日別アーカイブ: 2016年10月18日

学ぶ

読書の秋という言葉通り、

帰宅してからはズット書籍と向かい合って過ごしています。

が、

珍しく小説、評論などからは遠ざかり、

歯科の専門書、それも半世紀はとうに遡って出版された古いモノに

夢中になっています。

私が思うに、

昔の歯科医の方が、知恵者、工夫者であったと。

正に歯の専門家であったと感心せざるを得ない、

観察眼の持ち主であったと。

日頃の自分の見方を大いに反省する機会を

先人たちから与えて頂いて感謝しながら

頁を捲っています。

【過去を笑う者は未来に泣く】

ジュリアス.シーザーの台詞を

ふと、思い出しました。

どこのインプラントが良いの?

知人である歯科医から頻繁に受ける質問です。

【どこのインプラントが良いの?】

多少の例外を除いて、

今のインプラントは、どこも良く考えて造られていると感心します。

が、

私なりの経験から来る好みがあることも確かです。

ただし、

これは私自身の癖のなせる技も関係してきます。

ですから、

インプラントは、

種類よりも、

施術者である歯科医の技術差の方が

治療成功への影響が大きいと秘かに感じています。

第1歩

知り合いから紹介されて

【最新の方法】にて入れ歯を新調したのだけれども、

まったく噛めなくて困ったと仰る患者さんがお越しになられました。

コーヌスクローネという入れ歯でした。

何も最新の方法ではなく、

私が歯科大学の学生の頃に一世を風靡した方法です。

この方法への検証は既に1990年頃には終わっており、

適応症は極々限られております。

そのようなことを考えながら拝見しておりました。

この患者さんの上の顎に、

このコーヌスクローネ義歯が装着されておられましたが、

ご自身の歯は僅かに小臼歯が2本残ったのみで、

ほぼ総入れ歯に近い状態です。

これでは噛める筈はありません。

沢山の歯を失った症例において、

残った少しばかりの歯に強固に入れ歯の維持を求めると、

理屈の上ではシッカリと噛めそうな安堵感を覚えますが、

それは入れ歯を造る歯科技工士や歯科医の無知のなせる技でしかありません。

こういう症例では、

歯をアテにするのではなく、

粘膜でシッカリとサポートすることで、

患者さんは満足な咀嚼を営むことが出来るのです。

これは例えで云うならば、

口に放りこんだ食べ物の中に【小石】が混入していた際に、

瞬時に、

脳は歯へ【噛む】ことを拒否する信号を送ります。

したがって、歯は守られる訳です。

僅かに残った歯に対して、

過剰な負担を強いる入れ歯が強固にシガミツイた治療を

歯科医や歯科技工士が強制したならば、

脳が噛むな!と信号を送り、

患者さんは不安に陥るのです。

こういう事象は、

入れ歯造りのテキストには記載されておりません。

基礎医学の生理学の範疇にある訳です。

いろんな情報が安易に容易に入手できる便利な時代ですが、

何事も基の基へ辿る訓練なり修練を怠らないことが、

治療成功への第1歩となることは間違いありません。