日別アーカイブ: 2014年12月16日

普通のこと

朝一番に診療所でメールを開くと、明日に新患でお越しになられる患者さんからのものが届いていました。

ほんの数日前に、この方からは私のホームページ上の問い合わせフォームを通してのご相談を受けました。

症状は兎も角、心に溜まった汚泥のようなものが強く感じられました。

それは痛みなどの症状は勿論の事ですが、別の処に由るものであろうと推察されました。

気になって御返事を返し、それでもなを気にかかったので再度、返信を‥。

現在の病状なり経過などを伝える内容のお返事を頂いて、それに私が又返しての‥。

で、今朝のメールに、

ー【ありがとう】と涙が出ました。ー

えっ!

【歯科医療は愛の言葉である。病気の人には労りの気持ちを】
内村鑑三の言葉です。

私の仕事は、歯で困っておられる人を助けると迄は云えませんが、お役にたちたいと。

常々、感じてるんです。
変な仕事だなって。
お金を頂きながら、逆に相手からありがとうと言われるなんて。

ありがとうと言いたいのは此方の方ですよ。
だって、そうでしょう?
患者さんを通じて腕を研かせて頂けるんですから。

特に若い頃なんか特にそうでした。
私なんかに治療させて貰って良いんですか?ってコッチが頭を下げそうになってました。

何十年経っても、その気持ちはありますね!

心の傷を癒すには、ながーい時間が必要ですが、
身体の傷は手当てで治りますよ。

よく私が使う言葉ですが、
人の身体に携わる人間に必要なのは、ナイチンゲールになった積もりでの心。

私は男ですからナイチンゲールにはなれませんが、
歯で困って堪らないと言う方と一緒に泣いていても仕方がありません。

私の持てる全ての感覚、そして労りの気持ち、ねぎらいの心、
訊ねて下さってありがとうとの感謝の気持ちで、
患者さんと共に時間を過ごしています。

身体に優しい生物学的治療

授業や講演で、自分の仕事の写真を観て頂く機会が多いのですが、
術前と術後の変化に驚かれて、歯科治療の可能性を再認識される様が伝わってきます。

時には手術の過程も観て頂いています。
ダイナミックな手術に見えるようです。

が、現実はダイナミックなどとはほど遠く、
コツコツ時間をかけて、些細な治療の積み重ねで治療過程は進みます。

被せものの冠を被せる治療においても、
歯を削った日に歯型を採り、次回に被せる等と云った急いだ仕事はしていません。

最初に削った日から徐々に形を仕上げていって、歯型を採るのは随分と後になってからです。
別段、イタズラに治療を引っ張る訳ではありません。
歯が愛しいから、歯が可愛いから、
歯に優しい治療がしたいからです。

歯型を採る時には、歯の麻酔などしなくても全く痛くはありません。
何故ならば、歯の中に防御層の新しい象牙質が出来るように手当てをしているからです。

削った歯の表面を化学的に薬品などでコーティングすることはしていません。
していませんと言うよりも、したくはありません。

身体の方が、自分から治すようにと仕向ける手当てをが、
より生物学的治療だと思うからです。

ある時から歯の声が聴こえるようになりました。
泣いている歯の声が聴こえるようになりました。

何処で聴いたのか判りませんが、近所の歯科医から

ー 歯が声を挙げる筈はない。アイツはキチガイ! ー

と、言われているのを知りました。

私には自分のことはよく判りませんが、確かに歯は喜びもするし、泣き叫ぶこともあるを実感しています。

確実に云えることは、生物学的配慮の基で行った治療は経過が良いと云うことです。