月別アーカイブ: 2016年10月

根管治療の極意

指先の器用不器用も当然あるんですけど、

歯科の治療全般において、

特に根管治療なんかは、

歯科医の性格ってのが、

大きな治療の成功の鍵なんじゃないかと、

最近、私は思うんです。

で、

どういう性格かって云うと、

スッポンのように

食いついたら放さない執念深さって云うか、

1に根気、2に根気。

3、4が無くて、

5に根気。

先程、根管治療してたんですが、

根管充填の後のレントゲンでのチェックで、

自分のした治療なんですが、

気にくわない!

直ぐにやり直しですよ。

こういう処は、

私には恥も何もありません。

患者さんへは、

もう一度直ぐにやり直しますって伝えて、

直ぐに再度トライします。

私は歯科の仕事を野球に例えるならば、

確実にバンドで走者を送るという、

くそ面白くない手順が1番大切なんだと考えています。

往年の長島選手のプレーはファンを大いに沸かせたモノでした。

ハラハラドキドキ!

が、

歯科治療は見世物やゲームじゃあありませんから。

特に根管治療なんかにおいては、

根気が全てだと思うんです。

マイクロスコープは当然使いますが、

使えば良いってもんじゃない処が、

根管治療の面白さでしょうか?

プロフェッショナルの本来の仕事

初診の患者さんの口腔内を診察しながら、

歯科医の職域の中で、

本当はとても大切な勘所なのですが、

スルーされている箇所を診るにつけて

落胆する機会が増えました。

それは【予防】の概念と、その実際です。

プラークコントロールとは、

歯磨きトレーニングと、

歯科衛生士による歯石除去と、

それに引き続くルートプレーニングという

歯の根の表面の研磨だけではありません。

患者さんの歯質の個体差を見つけ、

患者さんの唾液の分泌の個体差を見つけ、

患者さんの噛み合わせの個体差を見つけて、

口腔内の衛生管理に努めることです。

口腔内には様々の微生物が生息しています。

これを単に【不潔の基】と決めつけて、

徹底的に排除する行為は、

生命体を知らない無知なる歯科医モドキです。

【抗菌】という安心感に頼った日常生活のために、

人間は本来の抵抗力を失いつつあります。

清潔さも度を越せば、

生命体に危険信号を灯します。

今ではありふれたアトピーですが、

私の幼い頃には、

稀な【病気】でした。

どんなにどんなに強い殺菌材に頼っても、

生命体は微生物の恩恵を蒙って生存していますから、

それは自己虐待でしかありません。

と言って、

不潔を推奨する積もりは毛頭ありません。

この【さじ加減】を工夫し、

患者さんに理解して頂き、

治療にも採り入れることがプロフェッショナルの本来の仕事です。

 

地震だ!

患者さんの治療の最中に【グラッ!】

フム?

で、

グラッ、グラッ、グラッっと。

動揺する患者さん。

ゆっくりチェアを起こして、

患者さんの手を繋いで、

レントゲン室へと。

オペ室にて

次回手術の患者さんへの最終説明を行っていたスタッフも

患者さんを伴ってレントゲン室へと移動。

ここは爆弾が落ちてもビクともしない構造ですから。

私ですか?

レントゲン室へジュースを手に、

それから治療そっちのけで、

4人で会話に華が咲いたのは云うまでもありません。

歯茎の質の改善

ご覧になってください!

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下の前歯の写真です。

セラミックのクラウンが沢山に装着されています。

歯肉に炎症はありません。

被せた頃には、

クラウンと歯の根の境目は綺麗に隠れていたそうです。

こういう症例って、頻繁に観ることができます。

でも、

ガッカリしますよね!

歳をとっての歯茎が痩せるからと諦めないでください。

クラウンを装着する前に、

キチンと【歯茎の質の改善】する治療を行っていれば、

何年たっても、

このようにはなりませんよ。

コンポジットインレーをする

今日も手術が2症例ほど。

合間に、

根管治療と前歯のプロビジョナルレストレーションの患者さん。

あと、

噛み合わせの調整の患者さん、

そして急患の方といった、

いつもよりもバタバタ状態の診療所です。

昼食は、

スタッフも私も諦めてと云った処でしょうか。

今しがた、

珍しく、

嫌、開業してから初めてコンポジットインレーの治療をしました。

私はコンポジットインレーは好みません。

が、

どうしてもこも症例だけは、

ラバーダム防湿環境下での隔壁処理が出来ません。

1時間は隔壁を造るのに格闘しました。

で、

あえなく降参!

