月別アーカイブ: 2016年10月

入れ歯というもの

いつまでも若い気持ちでいるのを他所に、

私も既に53歳という初老の域に達してきました。

あっという間に、

私も高齢者という扱いを受ける日が来るに違いありません。

生涯現役が私の信条ですが、

それなら、

精密仕事が出来なくなる日が来ることは確実です。

細かな手仕事や手術から身を引く日が来るという現実を鑑み、

将来の自分の役割を念頭に、

入れ歯造りの修行を行う私です。

入れ歯造りほど、

【奥の深い】治療はありません。

通常、歯の治療は【眼】で視て、

指先を心のままに微調整して成り立つのですが、

入れ歯造りは、

指先の腹の柔らかい皮膚が、

通常の治療で云う処の眼の役割を果すということに

最近、気づくようになりました。

入れ歯は、柔らかい粘膜の上に乗っかり、

唇の裏側の粘膜や頬の粘膜、

動き廻る筋肉の塊からなる舌、

唾を飲み込む度に持ち上がる口底粘膜に

囲まれている性格柄、

動く粘膜の形を想像しつつ、

入れ歯を触って触って、

造りあげて行く喜びがあります。

歯科技工士に委ねず、

秘かに秘かに、

針金を曲げて、

一見シンプルに見える入れ歯の中に

私の今の歯科に関する全ての知識と技術を注いでいます。

恐らく20年ほど経つと、

入れ歯のほんの一角が解るようになるかもしれません。

歯の中の警察官

舶来への憧れ?

自国コンプレックスのなせる技?

特に歯科医学においては、

その傾向が強いように思われます。

確かに機械については、

まだまだドイツには追いついていないと感じますが。

ただ何でもかんでもアメリカが進んでいると思うのは、

大きな勘違いだと思います。

歯を残す治療においては、

日本の方が真摯に向き合っているように思えてなりません。

歯内治療などが顕著だと感じて、

アメリカ人の歯内治療専門医の動向を眺めています。

根管治療においては、

根の先までキチンと根管充填されていることは

基本のきですが、

先まで行きゃ良いという単純なモノではありません。

その辺を何処かに置いて来たンじゃないか?と、

思わせられる最近のアメリカの歯内治療です。

私がルーチンに使うのは、

ジッペラーのリーマー、Kファイルですが、

それも15番までです。

1番クドクまで使うのは08番で、

治療の大半は

東京都麹町開業の岡口守男先生御考案のマイクロエキスカを、

で、

自作のマイクロエキスカも最近では登場し、

根管の中を隈無く、

パトロールする警官になって奮闘しています。

仕事が終わったら、

もう眼が疲れで充血しているのが判ります。

それでも、

歯の中の治安のためにと云った処でしょうか?

 

私の持病

休み明けの1番の仕事は、

インプラントの埋入手術から始まりました。

根が折れて放置していたことで、

骨の吸収が著明です。

粘膜で覆い被さっているので、

患者さん自身に、その自覚はありません。

インプラントの埋入手術と併用して、

骨の形を整えるために、

骨補填材を使って骨造成の手術も必要です。

同じ患者さんの身体であっても、

部位によって骨の質は異なるのです。

人体の不思議のなせる技です。

毎回、毎回、新鮮な気持ち、謙虚な心で、

丁寧仕事をと心がけています。

どれ程の数のインプラントを埋入したの判りません。

が、

患者さんを前にメスを持つ時の緊張感は、

今でも同じです。

進歩がないのか?

ヤタラ自信満々の歯科医のコメントを時に目に触れる機会があります。

これは性格からなのか、

無知の副産物からなのか、

それでも、

羨ましいと、あやかりたいと思うのです。

心配症は、

恐らく生涯の治りそうにない私の持病です。

私ですか?

澄んだ空気という表現がありますが、

今日は正にその表現がピッタリの香川県高松市です。

岡山県からの患者さんが最近では多いのですが、

折角に瀬戸大橋を渡ってお出で下さるのですから、

雨曇りよりは、

今日のような瀬戸内の風景を堪能して頂くと

私も甲斐があると云うモノです。

私は決して名医とは思っておりません。

ただただ歯を丁寧に扱う事だけに

全神経を集中しているだけです。

自己採点での自己評価に

毎日、モガイテいます。

もっともっと上手な仕事が出来るようになりたいと、

それだけで何十年かを過ごしてきました。

ただの歯に夢中になって取り付かれた阿呆者ですから、

世状に疎い世間知らずです。

 

