日別アーカイブ: 2017年8月2日

父息子

息子としばしば電話で会話するようになりました。

昨夜、

息子が語り出しました。

父ちゃんが以前、ポツンと口にした

【やむを得なかった】

と云う台詞。

小学時代に父ちゃんと一緒に

婦人科のオッチャンの見舞に行って、

オッチャンが言った台詞。

【やむを得なかった】

中学の時も、

高校の時も、

全然、判らなかった。

今ね、

なんとなくやけれど、

チョッとだけ判るような気がする。

私ですか?

そうか、

とだけ。

また、

このような事も言われました。

父ちゃんは全部、

自分の裏側まで息子に曝けだすけど、

それは凄いことだと。

私ですか?

これからお前も、

一波、二波、

では済まんわな。

次々と大波が来るで。

でな、

本に載ってるような立派な人が居る筈ないわな。

少なくともお前の親父は、

泣いたり、

心細かったり、

気が小さくクヨクヨしたり、

悩みに悩み抜いたり、

絶望に喘いだり、

まぁ、たいしたことないのや。

其れをシッカリと息子のお前に見せておく。

いつかお前の安心材料になる筈じゃ。

だから俺は隠さない。

私は息子とは、

相手が子供と云うことを無視して、

ズッと、

こういう姿勢で接してきました。

それが正しいのか、過ちであるのか、

私には判りません。

物事の基準は、

時代によって様変わりするものです。

昔の普通が、

今の異常って多いじゃないですか?

ただ、

自分を支えるつっかえ棒みたいなもの、

心を秘かに避難させる術ってものを

私は教えておこうと思ってるんです。

私も55になります。

辛い時でも、

自分の方が守ってヤらねばならない者の方が多いんです。

誰かの処へ、

避難する訳にはいきませんし、

逆に、

正面から向かい合わねばなりません。

だから、

男はつらいよって

映画のタイトルにもなり、

長い間ヒットし続けたんじゃないですか?

息子が言います。

友達の間で、

父ちゃんの話しで笑いに花が咲くんさ。

私ですか?

そうかい。

とだけ。

 

頃合い

今では判った顔して、

それなりに大人の男を演じているものの、

実際には、

幼い頃から何にも変わっちゃいません。

好奇心も相変わらず。

幼い頃、

神社仏閣参りが好きだった私は、

今でも、

夏の酷しい日射しと蝉時雨の中に立つと

思い出すのです。

静まりかえった寺の中。

都合の良いことに、

留守番婆さんは不在の様子。

そ~と、

本堂の奥の、

祈祷台の向こう側まで、

そぞろ歩き。

で、

ご本尊さまを安置したる大きな蓋に手をかけて、

そ~と、

開いて秘かにご本尊さまのお顔を

仰ぎ観るのです。

何でも次の御開帳は30年も先のことと云う。

それならば、

とっくに大人になってしまうじゃないかと。

手をあわせて日頃を感謝するのに、

仏さまが怒る筈はないだろう!という。

観るなと云われれば、

観たくなるのが、

私の性分だったのです。

時代劇の忍びの者に影響され、

家の天井裏に上がって、

足元誤って、

大きな穴を空けたことも在りましたっけ。

こんな様子ですから、

家でも、

学校でも、

しょっちゅう叱られていました。

医局時代でも、

よく叱られていましたね。

国道を走行中に、

前をトロトロ走る白いセダンに苛ついて、

シュパッっと、

追い抜きかけて疾走したら、

翌日、

突然に教授からの呼び出しを受けたのです。

気の毒そうな表情で私を観る秘書の顔つきを

今でも覚えています。

白いセダンの主が、

なんと私の指導教授その人だったのです。

師匠の車を追い抜くとはナニゴトか!

師の影を踏まず!

風呂に入ったら師匠の背中を流せ!

茹で蛸のように顔じゅう紅潮させて怒鳴りまくる

私の指導教授に、

直立不動の姿勢で両の手の先までピンと伸ばし、

神妙な趣でうつ向き

大いに聞く姿勢を見せるものの、

余りにも大人気ない口上に、

下唇を上の前歯で噛んで、

笑いを堪えるのが大変でした。

ですから、

私も幼なかったですが、

この指導教授は、もっと幼子であったように思います。

この指導教授の話しをすれば限りありませんよ。

私が学生時代だった頃には、

超ヘビースモーカーであったこの指導教授。

90分の講義の間に中座して、

教室前のロビーで喫煙タイム。

それがご自身が禁煙を始めてからは、

ありとあらゆる処は絶対禁煙とし、

煙草の煙を見れば、

手で払い退けるほどの変貌ぶり。

こういう処は、

至る処で発揮され、

スキーにハマれば、

日曜日の早朝、

私などはご自宅までお迎えの運転手。

おう!三枝!

