯磨きで云う処のエチケット磨きです。

雑巾を割り箸で尖らせて、サッシの角の凹んだ部分のホコリを取るのが、歯磨きで云う処の予防、治療のための歯磨きです。

決して大きな動きは要りません!

角を使って、どれだけ凹んだ処にブラシの毛先が届くか!が勝負です。

ですから、つま先、かかと、上の脇腹だけを使用します!

何故、下の脇腹を使わないのか?
歯肉が下がり易くなるからです。

次回は、もっと詳しくお話ししましょう!

治療のご費用について

これから治療を受けようと考えられていらっしゃる方は、治療に関するご費用も大きな関心のひとつだと思います。

健康保険の範囲以内の治療であれば、ご自身の治療に幾ら必要であるのかを考える前に、
まぁ保険ということで国の定めた価格であるから無難なものであろうと、最初から納得されていらっしゃるのだろうと思います。

ところが、インプラントやセラミックを使った審美治療は、いったい幾らかかるのか検討もつかずに
歯科の治療を安易に受けられる事の大きな妨げになっていると言っても過言ではありません。

私の診療所で、健康保険の治療を受ける患者さんは、十何年も前から一人もいらっしゃいません。
といって、私の患者さんは大金持ちの方ばかりではありません。

サラリーマンの方や、本当にごくごく普通の方も大勢お越しになられています。

私は、長い間、患者さんから技術も何から何まで育てて頂いたと思っています。
とにかくベストを尽くして下さい!良い治療を受けたいので!という患者さんに育てて頂いて今日の私があります。

例えばインプラント治療に関して言えば、私の診療所において準備されていないインプラント.システムはありません。
国内外のインプラントの殆んどは、患者さんに対応出来ると自負しています。

治療で使うパーツも様々で、インプラント治療とはシステムとパーツの組み合わせで構成されていますので、
幅の広い治療方法を提供出来ることが、私の強みの一つだと自負しています。

ですから、よくホームページで観る【当医院では〇〇インプラントを使用しているから安心です!】的なインプラント治療はしていません。

もちろん、絶対こうした方法が良いと感じる事は、率直に申し上げています。
治療とは、〇〇システムを使うから大丈夫!ではなく、誰がするのかの方が結果に繋がると思っています。

私の診療所は、治療方法の選択の幅が他の歯科医院よりも圧倒的に広いと、お考えください。

ですから、正直に申し上げて治療のご費用については、最近では患者さんの方へ、
「先生、この範囲でお願いします」と逆に伝えてください!とお話しするようにしています。

抜けた奥歯の部分にインプラントを入れたいとか、歯が痛いとかと云った単純な治療であれば、
3つ4つ位の治療方法と治療のご費用の提案は容易にできますが、今の処は私の診療所にいらっしゃる患者さんは
もっと複雑な症例が多いのが正直な事実です。

星の数ほど、沢山の治療方法があります。
ですから、治療方法を選択する幅を、治療のご費用が妨げとならないために、
患者さんの方からのご提示を頂いた方が幸いという結論に達したのです。

歯科の治療と云えども、歯のみならず全身状況を正確に把握しなければなりません。
治療させて頂く私の方にしてみれば、患者さんの身体の隅々の事の方が、費用の事よりも重要です。

