月別アーカイブ: 2015年11月

虫歯との戦い

私の歯科医としての第1歩は、歯科保存学からスタートしました。

その後、縁在ってレイモンド.キム先生などの影響によって、

歯周病治療、クラウン治療、そしてインプラント治療が臨床の大半を占めるようになりました。

特に1990年代の前半からは、インプラントメーカーのインストラクターとして歯科医向けの講習会活動を行うようになったことから、

インプラント治療は、私の歯科医人生の歩みと同じと言って良い程に、大きな関わりあいを持つ事になり、

私の毎日は、インプラント治療に明け暮れるようになりました。

但し、私のインプラント治療は明らかに、歯科保存学とレイモンド.キム先生仕込みの歯周補綴の影響を受けています。

それが私の強みだと、師匠と、その縁に感謝しています。

私にとっては、歯周病の治療なりインプラント治療は、其れは其れで日々研鑽に努め、技術の向上に精進を続ける積もりですが、

それはプロとしては当たり前の事だと思っています。

50を既に過ぎた私にとって、私の歯科での生きた証しとしての仕事に取り組む事が、私のなかで大きな関心事となりました。

それは歯科保存学でスタートした私は、最後はヤハリ歯科保存学で幕を終えたいと願う気持ちが強くなりました。

歯を長持ちさせたいと云う気持ちが、歯を失ってインプラントにて補う事よりも

私には重要であると思うのです。

そもそも歯を失わなければ、インプラント治療の必要性はありません。

歯周病については、私の診療所では既に解決済みであり、

この点については、患者さんのお役に十分たっていると自負しています。

虫歯が進行し神経を採る根管治療に至らない手当てを行う事が、

歯を失わない第1歩だと確信しています。

神経を採った歯の破折に、歯科医は無力です。

この様なシチュエーションに遭遇した際に、私は敗北感に苦しんできました。

虫歯の進行にストップをかける事が、今後の私の課題です。

虫歯の予防としてのフッ素塗布や様々な洗口剤を見かけます。

確かにその効能により、虫歯は減少していますが、

それでも根絶出来てはいないのが現状です。

また、高齢者は唾液の分泌が著しく減少します。

その事で、口の中は酸性環境と偏り、歯は酸の力で脱灰し、虫歯が発生します。

特に部分入れ歯の症例においては、入れ歯を安定させるがために残った歯に細工を施しますが、

この細工をしたことが仇となり、エナメル質が稀薄となった処が、虫歯になりやすくなることを

長い臨床経験から知りました。

審美治療の際のセラミック修復においては、虫歯が生じないような方略を予め手当てとして施すことも、

臨床経験から気づかせてくれました。

患者さんを長く経過観察できた事が、私の大きな財産だと、患者さんたちに感謝しています。

日本歯科大学は、我が国で最古で最大の歯科大学です。

その懐の深さに感謝しています。

保存学教室第2講座と生物学教室との共同で、私の虫歯への挑戦の研究がスタートしました。

私たち歯科医は、最後はヤハリ虫歯との戦いだと思います。

医療人とは、患者さんのお役にたつ事を第1とすべきであることは揺るぎない事実です。

私は、少年から青年への移行期に歯科医になりたくて、なりたくて、

この道に入りました。

自分の望んだ職業に就けること程に、幸せなことはありません。

歯科の世界で、無我夢中で、楽しみ、苦しみ、それも楽しみかもしれませんが、

