月別アーカイブ: 2016年11月

最良の方法

知人ですがね、

ため息半分、怒り半分で、

朝の診療前に、

お電話を頂きました。

奥方とひと悶着あったようでした。

私には、どうのこうのと言う資格はありません。

ただ一言。

黙っておけ。

女が怒ったら恐ろしいからな。

と、

遥か昔の遠いオサムライの時代に生きなかった自分の境遇を

恨めしく思うしかない現代の日本の男なのです。

本末転倒な治療

【3DS】治療という治療方法があります。

ミュータンス菌とPG菌に狙いを定めて、

その殺菌剤をマウスピースに満たして治療するという考え方です。

私の診療所はプラークコントロールを徹底しています。

その際に、

前医か誰だか判らない無知識人や不器用な歯科医が入れた

まさに虫歯と歯周病【製造機】とも言うべき

不適合クラウンなどの修復物の入れ替えに

ヒィヒィ言う毎日でした。

酷いクラウンなどは、

削った歯との境目が1ミリ近くもある凄まじいモノもあります。

こんな隙間だらけのクラウンを入れておいて、

さぁ磨け!

歯磨きは大切だ!

は、無いものだ!と、

私はあまりにも下手くそな歯科医の治療を診たら、

その名前を患者さんからソッと聞いています。

だいたい同じ人たちですね。

ホームページ上での凄い名医さんたちです。

話しは反れましたが、

虫歯はミュータンス菌だけの仕業ではありません。

歯周病もPG菌だけの仕業でもありません。

ご苦労様なことに、

患者さんにマウスピースを装着して頂いてて、

口の中にプラークの温床となる不適合なクラウンが多かったら

どうするんでしょうね?

一向にマウスピースの効果は発揮できませんもの。

だいたい楽して、

新しいモノに飛び付くのを、

落ち着きのない【おっちょこちょい】というんです。

医師に、その性格は不向きです。

いくら視点の優れた予防処置方法でも、

その適応を間違えば、

間違うというよりも、

阿呆としか言いようがありません。

ただでさへ、

歯科医過剰で不人気の歯学部です。

偏差値も悲惨なほど低くなり、

歯学部が理系の花形であった35年前の頃など、

誰も信用してくれません。

歯科医は馬鹿と思われないように、

お願いですから、

キチンと薬剤なり器材の添付文書なり、

大学時代の教科書をもう1度見直して下さい。

 

本当の審美歯科修復

先日のブログで公開させて頂いた【仮歯】の内側の

私の【支台歯形成】を観たいというリクエストが多かったので、

丁度、

仮歯を装着前に撮影した写真がありましたのでお見せしたいと思います。

コレです。

_20161128_084619

ショルダーの幅は、この位シッカリと取る必要があります。

でないと、

後ろの奥歯2本は、前医の入れたセラミッククラウンですが、

クラウンの豊隆が大きく、

歯頚部分にプラークの停滞を招きます。

また、

クラウンは大きな大きな咀嚼力に耐えて過ごさねばなりません。

大きな大きな【圧力】を受け止めるのが、

クラウンの周囲のショルダーです。

クラウンの維持をセメントに頼るようではダメです。

支台歯の前の歯が、

ダイレクトボンディング修復で治療した歯です。

セラミッククラウンとダイレクトボンディング修復の使い分け方は、

活きている歯はダイレクトボンディング修復で、

神経を既に採っている歯はセラミッククラウンでと。

この間から、

この奥歯のセラミッククラウンを外して、

根管治療を開始しました。

クラウンを外すと、

プーんと、臭い匂いが漂います。

レジンで充たされた歯の内部をマイクロスコープで確認すると、

虫歯の象牙質がいっぱい残っています。

歯科医学の基本的な処置を疎かにして、

セラミックだの、

インプラントだの、

ナニかを間違えているように思います。

素人受けすることは商売繁盛に結びつくんでしょうが、

玄人目で、

コリャ駄目だわ!と、

評価される治療は、

やはり情けないですね。

審美歯科治療って、

ヤタラ白い歯を直ぐに薦める処では、

センスも技術の裏付けも無い!と、

私は思いますよ。

 

審美歯科を受ける前に

手前の第1小臼歯は、私のダイレクトボンディング修復の作品です。

直ぐ隣の第2小臼歯は、本日、仮歯を装着しました。

DSC_0262

今日から暫くの間、

患者さんに使って頂いて、

上の対合の歯が、この仮歯のどのポイントに接触するのか?を、

観察して、

必ず修正すべき部分が生じますので、

その問題点を修正してから、

最終セラミッククラウンに、

その形を反映させるのです。

その後ろの数本のセラミッククラウンは、

私の治療ではありません。

根管治療も不完全であり、

根管の中にファイルという器具が折れて、

そのまま放置されています。

クラウンの内側にはファイバーポストが使われています。

しかし虫歯の取り残しが多く、

全く意味を為していません。

こういう無神経な術者ですから、

クラウンも単にセラミックを使ったというだけで、

形体も清掃性が悪いモノで、

削った境目も完璧に封鎖出来ていません。

なんのための高い費用の治療だか!

