日別アーカイブ: 2016年2月2日

奇人変人

明日の上京を控えて、

診療が終わってから資料の整理に取り組んでいる最中です。

私は現在、夢中で取り組んでいる研究のためならば

ぶっ倒れるのも厭いません。

共同研究者である日本歯科大学の岡先生にまでも、

「事故だけは気を付けて下さい。

但し、ぶっ倒れる迄に研究して下さい。それで死ぬことは在りませんから!」

と、今で云うパワハラ一杯発言かもしれませんが。

そもそも研究など、正常な人間には出来ません。

新たな知見は、奇人変人の見方、思考回路が必須です。

無難な考え方ではチャレンジは、ほぼ無理でしょう。

私らは、今一度、医療人の使命の原点に立ち返る時でしょう。

そうでなければ、単なる美容歯医者に成り下がる結末になり、

医療人と語れることは無くなるでしょう。

私も既に53歳となりました。

後どの位、現役に立てるか判りません。

だから時間を無駄には出来ないのです。

セラミック修復の長期経過例

写真は、約20年前に治療が終了した患者さんの、

現在の状況です。

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歯列矯正治療の後、

下の前歯は、そのままのバージンの状態で保存し、

残りは全てセラミック.クラウンにて修復しました。

歯茎部分の骨が突出しているのが判りますか?

デンタル.コンプレッション.シンドロームと言います。

食い縛りが強く、

骨膜に刺激が加わり、

骨の増殖が生じます。

現状、全ての歯は生きています。

セラミック修復も欠けたり、壊れたりはありません。

定期検査では、患者さんの身をもっての勉強をさせて頂いています。

長期経過例から学ぶ事項は、多いのです。

歯医者の原点

【疲れ果て、貧困にあえぎ、自由の息吹を切望する民衆を私に与えたまえ】

ニューヨークに立つ【自由の女神】の台座に刻まれた詩です。

プロ野球の松井選手がヤンキース時代に、

小学生であった倅と共に当地へと出向いた際に、

二人して見上げた誇らしい女神の像は

今でも確りと瞼に焼きついています。

この詩は、凡ての行いなり心構えに当てはまると。

私ら大の大人が真剣に、

虫歯の制御に取り組んでいる姿に、

アホらしいと云う冷たい目差しを感じる時が在ります。

患者さんが歯を失う基の基を辿ることに

私は恥など感じません。

他人からの評価や批判よりも苦しく重圧となるのは、

研究のヒントなり鍵が見付からず、

行き詰まった時です。

こういう時は、幾ら文献を査読した処で、

また、試験管に向き合った処で解決案など

安易に生まれる筈もなく。

で、毎日、毎日を虫歯の患者さんを診察しながら、

なんとか虫歯を叩きたいという闘志だけが空回り。

診療室のデスクの上の、

自由の女神の下で幼い頃の倅と二人して並んで撮った写真を横目に、

冒頭の詩を思い出すのです。

移民が憧れて焦がれて、夢一杯の胸中で、

この女神像を仰いだ時のように、

私の胸も、歯を守る番人としての歯医者でありたいという

原点にたち返って、清々しい心で、

日々の患者さんを迎えたいと

兜の緒を締めて、

決意新たに過ごすと。