日別アーカイブ: 2016年3月2日

月日の流れ

大きな症例に1日追われています。

で、

その様な中、興味深いお電話が在りました。

「いんやねぇ~三枝君。40年頑張ったんだけど、

3月いっぱいで暖簾下ろすことししたんさ!」

電話の主は、

本調子の新潟弁まる出しの

【文京せきとり】のオバチャンでありました。

今でも、此処の鳥の唐揚げと塩皮の唐揚げを凌駕する店を知りません。

言いにくい話ですが、

お世辞にも綺麗と云える店ではありません。

が、越後人の情溢れる、

心地の良い店でした。

今の私に、三枝君と、

昔と変わらず付き合ってくれる

数少ない越後人のひとりでした。

私が次に新潟へ参りますのは

残念ながら4月です。

その時もう、

あの店から出でる匂いは無いのだ!と、

月日の流れを恨めしく想うのです。

生まれて初めて【納豆】を恐る恐る口にした

定食屋も今はありません。

常連であった喫茶も、とうの昔に無くなりました。

豚カツ【とんき】の厚眼鏡の親父さんも、

とっくに亡くなり、

女将が独りで奮闘されています。

当時は、お金が無かったので、

ヒレカツ定食は極マレでした。

細切れの肉と葱を交互に串に刺した定食で、

心豊かな気持ちになったモンです。

私の青春期に生きた新潟は、

川の流れと連峰の山々以外は

知らず知らずのうちに変わっています。

時代の流れを否定する気持ちはありません。

が、

変わってはならないモノにも、

今は気づいています。

私の生き方

【潮時】【引き際】が男子の決め処と言われています。

私らの歳ともなると、

同年代以上の人と、しばしば話題に上る台詞です。

案外、自分のことは良く観たいってのが人情ってモンですし、

もっと極端に言えば、全く認めたくないってのが現実です。

私は、自分の耳障りの悪い言葉にアンテナを張っています。

其れは心地の良いモンではありません。

人知れず、

心傷つき、

情けなく、

恥ずかしく、

時にはブチキレ、

帰宅しても苦虫を噛み締め、

床に入ってからも、布団から起き出し、

夜、眠れないことも度々です。

歳をとるにつれて、

楽になることはなく、

寧ろ逆に、

背負う荷物の重さと交友関係の拡がりで、

嫌なことは増える一方です。

毎日の暮らしの中で様々なことが在ります。

が、

歯に接している時は、

無心の境地となり、

逆に、

エネルギーと云うか熱情が

自然と沸き立つのを感じます。

歯の仕事においては、

未々、ヤれるな!と。

私は臨床家ですから、

其れが一番の肝心処です。

何時の日か、熱情沸き立たない時を迎えるでしょうか?

私は、診療所で、

その日の診察が終わって着替える時に、

バタン!と、

倒れて生涯を終えるのが夢です。

 

 

今後の歯科医療

「難しい症例が多い」と、

インプラントメーカーや歯科技工士、歯科医から

しばしば耳にする私の診療所です。

【どうやって治していくんですか?】

も、聞き飽きる位に耳にします。

お口の中の状況は勿論のこと、

全身的な疾患を抱える患者さんも多いのです。

今や【歯科】的な範疇から越えた知識が必要となりました。

健康とは、心と身体のバランスを推し測り、

良好な状態を維持させねばなりません。

歯の職人的な要素と、

身体と心を診る【眼】が、

ますます必要となるでしょう。