息子の成長

新潟に暮らす一人息子は困ったモノで、

似ては欲しくない親の遺伝子をシッカリと受け継いでいるようです。

若い時分の自分を観ているようで、

頭を悩ませ、

心を秘かに傷めながらも、

私は小言こそ言へ、

説教などは、

とてもとても出来る資格が無いことを

自覚しています。

息子との会話の中で、

私は自分には歯科医の才能など無いと思っていること。

だからこそ縁のあって就いた歯科の仕事の方へ、

一生懸命自分の方を併せる努力をしてきたこと。

毎日の治療結果に、いつも満足できないで1日を終えて

反省の日々を送っていることを

つい、本音がでたんでしょうね。

息子から言われました。

昔、中学生の息子に連れられて

矢沢永吉さんのコンサートへ行ったのですが、

私は大いに、このロックンローラーに感動したのです。

私の中学生時代が丁度、矢沢永吉さん率いるキャロルの全盛期でしたが、

偏見ですみません。

当時、矢沢永吉さんに傾倒している同級生は、

決して優等生とは言えず、

どちらかと云えば、真逆。

そんな彼らのフッションなどから、

矢沢永吉さんを不良の教祖のように思っていたのです。

コンサートを観て、

私は自分の考え違いが瞬時に判りました。

矢沢永吉さんは今まで観たどのエンターテイナーよりも、

誠実に仕事の準備をしている事が判ります。

舞台の上の彼は、

その一挙一動、視線の方向、タイミング全てが、

計算され尽くされての所作であることが

私には伝わりました。

で、

父ちゃん!

美空ひばりの歌は100年残るよね。

エイちゃんより上手な歌手は大勢居るし、

エイちゃんの創った曲にも名曲はあるけど、

100年残るンやろか?

ただ、矢沢永吉って名前は残るやろうし、

ヤッパリ日本のロックンローラーは矢沢永吉以外は居らんやろ。

それにカッコ良いじゃん!

父ちゃん、バランスちゃうの?

父ちゃんは自分自身が商品になってると思うよ。

う~ん?

大きくなったもんだ!

 

朝からダイレクトボンディング

連日、複数の手術に圧され、

今日は其の谷間の骨休めの日であるような。

スタッフが気を利かせた模様です。

で、

朝から1日じゅう、ダイレクトボンディング修復三昧。

これは良い気晴らし、気分転換になりそうな。

終わって、

手鏡を手にした瞬間の

患者さんの満面の笑み!

これはコタエラレません。

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ラバーダム防湿の重装備も、

患者さんは後から納得した様子。

このステップ.バイ.ステップの手順を踏むことが

【歯科保存学の王道】であるのです。

のびのびと

若い先生方から治療の相談を頻繁に受けます。

インターネットの進歩って凄いですね。

リアルタイムで、

患者さんの状態なりレントゲン画像が通信で送られてきます。

で、

つくずく感じますのは、

【歯科保存学】の重要性でしょうか。

歯科保存学は、

【歯内治療学】【歯周治療学】【保存修復学】から構成されています。

まさに【歯】と【歯を取り囲む骨、歯肉】の番人です。

若い先生方が、治療する上においてツマズキを感じた際に、

歴然と【歯科保存学】の概念がスッポリと抜け落ちています。

【忙がわ回れ】ということわざが在りますように、

基礎を固める手当ての重要さを

若い先生の症例から再認識させられます。

また、物事には何事にも【真理】があります。

この治療は究極の処、なんのために為すのか、

その肝の処に行き着いたならば、

溢れる情報に振り回されることはありません。

それと、

歯科という仕事の特性柄、

【丁寧な手作業】と【正確な手指の動き】が全てを決定つけるのも事実です。

これは日頃からのトレーニングが重要となりましょう。

加えて、

手当てのゴールを認識するためには、

常々に【手本】となる【綺麗仕事】に触れなければなりません。

綺麗仕事とは【型】のシッカリしたモノを言います。

セラミックを使っていても、

【型】のない理論と造形美にかけた歯科は、

単なる素材殺しの暴挙でしかありません。

審美治療、インプラント治療のジャンルに

このような傾向が多いことを残念に思います。

今、私の直ぐ手元に置いてある書籍は、

故 川邊清治清治先生の書かれた義歯に関するモノです。

古い書籍です。

が、

時代が変わろうとも、

変わってはならないモノを改めて再認識させられています。

歯科の仕事に限りはありません。

精一杯、

歯の宇宙空間を泳ぎ周りたいと、

今日も白衣に袖を通したのです。

 

