月別アーカイブ: 2016年11月

仕事の味

昨日のブログでも触れましたように、

大正、昭和天皇の料理番として名高い秋山徳蔵氏の著書【味】を

心温まる想いで、

頁を捲っています。

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氏が言う処の【今時の若い人】には

時代的に私も含まれている筈です。

面白いですね。

今では、

その私が、

【今時の若い奴らは】と言ってるのですから。

若い歯科医から時々に聞かれます台詞です。

「 何故にそんなに歯科に没頭できるんですか?」

「 先生のやりかたで、食べていけるんですか?」

「 どうやって患者さんを集めるんですか?」

「 勉強ばかりで辛くないんですか?」

「 他に楽しみはないんですか?」

「 先々の不安はないんですか?」

どうですか?

コレらは全て、歯科医が私に聞く内容なんですよ!

私には訳が判りません。

私は歯医者になりたくて、なりたくて歯医者になりました。

入れば、

歯医者の世界にも【名人】と唱われる先生が居られます。

あんなになりたい!

上手になりたい!

と、ただただ其れだけで走ってきました。

習いたいと思ったら、

それが、

教えて貰うことだと勘違いしてはなりません。

習うということは、

先生から、先生の持っているものを引っ張り出すこと。

言葉は悪いですが、技術を盗むこと。

先生の方は先生の方で、

盗ませてやる環境を造ってるものです。

私は習いたい、

覚えたい、

上手になりたいという気持ちばかりが

先走っていました。

金銭や出世が目標でなかったので、

楽しんでいました。

嫌な先輩も確かに居られました。

が、

人間が相手でなく、

技術だけが相手でしたので、

技術に対して、

頭を下げていました。

今時の若い歯科医は、

仕事で収入を得るという意識の方が遥かに高すぎるように感じます。

若いんだから、大したことない自分を正面から認識すべきです。

私だって同じです。

技術にテッペンはありませんから。

まだまだ先へ先へと進んで行きますよ!

私は決してお金持ちではありません。

が、

自分の仕事に対する【真剣さ】では、

子供たちにも恥じることは全くありません。

仕事って、そういうモノじゃないですか?

私が馬鹿なんでしょうね?

深く考えていませんので。

子供の前に置いたオモチャ、

私の前に置いた【歯】。

同じですよ。

歯を触っていたら、

至極幸福な心で満たされます。

そんな私を歯科医が不思議に思う位ですから、

患者さんも、

それで不思議がって来て下さるのでしょう。

ビジネス、金儲けで歯科医の資格を活用されて居られる人と、

私の歯科は全く意味合いが違います。

そこがターニングポイントなんでしょうね。

 

紳士のたしなみ

私の患者さんの殆んどは女性患者さんです。

と聞くと、

なんとも羨ましい限り!と、

同業の歯科医の先生方はお感じになられるでしょう。

私もありがとうという気持ちで、

患者さんをお迎えしています。

今は【個性】の時代です。

患者さん各々の【個性】ひきたつ【キッカケ】になるナニかを

折角ですから、

歯の治療において見つけて、

然り気無く、

治療に活かすように心がけてきました。

横顔のラインの流れ、

リップの張り、

ほうれい線の目立ちを無くする、

鼻の下の小じわ。

いつまでも女性は若くあれと、

医療とは別の美容の部分ですが、

美容を主に患者さんを呼び込むのではなく、

紳士のたしなみでもって、

医療のなかにチョッとした心遣いをと。

それが私のホスピタリティの一部でもあります。

インプラント修復の直前

下の顎の治療です。

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残念ながら、

左下の犬歯と第2大臼歯しかありませんでした。

この歯はマイクロスコープを使ってMTMにて

根管治療を行い、

ポケット除去のための歯周外科処置にて、

完全武装しました。

インプラントの本数は最小限に留めています。

噛むのに必要な本数で充分だと考えています。

アバットメントは既製品を使用しました。

製造コスト削減により、

患者さんから頂く治療費用を軽減するためです。

さて今から、

歯型採りです。

アポイント時間は2時間です。

歯型に2時間!と、

驚かれることでしょう。

特に歯科医の方は。

でも、

歯型の正確さ、精密さで、

技工物の精度が決まります。

コレが命なのです。

 