悔しいけれども、

歯科技工士さんに助けて貰いましょう。

近況報告。

歯科ジプシー

【デンタル.ジプシー】という言葉があります。

これは患者さんの歯科医不信が高まり、

歯科医と転々と移ることを言います。

その結果、

系統立った、計画的な治療の機会を失い、

口腔機能が崩壊します。

その責任の大きな原因は歯科医にあります。

先ずは自己修練の足りなさを患者さんが感じとるからです。

ただ例外もあります。

患者さんの側が、にわか知識で歯科医に治療方法を指示する場合です。

ご自身の病状に対してご自身が希望する治療方法が

歯科医の側で適正でないと判断したならば、

歯科医がマトモであれば、

正しい治療方法へと方向転換を進めるでしょう。

が、

それが納得できずに、

他の歯科医院へと移り変わる。

このようなケースも最近では多いようです。

私の診療所へお越しになられる患者さんの殆んどは、

歯科医不信の方ですから、

其処の不信の種を除去することに苦心します。

が、

不信になっても仕方がないと思われる

不謹慎で不勉強で不器用な歯科医が多いのも現実で、

私は何も言えませんから、

ただ黙々と、

丁寧仕事によって、

時間をかけて歯科の重要性を認識して頂くのに

日々、疲労困憊となります。

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この患者さんの15年に渡る歯科医との葛藤に

ジッと耳を傾けて、

今、歯科医は心を取り戻さなければ、

世間から見放されるに相違ないと肝に命じていました。

本当に困っておられました。

噛む処が、ご自身の身体であるのにも

判らない。

何軒も何軒も、

歯科医院の門を叩いては、

諦めの繰り返し。

こういう症例は、

案外と簡単に治るモノです。

神経筋機構の溜まったストレスを解放して差し上げる。

歯を診て、

歯の叫ぶ声が聞こえるのです。

川西市の畑 豊先生の矯正治療と私の調整で、

苦しさから解放されるでしょう。

嘘つきな歯科医

【入れ歯にすれば骨が痩せて溶けていくのでインプラントを!】

こういうキャッチフレーズにご用心!ご用心!

私が約18年前に製作した【総入れ歯】です。

粘膜の部分はまったく痩せてませんよ。

入れ歯の粘膜面に触れる部分を金属にしている入れ歯。

アホちゃうの?と。

【薄くて装着感良いんです】

【金属ですから、食べ物の温度が直に伝わって良い感じ】

嘘を言うなよ。

私の総入れ歯が何故、快適に使って頂けるのか?

何故、骨が痩せて来ないのか?

判るかな?

嘘つき歯医者諸君!

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毎日、毎日、

真面目に歯科の診療に従事している先生方も

秘かに多いのです。

インプラントしたいがために、

嘘をつくのは、

もうミットもないでしょう?

そんなあなたの為すインプラント治療。

心と同じでミットもない代物でしたよ。

 

学ぶ

読書の秋という言葉通り、

帰宅してからはズット書籍と向かい合って過ごしています。

が、

珍しく小説、評論などからは遠ざかり、

歯科の専門書、それも半世紀はとうに遡って出版された古いモノに

夢中になっています。

私が思うに、

昔の歯科医の方が、知恵者、工夫者であったと。

正に歯の専門家であったと感心せざるを得ない、

観察眼の持ち主であったと。

日頃の自分の見方を大いに反省する機会を

先人たちから与えて頂いて感謝しながら

頁を捲っています。

【過去を笑う者は未来に泣く】

ジュリアス.シーザーの台詞を

ふと、思い出しました。

どこのインプラントが良いの?

知人である歯科医から頻繁に受ける質問です。

【どこのインプラントが良いの?】

多少の例外を除いて、

今のインプラントは、どこも良く考えて造られていると感心します。

が、

私なりの経験から来る好みがあることも確かです。

ただし、

これは私自身の癖のなせる技も関係してきます。

ですから、

インプラントは、

種類よりも、

施術者である歯科医の技術差の方が

治療成功への影響が大きいと秘かに感じています。

第1歩

知り合いから紹介されて

【最新の方法】にて入れ歯を新調したのだけれども、

まったく噛めなくて困ったと仰る患者さんがお越しになられました。

コーヌスクローネという入れ歯でした。

何も最新の方法ではなく、

私が歯科大学の学生の頃に一世を風靡した方法です。

この方法への検証は既に1990年頃には終わっており、

適応症は極々限られております。

そのようなことを考えながら拝見しておりました。

この患者さんの上の顎に、

このコーヌスクローネ義歯が装着されておられましたが、

ご自身の歯は僅かに小臼歯が2本残ったのみで、

ほぼ総入れ歯に近い状態です。

これでは噛める筈はありません。

沢山の歯を失った症例において、

残った少しばかりの歯に強固に入れ歯の維持を求めると、

理屈の上ではシッカリと噛めそうな安堵感を覚えますが、

それは入れ歯を造る歯科技工士や歯科医の無知のなせる技でしかありません。

こういう症例では、

歯をアテにするのではなく、

粘膜でシッカリとサポートすることで、

患者さんは満足な咀嚼を営むことが出来るのです。

これは例えで云うならば、

口に放りこんだ食べ物の中に【小石】が混入していた際に、

瞬時に、

脳は歯へ【噛む】ことを拒否する信号を送ります。

したがって、歯は守られる訳です。

僅かに残った歯に対して、

過剰な負担を強いる入れ歯が強固にシガミツイた治療を

歯科医や歯科技工士が強制したならば、

脳が噛むな!と信号を送り、

患者さんは不安に陥るのです。

こういう事象は、

入れ歯造りのテキストには記載されておりません。

基礎医学の生理学の範疇にある訳です。

いろんな情報が安易に容易に入手できる便利な時代ですが、

何事も基の基へ辿る訓練なり修練を怠らないことが、

治療成功への第1歩となることは間違いありません。