振り返れば、果報者だと天に感謝しています。

虫歯との戦いは、私の最後の御奉公だと思っています。

三枝メソッド

今年も、あと一月ほど残す処となりました。

年末ジャンボも買い求め、

何時もと変わらない生活を送っています。

毎日、新しい患者さんと遭遇するにつけて、

まだまだ若い歯医者には負けぬと、安堵半分、

しかしながら脅威を感じさせてくれる程の若手の不在に、

今後の歯科の境遇を案じています。

私らの仕事は、職人仕事です。

やはり、腕前の勝った負けたと云う意味合いは存在しますので。

剣術みたいなモノでしょうか、歯科医の仕事は。

来年は海外での研究発表も控えています。

ユックリと云う生活は、当分の間、縁がないものと諦めています。

大学の先生方には、とても感謝しています。

三枝メソッドの根拠作りに、基礎的な検討を加えて下さって。

私は歯科医に成れて、本当に良かったと感謝しています。

腕前を向上させることは、これは私自身の問題です。

これは当たり前の事であり、

歯科と云う仕事を通じて、社会貢献する事の意味を感じさせて下さったのは

母校の岡先生です。

先生がいらっしゃらなければ、

三枝メソッドは、一子相伝の秘術的な治療で終わっていたことでしょう。

環境は整ったようです。

インプラントも審美治療も、元々は虫歯が原因で必要になった、歯科治療の最後の砦です。

入り口の部分にて、キチンとストップをかけることが、

私ら歯科医の大きな使命だと思います。

親こころ

我が子を案じる親御さんが、お子さんに良い治療を受けさしたいとの想いで

私の診療所へお越しになられた時には、つい、自分とわが子の姿が重なり、力が入ってしまいます。

診断は確たるモノです。

診断は一つです。

が、治療方法となれば話しは別です。

様々な観点から、角度を変えて眺めて考えることが大切です。

特に若年の患者さんの場合には。

それでも最後は、治療方法を一つに決定しなければなりません。

こういう時に、私は子供を授かったことに感謝しています。

親にしか判らない愛情ってものが在りますから。

私の仕事感

昔、【はぐれ刑事 純情派】と云う連続ドラマが放映されていました。

藤田まこと主演で、氏が主演を務める【剣客商売】とは、また違った味わいがあって、

私はこのドラマが好きでした。

刑事とは、理屈抜きで、脚で仕事をするもんだと云う台詞が好きでした。

私の仕事は、一応は自然科学に属しています。

しかし私は、歯科とは科学よりも職人仕事だと感じています。

理論的裏付けの重要性は、人の身体を預かる訳ですから当たり前だと云う前提の基で、

兎に角、四の五の言わずに、先ずはヤってみる事が大切だと云うことを、

私は仕事を通じて学びました。

仕事を行う上において、様々な観点から考えることも学びました。

仕事ですから、成果をあげなければなりません。

が、利益なりの結果重視だけの仕事は、世の謗りを受けねばなりません。

仕事を通じての社会貢献も十分に考慮するべきだと思っています。

大きな仕事においても、其れは小さな結果の集合体です。

コツコツと、それでいて期限を決めて考えながら、刑事のように無駄な手順を踏むことは

決して無駄ではないと考えています。

そうする事で、仕事が自分と云う人間を育ててくれるんだと信じています。

私からのお願い

著明な心臓外科医である和田医師が著作のなかで

面白い表現をされていました。