歯科の王道

仕事柄というよりも、

好んで歯科専門書や文献に目を通すのが

習慣となった私ですから、

知識の源が歯科だけに偏っては、

これまたバランスに欠けたる人格になってはならじと、

他のジャンルの書籍も必ず毎日の読書に採り入れています。

其れでも好みは大いに反映し、

料理人や宮大工などの職人という仕事に就いて居られる方の遺したモノを

つい選んで仕舞うのです。

私らの仕事に難しい理屈など不要であると、

最近になって考えるようになりました。

【勘】なり【感性】の方が

頼りになると私は思うのです。

歯には【命】が宿っておりますので、

この歯の生命を長く長く保つのが私の仕事です。

最近の若い歯科医は辛抱が足りませんし、

良いモノを知らずに育ったように思います。

私らは医療人です。

ホテルのコンシェルジュやドアマンではありません。

と言っても、

東京虎ノ門のホテルオークラや有楽町の帝国ホテルの彼らの仕事には

プロとしてのプライドを十分に感じますが、

最近のチャラチャラした外資のホテルは、

建物と内装は洒落てるんですが、

サービスに関しては、心を全く感じません。

トレーニングされたお手本通り。

相手を思いやる気持ち、

選んで頂いた感謝の気持ちは、

伝統の日本のホテルには足許にも及ばないでしょう。

この高松市も歯科医院の開業ラッシュです。

雨後の筍のように、

次から次へと、

目新しい歯科医院が、

同じようなキャッチフレーズ高らかに開業しています。

若き歯科医の新しい門出を祝福しています。

でも、

競合相手であることに変わりありません。

【三枝デンタルオフィス】は歯科の王道を歩み続けます。

それは診査、検査、診断から治療計画そして実際の治療行為は

勿論のことながら、

【人】と【人】とがかかわり合いを結ぶ場所であることの

王道を私は信じているからです。

それと、

私は若い頃の随分とヤンチャ坊主であった経験が、

私の診療所の命を燃やしているのです。

さて、

ベテランの技を、

これからも、

もっともっと熟成させて、

歯の番人のプロ魂をお示ししたいと思います。

アルフェスタ

趣味を持ってみるか!と、

思いつつ20数年も無趣味で、

歯ばかり。

ただ、

私も初老。

1つのことだけに専念すると

頭がボケるのだそうです。

また、

旧い車でもいじってみるか!

などと思案しています。

当然、

オールド.アルファですよ。

審美歯科治療は頭脳仕事

40代の男性です。

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前歯の外観にコンプレックスを抱へ

永年悩まれておられました。

前歯のスキッ歯は勿論のことながら、

左の前歯が傾いているから、

はい!判りました!

綺麗に治ります!

とは安易に言えません。

歯の隙間を埋めるということは、

歯の幅が広くなるということです。

白い板のようになっては元の木阿弥ですから。

審美歯科治療とは、

自然美の創造でなければと私は考えています。

色調はどうにでもなるんです。

自然な透き通った生き生きとした歯に見せることは、

私の診療所では当たり前です。

問題は形なんです。

で、

こういう困った時には【診断用ワックスアップ】です。

模型の上で、

デザインしながら蝋細工。

こちらはダイレクトボンディング修復で治療するなら?と、

蝋細工してみました。

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形は何とかなりそうですね!

