日別アーカイブ: 2016年5月19日

臨機応変

今、手術が終わりました。

粘膜を開いて、

骨の形を、

自分自身の眼で直接に確認して、

私は当初イメージしていた手術方法から

他の手術方法へと瞬時に変更すると判断したのです。

この辺りは、理屈ではありません。

【勘】といっても良いでしょう。

手術の際の安全性は当然のことながら、

私は治療が終了してからの長い患者さんの生涯での

衛生しやすい環境つくりとか、

力学的な安定性を

とても重要視しています。

長持ちこそと。

手術の際には、

勝手に手先が動いてくれます。

より安全に、

より確りと、

より安定した治療が遂行できるようにと、

治療には予めの決まり事にとらわれるよりも、

臨機応変に、

それがプロの仕事だと思います。

上顎洞の底の粘膜を持ち上げて骨を移植してインプラントを埋入。

もう1ヶ所は、骨を頂上で裂いて骨幅を拡げて骨を移植してインプラントを埋入。

静かに手術は進められました。

 

昨今

私が大学3年生の師走だったと記憶しています。

衆議院選挙の投票を前にした新潟県長岡市に私はいました。

みぞれ混じりの雪が大陸から吹き付けられる此の越後の大地に、

機関銃の銃声のような迫力ある怒号が響き渡るのを

私は襟巻きに首をすくめて聞いていました。

ロッキード裁判で一審有罪判決を受けたばかりの

元首相の血の叫び声でした。

世論では、この判決を当たり前と云う空気一色だったと記憶しています。

吹雪のなか、同じように私の横に立ち

自分たちの代弁者である同郷の人の戦う姿に

【いねしょ ( ここに住んでいない人 ) には分からね】

と、ささやいた老人の声が今でも鼓膜に焼き付いています。

あれから既に30年近くが過ぎ去りました。

闇将軍が天才と云う評価に変わってき、

今の時代には、

この様な人の再登板が必要だなどと云う声も聞かれることに、

何を勝手な事をと思うのです。

この越後の生んだ人が、

初の選挙に挑んだ時のスローガンは

【若き血の叫び】でした。

一見寡黙な越後の人たちですが、

心の内には外気を蒸散させるほどのエネルギーを秘めているのに、

私はこの地に過ごす内に気がつきました。

私が其れなりに【歯科医学】と云う地味な学問に埋没できるのも、

この地で過ごしたお陰だと、

この歳になって思うのです。

私の歯科治療においては

【筋目を通す】ことを最も大切にしています。

法律と云う単語を再考してみて下さい。

法と云う字は、人の定めた決まりです。

律と云う字は、天に見離されないような恥なき行為です。

法は時代と共に変化する勝手な解釈、決まり事です。

と言っても、

私は法は絶対に遵守する考えを持っています。

何故なら、他人に迷惑をかけたくないからです。

私も随分と多くの過ちを犯したと思います。

人を本意とは裏腹に、泣かせた時もあります。

後悔の多い人生でした。

が、

意図して【律】の存在を意識して過ごしてきたのも

反面、事実です。

歯科と云う小さな小さな世界を軸に生活していても、

どうしてしまったんだ日本人!と、

感じる今日この頃です。

 

 

今はジッとしていなさい!

と言っても、

我慢出来ない質の人がいます。

駿馬のように、ただひたすら駆け走る時も在れば、

岩のように鎮座する時も、

人の長い一生涯には、

様々な顔を使い分けなければなりません。

コレが大切だと思います。

 

 

新しい治療方法が生まれるまで

コレは何だかお分かりになりますか?

人の頭蓋骨を頬骨の部分で、横断切断した模型です。

DSC_0252

医科用のCTで、患者さんの頭を撮影した画像をコンピューター処理して、

立体画像を構築します。

このデーターからCADCAMにて立体模型を製作したのが【コレ】です。

物凄く【精度の良い】再現です。

このレベルのモノは未だ未だ商業化されていません。

高価格だからです。

患者さんの治療費用が遥かに高価格になるので。

この精度で、もっと低価格で製作できるようにと

メーカーは企業努力の最中なのです。

私は本当に幸運だと感謝しています。

多くのメーカーの方々のお陰で、

こうした機会に恵まれて診療させて頂いています。