月別アーカイブ: 2016年11月

奥歯のダイレクトボンディング修復

昨日は、ストレス解消のために

ダイレクトボンディング修復をと。

コレが術前。

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で、

いつものようにラバーダム防湿の決まりごと。

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コレが術後。

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一番奥の歯のダイレクトボンディング修復をする際に、

今日の処のバリを取って、

ツルツルに研磨しようっと。

疲れたので、

本日はここまで。

手前の歯も、

ダイレクトボンディング修復です。

生きた歯をクラウンで治療する機会が減りました。

歯質保存の治療が一番です。

私の毎日の治療がインプラント治療ゆえに、

できるだけ歯を温存して差し上げたいと思います。

大いに悩む!

沢山の患者さんを抱えていますが、

今、私は大いに悩んでいます。

この症例です。

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同年代の男性です。

中程度から高度へと移行中の歯槽膿漏の患者さんです。

歯科治療の【基本のき】であるブラッシングにおいては、

とても協力的な患者さんです。

今までの習慣であった【エチケットのためのブラッシング】から

【治療のためのブラッシング】へと、

完全に変換して下さいました。

歯の根の表面のザラザラも、

私らも丁寧にツルツルと研磨させて頂くことができました。

炎症の進行はストップできたようです。

が、

ここからが大変なのです。

前歯も前方へと倒れています。

最後方の奥歯は斜め方向への垂直性の骨の吸収が顕著です。

なのに、

キチンと活きています。

炎症に打ち勝って、

頑張って活きているんです。

歯槽膿漏の治療においては、

私は完全にコントロールできる自信がありました。

が、

この症例、

ナニか嫌な匂いがするんです。

私が治療に着手する時には、

必ず、

【何故こうなったのか?】という、

病気の原因を探ります。

が、

この症例は、

お越しになられた時が、

まさにスピーディーに歯槽膿漏が進んでいる最中でしたので、

ブレーキを踏むのが精一杯でした。

今ここで、立ち止まって、

原因究明に悩みに悩んでいます。

コレが解決しないと、

必ず、

再発しますので。

このような期間は、

歩いていても、

トイレの中でも、

この症例が頭から離れません。

苦しい毎日を過ごしています。

必ず治して差し上げましょうほどに!

このような症例のために、

今まで経験を積み重ねてきたのですからに。

ヴィンテージ.カー

私は古い自動車が好きです。

新型のポルシェやフェラーリが買えないからかもしれません。

が、

もしも年末ジャンボで大金を手にしても、

やはり新型のポルシェやフェラーリには見向きもしないでしょう。

自動車関連の書籍は好んで読みます。

が、

どれもメーカー御用達評論家の意見だと感じます。

それは、そう遠くない昔、

私も其れなりにアレコレと自動車を乗り換えたからです。

新車は、其れなりに綺麗ですよ。

傷んでませんから。

自動車って、納車の時が最高に綺麗ですから。

それからは傷む一方。

自動車それぞれの癖も生じてきますし。

普通は10年も乗れば、

まぁ良いかってのが、自動車への一応の評価でしょうね。

そこを考えると、

ヴィンテージ.カー所謂クラッシックカーって凄いと思いませんか?

半世紀も経っても、

美くしさ、鮮やかさが色褪せていない。

私は古いアルファロメオが好きなんですが。

クーラーなんかありませんよ。

夏の最中、

窓を閉めきって、

傍目には涼しい顔をしてハンドルを握る。

コレがクラッシックカーを運転するっていう【やせ我慢】なのです。

判る人には判って貰えるんですけど。

歯の治療も自動車と同じですよ。

セラミッククラウンを入れた時が、絶好調な時。

そこからは傷む一方です。

ですから、

歯の治療は終わった時からが、

本当の始まりなのです。

患者さんの人生と共に、

私らの仕事の結果は当然ですが、劣化して行く一方です。

傷んでも、

修理したり、

修正したり、

メンテナンスしながら、

残していくことに意味が在るんです。

私はインプラントのクラウンを本付けすることはありません。

何時でも、外せるようにと。

何時でも、ネジの疲労を確認できるようにと。

正常範囲外の力が加わると、ネジが弛むようにと、

そうブローネマルク博士の教えですから。

歯の治療の限界が解れば解るほど、

古い自動車の凄さが、

もっと判るようになりました。

 

