日別アーカイブ: 2016年11月26日

審美歯科を受ける前に

手前の第1小臼歯は、私のダイレクトボンディング修復の作品です。

直ぐ隣の第2小臼歯は、本日、仮歯を装着しました。

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今日から暫くの間、

患者さんに使って頂いて、

上の対合の歯が、この仮歯のどのポイントに接触するのか?を、

観察して、

必ず修正すべき部分が生じますので、

その問題点を修正してから、

最終セラミッククラウンに、

その形を反映させるのです。

その後ろの数本のセラミッククラウンは、

私の治療ではありません。

根管治療も不完全であり、

根管の中にファイルという器具が折れて、

そのまま放置されています。

クラウンの内側にはファイバーポストが使われています。

しかし虫歯の取り残しが多く、

全く意味を為していません。

こういう無神経な術者ですから、

クラウンも単にセラミックを使ったというだけで、

形体も清掃性が悪いモノで、

削った境目も完璧に封鎖出来ていません。

なんのための高い費用の治療だか!

腹が立ってなりません。

今日は、

クラウンを外して、

ラバーダム防湿環境下で、

当然ですが、

マイクロスコープでの根管治療を行いました。

審美歯科も、

基礎治療が出来てこその賜物です。

歯医者冥利

歯を削ることを【支台歯形成】と言います。

ですから、削られた歯を【支台歯】と呼びます。

支台歯の形には【決まりごと】があります。

理論的根拠と器用不器用で【支台歯】の美しさが決まります。

支台歯の歯型を採って、石膏を注入し支台歯模型を造ります。

この支台歯模型の上で、歯科技工士が人工歯を製作します。

正確さ、精密さ、造り易さを考慮した模型は、

歯科技工士の仕事の精度に影響します。

また、歯科技工士の歯科医への評価も変わってきます。

所謂、上手い先生、下手な先生という訳です。

そう言った意味合いで、

歯科技工士はキチンとした歯科医を内心では判っています。

私が歯科医に成り立ての新人時代の頃です。

大学病院の技工室へショッチュウ出入りしていました。

大学病院の歯科医の全ての支台歯が、技工室へ集まるからです。

どの先生の支台歯が上手いのかは、判っていました。

ご本人には内緒で、

それこそ穴が開くほど、観察していたものです。

手を使う仕事には、

どうしても上手い下手があります。

若い時分の私は、

そりゃ上手くなりたかった!

喉がカラカラになる位の、

上手さへの切望があったと思います。

当時の私の心の内の感情や表情まで、

自分のことですが、

目で見えるように覚えていますもの。

あれから30年近く経ちました。

患者さんにセットし終わった後の支台歯模型は、

産業廃棄物としてゴミ箱へ行く定めにあります。

が、

私の支台歯模型は、大勢の若い先生の元へ

養子に貰って行かれます。

ありがたいことです。

患者さんの支台歯形成をする時に、

お手本にするんだそうです。

私は、歯科治療が好きで好きで堪りません。

私の削った歯の模型が、

何処かでお役にたつのならば、

これまた歯医者冥利に尽きると感謝しています。