三枝デンタルオフィスの治療に対する考え

新患の患者さんが多いのには驚いています。

が、

直ぐに治療を着手する訳ではありません。

患者さんが歯科医を選ぶように、

私も患者さんを選んで?います。

歯科の治療にはメンテナンスが必須です。

ですから、治療に着手することで、

長い付き合いが始まります。

付き合いごとには【相性】がとても大切です。

私は患者さんを【お客さん】とは思っていませんので、

【相性】をとても大切に考えています。

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歯を大切に考えて頂いて下さる方を

最優先に治療したいと思うのは、

私の時間には限りが在るからです。

1日に診察できる患者さんの数には限界が在るからです。

院内感染防止は医療機関の最優先事項です。

歯の治療には、

唾液、血液、歯を削った飛沫など、

感染性物質に溢れています。

完全滅菌体制での診療では1日に大勢の診察な不能です。

新患の患者さんとの初面談の後、

私は資料とのニラメッコが始まります。

最善の策を考えるためです。

これには、とてもエネルギーを使います。

最初の面談の後、

私は次回のアポイントは採りません。

一度帰宅された後、

ゆっくり考えて頂いて、

覚悟?して治療の意志を明確にしてから、

患者さんの側からの連絡を待つのが

私の治療の進め方です。

歯磨きもシッカリと患者さんに協力して頂きませんと、

治療の長期の安定はかないません。

治療期間中に、

本筋の歯磨きのテクニックを身につけて頂くのが、

私の治療の基本です。

治療時間が、とても長いことも理解して頂きたいと思います。

手作業ですから、丁寧な処置を行うことが1番大切ですので、

短時間で効率をあげることには無理があります。

最新のテクノロジーと唱ったCAD/CAM製のクラウンなどは、

私は暫間的なオモチャとしか考えていません。

修復治療は、コンピューターで解決されるほど

単純なモノではありません。

一人一人の個性を、

人工の歯の中に注入してこそ、

修復治療だと思っています。

根管治療もラバーダムをすれば良いという簡単なモノではありません。

ニッケルチタンの根管治療全盛ですが、

私は必要を感じていません。

むしろ根尖まで根充材が届いていたら治療成功だと考えるのは危険だと思います。

根管ほど厄介な組織はありません。

マイクロスコープで根管の隅々まで綺麗にすることが

大切だと考えています。

インプラント治療ですか?

これは私の口から説明するまでもないでしょう。

ラバーダムをしない手抜き治療、

入れ歯もロクにできない技量、

そんな歯科医がインプラントという移植治療など

キチンとできる訳がないと思います。

インプラント治療は私にとっては普通の治療です。

歯の治療と同じ考え方で臨んでいます。

私のホームページを観る歯科医の数が多いのには驚いています。

観て、聞いて、

私の流儀が解る筈はありません。

私の流儀は、

私と患者さんの共通認識から生まれた産物です。

また、若い時分に放蕩三昧の阿呆の限りを尽くした私です。

無駄から学んだ遊び心は、

他の歯科医師には、

今からでは追い付ける筈はありません。

ただ私は名医ではありません。

神様でもありません。

誠実に、

正直に、

歯、

そして患者さんに向かい合っているから

私の診療所は長い間、

私のスタイルで続いているのだと思います。

私は情熱の歯科医でありたいと思います。

私は歯の番人でありたいと思います。

ですから、

三枝デンタルオフィスは、

歯で本当に困った患者さんのユートピアでありたいと、

私は努力を惜しみません。

それが私の患者さんとの約束事です。

 

 

 

一枚のレントゲンから

今日、岡山県から初診でお越しになられた患者さんの

奥歯のレントゲン像です。

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少し前に奥から2番目の歯が痛くなったそうです。

今は落ち着いているそうですが、

ご不安さが表情に顕れています。

神経を採る治療をした歯科医が同じ先生であることが

レントゲン像から判ります。

何故なら、

芸風が同じだからです。

で、

誠実で真面目な歯科医だとも感じました。

が、

基礎的な診方、根管治療の目的について、

もっともっと消化が必要だと感じました。

また、

下顎の大臼歯の2本は、

根管治療の専門とする歯科医に委ねた方が良かったのかもしれません。

私の根管治療に慣れて頂くために、

先ずは手始めに、

第1小臼歯の根管治療から始めましょうと。

根管治療はジックリと、

歯と落ち着いて向かい会えば、

必ず歯も心を開いてくれるものです。

私らの研究

虫歯菌の話題に先ほど述べました。

私らの研究は、

細菌の代謝産物として生成された酸で傷んだ象牙質、

これを軟化象牙質と言いますが、

この厄介な軟化象牙質が所謂虫歯ですので、

これを再び硬くする手法に着目しています。

詳細は今は申し上げられませんが、

虫歯を削り取った後に、

私らは、そのような考えの基での手当てをしています。