生命歯学

今日も夕方に手術が在ります。

歯科の手術と言えばインプラントだけではありません。

歯槽膿漏の手術から、

骨の幅を厚くする手術、

太い神経を移動させる手術など、

あぁ、美容外科的な手術もありました。

ですから私は毎日、

メスを手にして過ごしています。

こんな生活は少なくとも20年は続いています。

ですから、

手術野のみならず、

患者さんの全身的な体質、体調に

とても関心を持つようになりました。

そうすると今度は、

患者さんの生活習慣なり嗜好をも

気になるようになりました。

手術自身は、

経験の積み重ねと、

大きく拡大できるマイクロスコープのお陰で、

手堅い手当て、

野球で云う処のバンドで確実に走者を送れる手堅いゲームが

私の仕事の流儀となったように感じます。

しかしながら、

もっと治療の成功に寄与しているな!と、

実感致しますのは、

患者さんを、

歯だけではなく、

人という全体像で診る習慣がついたからだと思いますので、

若い歯科の先生方には、

そのような歯科を取り巻く関連科目にも、

是非に眼を向けられますようにと、

口を酸っぱく言っているこの頃です。

心の栄養

患者さんの診察の合間の数分間くらいや、

昼食時などに、

チョッと頁を捲りたくなる【本】は、

私にとっての【心の栄養】であることは間違いありません。

そのような【本】は何冊か在りますが、

このところ、

秋山徳蔵氏の【味】が、

私の心が欲しているようです。

購入してまだ間がありませんが、

何度も何度も、

読み返しました。

【これが自分の商売だとなったら、とことんまで勉強すること】

【細かいところを、しっかりやることだ。平凡なことである】

【真髄というものは、平凡なところにある。なんでもない、小さなことにある】

【下手と名人の差は、細かいところで決まるものである】

当たり前のことなんですが、

私のように変人扱いされている人間にとっては、

こういう文章に触れるとホッとするんです。

歯医者ですから、

それしか取り柄がありません。

でも、

正直、私はその歯の仕事でさへ自信がありません。

診察の度に、

内心では、

大丈夫だろうか?

間違いはないだろうか?

これで良いのだろうか?

見直して、見直しての繰り返しです。

私は歯医者に成りたくて成りたくて成りましたが、

息子の仕事ともなると、

歯医者の仕事は生涯をかけるのに値するぞ!

という気持ちと、

こんな辛い仕事の苦労はさせたくないという、

相反する気持ちでいます。

ただ、

息子の将来の仕事のことよりも、

まだまだ私自信が、

歯医者の中の歯医者に成れていないのを

情けなく感じています。

治療方法は患者さんそれぞれに

この症例ですよ。

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覚えてらっしゃるでしょうか?

歯の根が折れて【抜歯】という状況にあったアノ症例です。

私の拙い技術でお恥ずかしい限りですが、

ゴムの弾性で、

歯を引っ張り出して、

折れた部分は骨から露出させて支台歯の一部に含ませ、

今日、セラミッククラウンを装着しました。

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後は、

これから徹底的に、

口の中からプラークや歯石を取り除きます。

所々に他の歯科医院での古い治療も観られますが、

これらはトラブルが生じた際に、

丁寧に手当てさせて頂く積もりです。

右の下の奥歯にはインプラントを使っています。

まだクラウンは入れていません。

骨と歯茎が熟成するのを

患者さんと一緒に待っています。

それなりの年齢でらっしゃり、

また神経系の疾患の治療を

ご子息である医師の処方にての加療中でらっしゃるので、

身体に負荷をかけない歯科治療で、

清掃性に優れた歯科治療を

プランの中心において進めています。

 

ストレスに対して

歌手の方が再び覚醒剤を使用した云々という

テレビ報道を横目に、

私なんか歌手の方を物凄く羨ましいと思うんですが。

だってそうでしょう。

ステージの上での恍惚とした表情で、

自分の声帯だけでなく、

身体全体でもって、

自己表現して。

でもって、

拍手喝采を浴びるんですから。

そりゃ創作は苦しいでしょうね。

でも、

創作が苦しいのは、どの仕事も同じです。

私ら歯医者を観て下さい。

患者さんは、

これから痛いんじゃないか?と警戒の目で。

治療の最中は、

私ら歯医者は無心の境地で歯に集中。

その間中、

自分のエネルギーを全部、

自分の身体の中に凝集させて、

小刻みな動きで指先で表現するんです。

エネルギーの発散なんかできませんよ。

エネルギーを自分の身体の中に溜め込むんです。

コレが歯医者の仕事です。

で、

後は、

抜かれた、

削られた、

取られた、

ついでに、

高い!

私は歯医者に成りたくて成りたくて成りましたけど、

それでも、

時々は、

割りきれない想いをしみじみ感じます。

それでも、

もっともっと上手に成りたい!と、

初老になっても、

気持ちは青春期のままですから。

毎日の診療は、

そりゃ苦心していますよ。

工夫しなければ、

毎日毎日が同じことの繰り返しですから。

チョッとしたことに、

工夫した痕跡を歯に遺すんです。

それが細やかな楽しみですがね。

ストレスですか?

