日別アーカイブ: 2016年2月26日

二面性

患者さんの大切な身体を与る医者には、

特別に慎重で、

気の小さな処と、

バサッと、

患部を即座に除去する決断する

肝の太さの、

全く相反する性格を併せ持たねばなりませんし、

長い間、この仕事に就いていると、

自然と、その様な人になる様な気がします。

日々を健やか、穏やかに過ごすことと

無縁な仕事です。

逆に、その様な日々を過ごせない人が

医者らしい人に多く見られる様な気がします。

私などは、その辺りのギャップを認識していますので、

仕事以外の時間の殆どを、

犬たちと過ごすのを好んでいるのでしょう。

犬に誤解の気持ちなどあるはずもなく、

ストレートに此方の目線と合わせてくれるのが、

私には楽なのかもしれません。

此方は二面性があるのにも係わらず、

相手方にはストレートさを求めるのも、

勝手なのですが。

 

匂い

若い時分に、遊び過ぎた阿呆な私ですが、

今になって思いますのは、

無駄では無かったと。

無駄な時を過ごしたことに対する反省を持つ人間に共通する

【匂い】を、感じる機会がしばしば在るのです。

何かしら行動を起こせば、

当然、摩擦が生じます。

その熱が、良い方向へ向かうのか、

はたまた悪い方向へと向かうのかは、

それも、その時々によって変わります。

結果、

喜んで、

泣いて、

恥をかき、

悔しい、

腹立ち、

評価され、

批判に晒され、

様々な感情を味わう訳です。

その後で、

必ず人としての厚みが生まれてくる様な気がします。

思考回路にも、

大きな影響を与えるでしょう。

無駄な時は、若い時分にしか消費出来ません。

大いに遊べよ、若者たちよ!と、

でも、

息子の姿を、

気を揉みながらジッと黙って見つめるのも、

なかなかシンドイものがあります。

 

 

 

難しい

昨日のテレビニュースで、

6歳未満の幼児がインフルエンザにて脳死し、

その子の臓器を、

病苦の幼児に移植したとのこと。

絶句しました。

まだ心臓が停止していないわが子であったならば、

理屈では判っていても、

私なら、決断出来なかったと思います。

親御さんの決断に、

ひたすら頭が下がります。

病苦に喘ぐ幼児の命が、確実に助けられた訳です。

私が医師の立場で在れば、

どうしたでしょう。

医学の進歩は、

既に神の領域に踏み込んだ感があります。

私には、この問題は大きすぎて、

答えがだせません。