歯科保存学を制するためにはスキーは必須!

と、

訳の判らぬ自説を延々と。

私の車であるのに、

助手席で脚をフロントグリルに乗っけて、

缶ビールをグイグイ飲む始末。

今度はゴルフ。

自分のショットのあとは、

後ろに並びし弟子たちに、

ナイスショット !

と言わせるスタイル。

次にハマったのがダンス。

学会の親睦会にて、

ブラックタイの出で立ちで、

スーパー?ダンスをご披露に。

本当に恥ずかしい思いをしたもんです。

今でも、

ご当人を除くみんなが集まった際などには、

蛸と云う渾名で、

酒の肴にされているとも知らず、

良い意味でも、

色んな意味あいでも。

まぁ憎めない大人でしたね。

今、

テレビなんかでコンプライアンスって聞くでしょ?

私らの時代って、

今では全部アウト!でしょう。

ですから、

私なんぞ、

いつもハラハラしながら過ごしています。

私らの普通がハラスメントになりゃせんか?と。

でも反面、

厳しさも絶対に認められていた時代ですから、

医師教育と云う意味では、

当時に教育を受けた人間の方が

絶対に手が動くと思います。

なんでも程度、頃合いってなものが大切ですね。

 

 

 

患者さんとの雑談

30代の女性患者さんとの雑談から、

とても大切な治療上のヒントを見つけて、

反面、

慌てたのです。

インプラントを埋入して10日ほど経過しての

チェックのために来院されていた患者さんです。

で、

この間、内科でお薬を出して頂いたのですと。

血圧が低いせいでしょうか?

寝起きが悪いんです、

それなら、

この薬を出しましょうって言われて飲んでるんですが、

なんか、足先の浮腫も取れたようで、

調子良いんです。

はぁ?

どれどれ?

何て薬?

眼鏡フレームを思わず手に、

えっ!

この薬の効果は血圧を上昇させるものでした。

そのメカニズムは、

薬が働いて、

先ずは身体の末端に行き渡った末梢血管を縮じめます。

血管が縮じむと血の流れが悪くなります。

で、

これはイカンと慌てた心臓がポンプの力を強化して、

結果、

血圧が上昇すると云う顛末に。

薬を飲めば即効性がありますから、

この方の云う

朝の寝起きの辛さは改善します。

私はこの女性患者さんに向き合って、

思わず、

大真面目に語ったのです。

確かに、

朝の寝起き辛さは良~く判ります。

でもね、

こういうメカニズムで無理やりに血圧を上げるんですよ。

無理やりが本当に何時まで続きますか?

ず~と、頑張れるものでしょうか?

また、

この薬には甲状腺への影響があります。

○○さんは確か甲状腺がお弱いと

私は認識しています。

今はコントロールされてますが、

そういう体質であると云う意識で

私は治療させて頂いています。

以前に私が治療したインプラントは経過良好ですが、

この前に手術させて頂いたインプラント今が1番大切な時期です。

いつも手術前には、

皆さんにお話しさせて頂いているように、

思い出してください。

術後4日目から、

骨芽細胞が出現して、

その後の3週間ていど活発に細胞活性が高まるのです。

この時期にバランスのとれた栄養の摂取が大切になりますし、

喫煙などを止めて、控えてと云うアドバイスがあるのは、

血行が悪くなることを恐れてのことなのです。

血の働きによって骨が出来ますから、

インプラントについては、

この時期は大切なのですよ。

後日、お医者にはご相談して頂くとして、

とりあえずは、

ある時期までは、

このお薬の服用は控えてください。

しかし、

お薬にお頼りになられる前に、

水分の摂取が少ないでしょう?

もっと沢山、意識して水分を摂ってください。

で、

民間療法のようで馬鹿にせんで下さい。

膝から足先の方へ向かって、

ご自身の手で、

シッカリとマッサージするようにして、

末梢まで血液を送って下さい。

健康は、

先ずはご自身で日頃の生活習慣を整へ、

ご自身でできるチョッとした手当てを続きることから

意外と簡単に維持できるものだと。

病気になってから後悔するよりも、

今、元気で体力あるうちに、

意識して過ごしてみませんか?