治療のご費用に関しては、遠慮しないでご相談頂いた方が幸いです。

見守る

昨日は、新潟で独り高校へと通っている愚息の誕生日でした。

愚息は先妻との間に産まれ、今の家人との間にもうけた子達も含め、私にとっての唯一の男の子です。

愚息が五歳の歳から別に暮らす様になり、小学六年になる時から再び、共に暮らす様になりました。

他人目からしてみれば、厳しく、ある面ではおお甘で育てる意識で接してきました。

ただ一番に気を付けてきたことがあります。

父は、決して特別な強い人間ではないと云う事を、意識的に観せることです。

愚息もいつの日か、世間の荒波の中に立たねばなりません。

自身の力の不足を感じて情けない想いを、不条理なことにやるせない想いを味わう事でしょう。

人生は、勝ち負けの連続です。

泣きたい時もあるでしょう。

いずれ味わうであろう悔しさに、弱い自分を責める前に、父も同じであったと思い出して貰いたいと、
常日頃から意図して、弱い父親の姿も見せてきました。

凛と立つ姿を、父の全てと勘違いしないで欲しいと、息子だからこそ弱味を見せられたように思います。

愚息を独り、新潟の地へと送ったのは、世間に出す前準備の意味がありました。

当然、私のなかで、越後の大地の神様が、私の倅だからこそ護って下さると信じての行動です。

寮などに入れずに独り暮らしなど、もっての他で、不良にでもなったらどうするんだ!と云うお叱りを受けた時も確かにありました。

私は、倅がある時に横路に反れるなら、それでも良いと思っています。

自分の力で軌道修正できる気づきと、力がなければならないし、それが後になって
必ずや倅の人としての幅を拡げてくれるだろうからです。

倅の毎年の誕生日の日に私は、このブログをかりてメッセージを送ってきました。

もう私が父として倅に伝え教えることはありません。

私は、再び歯科の職人としてひたすら歯に向かい合う日々を送るを日常として過ごし、
倅は、自身で歩いて行くを日常としなければなりません。

黙って倅を信じて見守るのも、父としての仕事かもしれません。

世の流れのなかで

つい先日、急用にて夜通し、新潟まで車を走らせました。

毎月、新潟へは日本歯科大学の新潟校での仕事があるために出向いているので、
確かに四国から遥か遠くの距離ではありますが、さして苦と感じる事はありません。

むしろ、広大な越後平野と悠々と流れる信濃川からの気を、身体いっぱいに頂ける心持ちとなり、
好んで出向いて行くと云う感がないでもありません。

が、この時ばかりは、歳が歳ですから身体の疲れを覚える事はしばしばですが、
心の方が疲労の極致に達し、真っ直ぐに四国にまで帰る気力も失せて、途中アチコチに立ち寄りながらの帰路となりました。

立ち寄った処のひとつである、信州長野の善光寺ではお盆の最中と云うこともあって、一年の中で一番の賑わいで
人と車で溢れかえっておりました。

神社、仏閣を散策するのを好む私です。

が、この時ばかりは散策すると云うよりも、人混みに揉まれに行ったと言う方が正しい表現かもしれません。

それでも、何年ぶりにか訪れた此の古寺の荘厳な佇まいは、相変わらずであり、
あちこちの仏様の姿を眺めているうちに、心の汚泥が濾過されていくのを感じて時を過ごしました。

遥か昔に生きた人の手に造られし仏像なれど、仏様となられし今では、人により受けた疲れを癒して下さるのは何故だろう?と感じつつ、
やっと空腹であった事を思い出して、確か門前の大通りに面した処にあったと、若い時分に訪れた蕎麦屋を探し出すために
足を動かし始めました。

人の記憶とはいい加減なもので、その蕎麦屋、在ることは在りましたが、私の記憶とは少しばかり違った処で
今でも商いを営んでおりました。

ただ、店構えは当時とは比べ物にならない位に立派となり、つい暖簾をという気軽な気分で立ち寄ると云う感は失われていたのが残念でした。

しばらく振りの長野の訪問でしたが、町づくりをある意図をもって、恐らく行政と町ぐるみで行っているのでしょう。
観光で成り立たせようと云う意気込みが、確かに伝わる町の変化でありました。

変えていかねばならない事、変わって欲しくないこと、変えてはならない事を確かに実感した信州長野の訪問でした。

海軍兵学校の五省

私が歯科の道に入ってから現在に至る時間の長さほど、あとの残された時間はありません。

歯の世界は奥が深く、到底そのような短い時間では追求しきれるものではありません。

ただただ、良い仕事につけた幸運に感謝して、患者さんに対応して過ごしています。

人の身体を診る仕事につく人間は、ある種のガマン心を持たなければなりません。

その様な心持ちを、自己で育てるために、様々な工夫や努力が必要となります。

母校である日本歯科大学の学生達への講義のなかで、今年は次のような話を織り混ぜようと思っています。

歴史上の偉人の遺した言葉などに、感動すること度々な記憶は誰しも経験がある事だと思います。

旧帝国海軍時代の士官教育を司った海軍兵学校において用いられた訓戒を、ある時から私は
手帳に書き写して、事ある毎に読み返しています。
また、額縁に記されたその訓戒を書斎の机の脇に掛けて、事ある毎に眺めて、心の中で諳じています。

【五省】

一、至誠に悖るなかりしか
     
   真心に反する点はなかったか

一、言行に恥ずるなかりしか

   言行不一致な点はなかったか

一、気力に欠くるなかりしか

   精神力は十分であったか

一、努力に恨みなかりしか

   十分に努力したか

一、不精に亘るなかりしか

   最後まで十分に取り組んだか