ただ、強度的に破折することが予想されます。

こちらはオールセラミック修復。

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これならトラブルなさそうですね。

私は患者さんが来院されて直ぐに治療を着手しません。

臆病なんです。

予め色んな事象を下準備して、

それで、

再度の確認作業を行って初めて、

患者さんの手当てに入ります。

手を使う時には

仕事のほとんどが終わっていると言って良いでしょう。

頭脳仕事なんですよ。

昔人間

幼い頃、夕食を食べながらテレビでアニメを観ていた私は、

帰宅した父親の車のエンジン音が聞こえると、

急いでチャンネルをNHKニュースに変えるために

テーブルからすっ飛んでテレビにしがみつき、

ドアが開く頃には、

何事もなかったかのように、

黙々と食事してという有り様でした。

今の人には理解出来ないでしょう!

民放を観るのは馬鹿だと、

父親から叱られたからです。

当時の普通の多くが、

今の異常となりました。

良い変化も沢山あります。

昔は満員電車の中での喫煙も普通でした。

これは危ないですよね。

小さなお子さんの眼に火傷の危険性もありますし、

悪い習慣だったと思います。

今の時代、

とても快適な生活を送れるようになった変化は

嬉しいことです。

が、

チョッと間違えてるじゃないか?と、

昔を懐かしむ事象も

多く目につき、肌で感じることも多いのです。

私は昭和男で職人気質。

とてもとても暮らしにくい時代だと感じています。

 

高松インプラントセンター

NHKのニュースで

インプラントのトラブルが多いという報道がされてから、

インプラントを敬遠する患者さんが増へ、

知人の歯科医や歯科メーカーの方が

困った、困ったと、

口々にするのを耳にする機会が増えました。

私は良い兆候だと思っています。

また随分と昔から、

インプラントは社会問題化することを予想していました。

なぜならインプラント治療よりも、

もっともっと基本的な治療を

日頃から正確に行う姿勢が欠けた今の歯科医療だと

悲しい気持ちで、

私が好きで入った歯科界を観ていましたので。

私の診療所は【高松インプラントセンター】です。

このような昨今でも、

インプラント治療の患者さんは減りません。

増える一方です。

が、

なんでもかんでもインプラント治療にもっていく診療所ではありません。

入れ歯の適した症例には、積極的に入れ歯を造ります。

残せる歯は、全エネルギーでもって保存治療を進めます。

インプラント治療でしか治せない治療のみ、

安定感あるインプラント治療をするための

前処置からメンテナンスまで

そうなると、

歯周病、虫歯、噛み合わせ等々、

する事満載で、

ゆっくりする暇もありません。

歯科医はインプラント医ではありません。

歯科医は歯の番人です。

体系化した治療を実地するこの地方の砦でありたいと思っています。

 

娘の進学から

小学6年の娘の中学進学に際して、

このところ学校見学に行く機会が増えました。

私は私学の教育を信じる者です。

それは私学には、建学の精神があるからです。

また、私は受験競争を否定的な眼で観ています。

人格形成の大切な少年、少女期に、

詰め込み教育は弊害しかないと思うのです。

成人となった長女が大学受験の際の

受験校選びと学部選択を観て、

親の口出しする時期としては遅きに失したので、

黙っていましたが、

情けない想いがしたのです。

早稲田、慶応、上智、東京理科大学等々。

スーパーエリート校ばかり。

学部は、ほぼ同系の学部を一校につき複数受験という始末。

これらの大学の特色は大きく違うと、

私は認識しています。

また複数学部の受験は、私をとても驚かせました。

一体、大学で何が学びたいのか?