【医師は単に最低限の医学的知識を持つ事の証しでしかなく、技量とは全く関係ないものである】

ここまでハッキリともの申す和田医師に敬意を払います。

インプラント治療を希望されて来院される患者さんほど、楽なモノはありません。

患者さんの治療への意思は明確ですから。

私の診療所へお越しになられる患者さんのインプラント治療は、

単に骨に孔を開けてインプラントを入れると云う簡単な症例は稀です。

骨の幅なり、高さが足りないと云う、骨の造成を伴うインプラント手術や、

特に審美的な配慮を求める患者さんばかりですが、

患者さんの治療への意思決定は、ハッキリとしている訳です。

後は、治療費用の問題ですが、

私の診療所は多くの種類のインプラントやシステムを保有していますので、

最近では、費用が特に気になる患者さんにおいては、

患者さんの方での予算の範囲を逆にお聞きして、

そのなかでベストな治療方法を提示するようにしています。

ですから、私にとってインプラント治療は特にストレスになることはありません。

根管治療の患者さんには、私は大いにストレスを感じます。

私の診療所では、神経を採るに至る治療はごく稀です。

既に神経を採られて居られる患者さんの治療には、随分と精神的な負荷が懸かります。

正直に申し上げて、

何故にキチンと治療出来ていないのか?私には全く理解出来ません。

歯の中がズタズタになっている歯の再治療は、随分と私を苦しめます。

患者さん自身は、自覚されておらず、

単に私が器用であれば大丈夫だろう‼程度しか思っておられないのが伝わります。

私にしてみれば、此処までの悲惨に壊されたモノをどのようにして手当しようか?と、

悩みが沸沸と沸いて来るのです。

最初に神経を採る時に、治療させて貰っていたら、こんなことにならなかったのにと、

恨めしい気持ちで、患者さんの顔を見つめる自分がいます。

また、セカンドオピニオンを求めて来られる患者さんも、

其れは其れで、気持ちはよく理解出来るのですが、

私は、あまり気が進みません。

私の持つ時間には限りがあります。

一度に複数の患者さんを並べての診察はしていません。

だから、キチンと診て貰えると思って来て下さっておられるのでしょうが、

その分、私の治療は停止せざるを得ず、

大勢の治療進行中の患者さんの予約が採れなくなり、

治療の進行が遅れて、ご迷惑をかけて心苦しく思います。

私は治療中の患者さんに対する責任があります。

初診なり、治療着手前の患者さんの治療の全てに応じる訳ではありません。

私は何度も何度も申し上げています。

本当に困って居られる患者さんのための歯科医院である積もりです。

私は治療をお受けする際には、腹をくくって応じています。

絶対的な安定した治療をすると。

何処も歯医者は同じだ思って居られるのならば、

歯科医院は何処も、患者さんが欲しくて堪らない筈です。

他所での受診をお薦めします。

本当に困った時の歯科医院

噛むのも、ままならないほどに悲惨なる状態になり、

歯科医院を数件は回ったけれども、結果が出なかったと云う患者さんばかり診察の10数年だったと思います。

治療に関して、諦めず、決してサジを投げ出さず、

コツコツと結果を出す自信は、正直、あります。

が、これは患者さんの協力あってこその賜物です。

所謂、難症例ばかりに囲まれて過ごして来ました。

インターネットの影響なのでしょうか?