腹が立ってなりません。

今日は、

クラウンを外して、

ラバーダム防湿環境下で、

当然ですが、

マイクロスコープでの根管治療を行いました。

審美歯科も、

基礎治療が出来てこその賜物です。

歯医者冥利

歯を削ることを【支台歯形成】と言います。

ですから、削られた歯を【支台歯】と呼びます。

支台歯の形には【決まりごと】があります。

理論的根拠と器用不器用で【支台歯】の美しさが決まります。

支台歯の歯型を採って、石膏を注入し支台歯模型を造ります。

この支台歯模型の上で、歯科技工士が人工歯を製作します。

正確さ、精密さ、造り易さを考慮した模型は、

歯科技工士の仕事の精度に影響します。

また、歯科技工士の歯科医への評価も変わってきます。

所謂、上手い先生、下手な先生という訳です。

そう言った意味合いで、

歯科技工士はキチンとした歯科医を内心では判っています。

私が歯科医に成り立ての新人時代の頃です。

大学病院の技工室へショッチュウ出入りしていました。

大学病院の歯科医の全ての支台歯が、技工室へ集まるからです。

どの先生の支台歯が上手いのかは、判っていました。

ご本人には内緒で、

それこそ穴が開くほど、観察していたものです。

手を使う仕事には、

どうしても上手い下手があります。

若い時分の私は、

そりゃ上手くなりたかった!

喉がカラカラになる位の、

上手さへの切望があったと思います。

当時の私の心の内の感情や表情まで、

自分のことですが、

目で見えるように覚えていますもの。

あれから30年近く経ちました。

患者さんにセットし終わった後の支台歯模型は、

産業廃棄物としてゴミ箱へ行く定めにあります。

が、

私の支台歯模型は、大勢の若い先生の元へ

養子に貰って行かれます。

ありがたいことです。

患者さんの支台歯形成をする時に、

お手本にするんだそうです。

私は、歯科治療が好きで好きで堪りません。

私の削った歯の模型が、

何処かでお役にたつのならば、

これまた歯医者冥利に尽きると感謝しています。

 

犬との暮らし

帰宅して直ぐ、

犬たちと遊ぶのが仕事のようになりました。

下駄箱脇の土間に鎮座して、

私がドアを開けるのを待っています。

そこからが、もう大変です。

遅かったじゃないか!

さぁ、遊べ!

てな処でしょう。

大きな身体ごと、

私に擦りつけて、

私の移動に遭わせてくっついて、

外出着を着替える際も、

両の脇からジャレついて、

着替えが終わった瞬間、

まとわりついて、

相撲をとったり、

寝そべって、

腹が撫でたり、

で、散歩です。

診療所の中の私は、

神経を張り積めて過ごしているんだと思います。

だから、犬と居ると落ち着くんだと思います。

散歩から帰ると、

習慣的に私が読書するのを

彼らは知っています。

私の足下で眠っていますので。

私の就寝時間は、

彼らの体内時計で支配されています。

それこそ時間になると、

パジャマのズボンの裾を噛んで引っ張りますもの。

で、半身は寝室へと。

私が健康で居られるのは、

彼らのお陰だと思いますよ。

 

ひとくちにインプラント治療って言っても

私がインプラント治療を始めた頃は

特殊な治療であったインプラント治療も、

今では一般的な歯科治療となったようです。

何処の歯科医院のホームページを閲覧しても、

皆が自称のインプラントの専門家あるいは名医でいらっしゃる。

患者さんは患者さんの方の都合、

この都合というのは、

とにかく治療費用の安いってことが多いのでしょうが、

こういう傾向がマズイってことに、

患者さんの方でも、

そろそろ自覚して頂きませんと。

歯科医院の側でも、

更なる企業努力をドンドン進めて、

患者さんのために精進するべきです。

最近私がホームページを公開してから、

随分と患者さんの幅が拡がりました。

以前は、

私の診療所は紹介患者さんオンリーでしたので。

その方針を止めた訳ですか?