しかし、これが今の普通なのだそうです。

兎に角、偏差値の高い大学へ入ることが重要な目的なんだそうです。

私は17の歳で、歯科医を生涯の職業として選びました。

早すぎる選択かどうかは、

それが正しい時期での選択であったかは、

今では違う考えを持っています。

専門職への道は、険しい人生を歩まねばなりません。

アメリカのように一旦は普通の教養学部を卒業し、

前青年期を経験した観点を体得してから、

専門職への大学へ進むというシステムを

私は支持しています。

一般教養の足腰を鍛えてからの

専門職への進学が望ましいと考えています。

人生は長いのですから。

若い時期に、腰を据えて机に向かうことはとても大切な

忍耐力を生むからです。

創造力は、

その前の段階、即ち学童期に周囲環境の援助で、

育てることが大切だと思います。

そういった意味で、私は中学、高校の選択は

子供の将来への大切な第一歩だと考えています。

ある中学での出来事です。

管理職の教員の先生が仰いました。

離婚率の高さを鑑みると、女性の自立が重要である。

私の周囲には大勢のキャリアウーマンがいらっしゃいます。

生き生きと仕事に全エネルギーを投入されておられる姿を

凛々しく感じて、応援したくなる想いです。

が、

それと同じ、嫌、それ以上のストレスをに

彼女達が戦っているのも知っています。

女性の自立ってなんなのだろう。

私は大いに考える処ありの日々を過ごしています。

仕事とは死ぬくらい厳しいモノです。

食べる手段としての仕事。

余暇の元手を得るための仕事。

私は子達に、その様な仕事観を持って欲しくはありません。

一生を賭けるに値する仕事を見つけて欲しいと思います。

それは社会的立場の高さや報酬の高さが決して尊いことではない、

という事にも気づいて欲しいのです。

どんな成功者でも、

下積みの苦しい、貧しい時期を経験しています。

それに耐えられる原動力は、

この仕事に就きたかったという感謝です。

感謝と度胸無くして、

仕事など出来ません。

楽しい人生、楽しい毎日?

バラエティー番組は楽しいですが、

観て楽しんでいる側は単なる阿呆です。

バラエティー番組で演じ、

そのタレント生活を長期間維持する芸人の側は

それは血を吐くような努力の日々を過ごしていることでしょう。

面面だけを観て、判断して欲しくありません。

そのために、

私は前青年期には、

私学の建学の精神のシッカリした学舎で、

命よりも大切な我が子を

周囲環境のなかで、

のびのび、かつ、厳しく

過ごして欲しいと、

それが私の父たる責務だと思っているのです。

 

太陽の搭

先日、娘と高速道路の車道から

そびえ立つ太陽の搭の外観を車中から仰ぎ、

走る車の車窓からの一瞬でしかありませんでしたが、

娘して心の高揚を覚えたのです。

新潟へ参ります度に、

太陽の搭の横を走ります。

その度々に、

必ず私の視線は、

大地にそびえ立つ太陽の搭へと向かうのです。

大阪万博は、私が小学1年の頃に開催されました。

幼い私は、

この搭の偉様に圧倒されたのです。

製作者の岡本太郎氏を

心から天才だと思います。

どう考えても、

自分の感性、能力では、

あのような造形を創造することはできませんし、

搭は、

命のエネルギーの結晶を周囲に放っています。

私は、そう感じています。

【芸術は爆発だ】という氏の台詞は

あまりにも有名です。

良い上手い表現だとも、

私は幼い頃から、

脳裏にこの言葉が焼き付いていました。

私は、

なりたくて、なりたくて、

歯医者になりました。

仕事の内容は、

極めて精密さ、正確さを求められます。

自分の仕事の評価をする人間の中で

一番の批評家は、自分自身です。

ですから、

仕事の性質柄、

自分の中に、

自分の中へと、

籠って、

自分自身を封入する質に

人格が変化していったと感じています。

が、

それでも私は、

歯の仕事をする過程において、

自分の全エネルギーを

私の身体の中で、

爆発させて、

患者さんに臨んでいます。

体内にエネルギーを凝縮させて、

火の塊となった私の【気】を

指先から、

患者さんの手当てに注ぐ。

それが私の情熱の治療だと、

この頃に、

ようやく気付くようになりました。

私の歯科治療は、

そびえ立つ太陽の搭のようでありたいと、

患者さんの合間に、

ふと、

そんなことを思うのです。