何処も歯医者の治療なんぞ変わらないけど、

まぁ、無難そうだから取り敢えず!と言った具合でお越しになられる方も

最近では観られるようになりました。

これが正直、私にはストレスになっています。

患者さんの数には困っていません。

そりゃ、波はありました。

東北の地震の際には、随分と患者さんが減って、頭を抱えたのも事実です。

あんまり暇で、経済のヤリクリも大変だったので、

その当時に勤務し始めたスタッフには、随分とナメられましたもの。

この時は必死に耐えました。

経済が苦しくても、治療水準を落とさず、

信念は曲げませんでした。

東北の地震と四国の歯医者が、どう関係あるんじゃ?と不審に想われるかもしれません。

私の診療所は、近場で便利だと云う理由で来られる患者さんに依存していませんので。

コツコツと準備して、スタッフを一新し、今では元に戻ったと安堵しています。

大学での仕事、講習会、自分の勉強等など。

いくら時間があっても足りません。

私は良い仕事を遺したいと思っています。

多くの利益を稼ごうと云う商売気は、職人仕事ではたかがしれています。

興味がありません。

本当に困って居られる方だけ、お越し下さい。

今、お越しになられている患者さんへの責任が、私にはありますので。

診断、治療計画作成、そして毎日の治療は、

相当に私に負荷をかけます。

それに受けて立つのがプロフェッショナルだと思っています。

明日は昨日よりも、良い結果を出すための努力は惜しみません。

インターネット上での判断で、なんとなくと云う軽い気持ちでのお越しなら、

自称名医は、SEO対策の上手な歯科医のホームページがシツコイ程に出ています。

私の診療所は、本当に困って居られる患者さんに門を開いています。

犬に感心する

犬には縄張り意識が強いと云う習性が在るそうです。

寒い処が好みの平蔵は、玄関の土間のタイル張りの上がお気に入りの寝床のようです。

ラッシーは娘の寝室のドアの前で。

甘えん坊のマリリンは身体を私にピタッとくっ付けて爆睡しています。

で、私の起床する定時になれば、皆がベッドへと登ってきて、

大きな舌だ顔を舐め、尖った細い鼻先で顔をつつき、

おまけに、大きな手で私の身体を叩きます。

就寝時間になると、皆が一緒に私の寝室へと。

ベッドに入って、消灯すると2匹は所定の場へと去ってゆきます。

決まったことを決まった手順で行う犬って、人間だったら良い医者になることでしょう。

足腰の確りとした安定した治療結果を

通勤の車中の外気温計が15度を指していました。

つい半年ほど前には35度の熱い日々が続いていたのに、

四季彩りと云う優しい響きの言葉とは裏腹な変化に思うところあり、

で、人の身体の順応性にも驚いてしまいます。

それでも今朝は、昨日までとは違ってポカポカとした陽気を感じるほどに。

後部座席でマリリンが出勤モードに入っているのか、キチンと背を伸ばして診療所への到着を待っています。

今日も相変わらず、手術や審美治療が続いています。

インプラント治療や審美治療は、最先端の治療だと思っておられるかもしれません。

が、私がこの数年、格闘の最中にあるのは、

組織学、細菌学、生化学などの基礎医学と呼ばれる範疇のモノばかりです。

基礎医学の根拠の確かな治療をと、思うところ在り。

見映えの派手さに決して誤魔化されない、足腰の強い治療結果を遺したいと願っています。

心を落ち着けるため

私は手持ち無沙汰の手当てに、ブログを認めています。

先程、手術を終えて、

次の患者さんは他所でのインプラント治療の失敗でしょう。

なんとかインプラント本体だけはレスキューさせようと、取りかかる手当の第1段階の治療に入る患者さんです。

仕事に馴れは禁物だと思います。

その仕事、仕事の度に、初めて臨む初心の心を忘れてはならないと思っています。

朝の患者さんとの雑談で、

ー 先生は若い頃に悪さし過ぎてって処でしょう? ー

ー 何で? ー

私は律儀な優等生ではありません。

物腰穏やかな性格でもありません。

情熱の歯科医で居たいと。

患者さんが、来られた様です。

さぁ、緊張モードに。

インプラント手術の度に

インプラントメーカーなり歯科技工所の方からは

この地方においては、

私の診療所くらいインプラント治療の多い処はないのだそうです。

毎日をインプラント治療で過ごしています。

単にインプラントを埋め込むだけの比較的容易な症例から

大幅な骨の改造を必要とする難症例まで、さまざまですが、

何10年経った今でも、手術の前には緊張しています。

院長室で、手先を擦って解して、温めて、

身体を揺すってストレッチしたり。

頭の中は、手術の手順をイメージしながら、ゴソゴソしたり。

患者さんの前で、自信満々!と云う真似は私にはできません。

手術を前に緊張する患者さんに、

ー 私もおんなじですよ。私も恐いんですよ。 ー

で、一緒に大笑いなんてショッチュウです。

人の身体をあずかる責任に、押し潰されるほどに苦しい時もしばしばです。

最近、歯科医院にコンシェルジュとかコーディネーターと云う役割のひとが居られる処も在るそうな。

私から云わせて貰うと、阿呆!の一言です。

私らは身体を張って、切った張ったの世界で生きています。

医者の免許も心得も、経験もない輩が、何を根拠に治療説明するんじゃい!

する方も馬鹿、させる方がもっと馬鹿と、私は思っています。

患者さんの顔もロクロク観ないで、パソコン叩いて電子カルテをと云う馬鹿な医者も増えていますが、

それよりもズット程度の低い医療感だと思います。

私の診療所では、絶対に考えられません。

これが三枝デンタルオフィスの流儀です。