そりゃ相当ありますよ。

思うようにいきませんもの。

歯医者のストレスなんて、

家族に言っても無駄でしょうし、

自分で、

結局は、

工夫した技で、

歯でもって、

解決するしかないんです。

そんなモンだと思うんですがね。

医療倫理

インプラント治療などが良い見本ですが、

歯科治療を取り巻く世間の眼は、

ますます厳しいモノになっています。

これは歯科治療というよりも、

歯科医師という職業人への不信感が発端となっていることを

歯科医師は正面から向き合う時期に来ています。

誰しも自己肯定したいという潜在意識を持つのは当たり前ですし、

経済的、社会的な成功を望むのも自然の明であります。

が、

私らは医療人です。

ここに他の職業人とは大きな狭間があることを

自覚しなければなりません。

これはなにも医療人が偉いという意味合いではなく、

尊い命を与る仕事に従事している職責を

常に自覚して日々を過ごす生業であるということです。

医術は人類と同じくらい歴史の古い職業です。

5万年以上前の石器時代、

洞窟に住んでいた人間が初めて

治療効果のある草を磨り潰して煎じました。

また古代エジプト人は、

医療体系を信仰へまとめ上げ、

イムホテムは医術史で最初に挙げられた偉人の一人として、

現代に記録されています。

人類の歴史そのものが、医学の進歩の記録でもあります。

が、

古代ギリシャの時代に生きたヒポクラテスがもたらした偉大な医療教唆、

これは医療人の行動規範だと思います。

医者たる者はという定めだと思います。

多くの医療人は、

この大切な定めを、

置いてきぼりにしてきたのでは?

私がよく口にする台詞です。

【歯医者に成りたくて成りたくて成ったんだもの】

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ヒポクラテスの誓いです。

 

単細胞

昨夜からムカつくことがあり、

今朝は友人がムカつく話題で怒り狂っているのを

電話口から聞き、

アホらしくなって、

でも、

自分のことでは納得がいかず、

ただ、

患者さんたちの前では、

ニコニコ顔で、

で、

診察の際には、

嫌なことは一切に頭の中からは消え去りハンターの目でもって、

歯医者の日常って、

こんなモノです。

先ほどブログにて公開した金属のクラウンですが、

もう関西で開業している若い先生からの

問い合わせを頂きました。

判ってくれるかね!

と、

嬉しい気持ちになった単細胞だから、

歯医者を飽きずに続けてられるんだと思います。

審美歯科より大切な治療

この患者さんは、治療終了後10年経過しました。

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途中、兵庫県川西市開業の畑 豊医師にお願いして

歯並びの矯正治療も行いました。

成人の歯並びの矯正治療を行っても、

私は歯と歯をクラウンにて連結することはしません。

歯というものは、

本来は個々の微妙な動きがあるモノです。

これを繋ぐと、

必ず後で大きなシッペ返しを受けます。

歯が歯槽膿漏でグラグラしている症例でも、

キチンと手当てできれば、

繋がなくても大丈夫です。

また、

その方が却って長持ちします。

で、

この患者さんも矯正治療が終了した後は、

模型でキチンと噛み合わせの診断をして、

最小限の歯科介入で終わらせています。

犬歯と小臼歯はセラミッククラウンで修復させて頂きました。

奥歯は意外!でしょう?

セラミッククラウンじゃないですよ。

上の奥歯は見えにくいので、

私は患者さんにお願いしてでも、

金属のクラウンを好んで使います。

歯科医でも、

素人のような人も多いですが、

診る人が診れば判って下さると思います。

この辺りが【歯科の面白さ】に尽きると。

私ら歯科医や、

私は歯科技工士は特に上手な名人を指名してコダワッテいますが、

それでも、

私らには限界があるのです。

24時間、1年365日、

患者さんと一緒に居られませんので。

患者さんにも色々なことがあるでしょう?

ストレスや疲れ、体調不良等々。

その時々で、

噛み合わせがズレるんです。

喰いしばることもあるでしょう。

そんな時に、

セラミッククラウンならクラック、ヒビ、割れることも出てきます。

その点、金属であればヘタってくれて馴染んでくれるんです。

私らの至らない処を

自然と修正してくれるんです。

金属アレルギーですか?

セラミックやジルコニアには金属が含まれていないという

歯科医は阿呆としか言いようがありません。

工学の教科書に書いていますよ。

セラミックとは無機質と金属の集合体であると。

因みにジルコニアの含有する金属の方が、

私が通常使う金属よりもイオン化傾向は高いので、

アレルギーに成りやすいでしょうね。

なんでもかんでもセラミックってのは、

その歯科医が技術に自信がなくて、

セラミックという材料を言い訳に高い治療を勧めてるだけでしょう。

歯医者は歯の番人です。

歯科材料屋の手先ではありません。

ましてや美容師でもありません。

歯の医療は歯医者の仕事なのです。