それは、

腹がたった!からです。

酷いインプラント治療が多すぎるんです。

物識り顔の偽インプラント専門家が多すぎるんです。

健康保険の効かないインプラント治療やセラミック修復において、

私は近隣の歯科医院と競合する気持ちはありません。

私をライバル視し、

私の診療所から患者さんを得ようと考えても、

それは無理だと思います。

ただ私の処から他へ転院される方も居られますよ。

私の治療方針と一致しなければ、

私は手を出しませんから。

私の診療所は歯科の【王道】を実践する医療機関です。

美容院、エステの類いではありません。

プライバシー重視への配慮においても、

単に診療室を個室にしたら良いという浅はかさしか判らぬ

歯科医と勝負する気持ちもありません。

上質、良質を知る人は、

同じ匂いを感じるモノです。

建物、内装、観てくれは見よう見まねで

誤魔化せますが、

インプラント治療モドキのインプラント治療の多いこと!多いこと!

コレが歯科教育の問題ではなく、

その歯科医の産まれ育ちに所以すると

私は感じてなりません。

私のセラミック修復

まさに今、

セラミック修復の歯型を採る瞬前です。

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赤い部分は、

赤色のグラスアイオノマーセメントを使って、

セラミック修復クラウンを受け入れるための支台歯の形を

整えた裏層、埋め立てというモノです。

この素材に私は、コンポジットレジンは使いません。

長い臨床経過から、

コンポジットレジンは、

このような使用には役にたちません。

この歯は本来、第1小臼歯として生まれました。

この患者さんは、大切な犬歯が無かったのです。

初診から数えて2年ほど、

私は、この第1小臼歯を狙っていました。

少しずつ、少しずつ、

工夫した手当てを施し、

歯の中の神経を縮小させて、

犬歯の形体へと変化させてゆきました。

コレが、

その過程において使った仮歯です。

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反対側の歯と強く接触する部分は

シッカリと磨耗傷がついています。

その傷に気づかず歯科技工士がセラミッククラウンを造ると、

セラミック人工歯は、

間違いなく【欠ける】でしょう。

長い間、実際に使って貰って、

歯に反映さらた形体を、

私は正確にコピーして、

最終セラミッククラウンの形を決定させています。

歯の型を採る際には、

治療の殆んどが終わっているのが、

私の治療の特徴です。

 

ナイチンゲールの心

東京では初雪だそうです。

当地でも、冷たい木枯しの季節となりました。

私は終日、暖房の効いた診療所から出ることはありませんので、

お越しになられた患者さんの頬の赤みに

「 さぁさぁ速く!暖かい処で」

と、

手を引かんばかりに待合室へと案内し、

並んで腰かけて雑談に興じるのです。

私の診療所へ見学にお越しになられた歯科医の先生方は、

私の処での、

私と患者さんとの【距離】の小さい事に、

一様に驚かれるようです。

私は全く自覚してはいません。

私の診療所内での、

全ての事象は私に裁量権があります。

仮に患者さんが転ばれてお怪我なさったならば、

それは間違いなく私の不注意であり、

患者さんのお顔の色が優れなければ、

体調、心情どちらが原因であっても、

私は心を患者さんの中に入り込む動作に移るでしょう。

それが、

プロの臨床医だと信じていますので。

歯の治療を通じて生じた【縁】ですが、

歯でのお付き合いだけでは、

それは単なるビジネスでしかありません。

人と人との営みを、

私ら臨床医は重く感じて、

患者さんと接することが大切です。

其所は【役者】にならねばなりません。

ただ忘れてはならない大切な心、

【ナイチンゲールの心】です。

 

生き甲斐

東京の方が診療の合間で、

「 先生、学生時代は相当おモテになられたって聞きましたのよ」

ドキン!

ヤバい!

誰から聞いた?

何処まで聞いた?

一瞬の出来事ですが、

私の頭の中は走馬灯の如く。

で、私の返答ですか?

イヤイヤ其れほどでもございません。

まぁ、芸のタシにはなってないって事は確かです。

お恥ずかしい限りの馬鹿息子でした。

が、

いつも何処でもスマホとニラメッコで、

口にするモノすべてがコンビニ仕入れという

今時の若い人は不幸だと感じます。

私の若い時分には、

それこそ多くの人たちとの関わりあいが在りましたもの。

色んな方のお顔が脳裏を過ります。

ホンにありがたいことです。

私の診療所は、

本当に遠い処から大勢の方がお越しになって下さいます。

私がナニかの会に所属して、

其処で顔見知りになっての縁で来て下さるのではありません。

横着者の私です。

家と診療所の往復以外は、

殆んど外出することもなく、

患者さん以外と外で誰かと会うのが苦手です。

にも係わらず、

次から次へと、

新しい出会いが歯を通じて始まるのです。

もう初老の私です。

モテることはありません。

が、

歯で本当に困った患者さんが訪ねて下さるのが

何よりも私の生き甲斐となったようです。