月別アーカイブ: 2017年9月

ホッとした週末

メスを手にして、

四半期が経過したのですが、

特に高齢者の方への手術は、

未だに、

大きな負荷がかかります。

それは、

手術の技術的な問題ではなく、

身体に侵襲を少なくして差し上げたいとの

配慮から、

例えば麻酔薬の量を控えて、

それでも痛みも無いように、

そんな気遣いが大切です。

79歳の女性の手術が終わりました。

麻酔薬の量は虫歯の治療と同じ程度で済みました。

ただし、

麻酔薬が効くまでゆっくりと待ち、

手術時間の大半は、

麻酔をしては待ち、

で、

再び麻酔しては待ち

の、繰り返し。

手術後は直ぐに鎮痛剤を服用して頂き、

お迎えの方が来られるまで、

ゆっくりと待合室にてお待ち頂き。

どうやら痛みもなく、

ホッとされて居られる様でした。

私も肩の荷が降り、

ホッと。

夜、

マッサージの予約を入れました。

年から言えばベテランの域に入っているのでしょうが、

本当はこんなモンですから。

母校の絆

診療所の郵便受けが

イッパイになっているのに

気づき、

で、

内容を確認し、

思わず直ぐに、

書籍の頁を捲り、

外に居るのも忘れ、

見いってしまったのです。

先刻、

大学の補綴科に所要が在り、

電話を入れた際に、

偶然に電話に出られたのが、

補綴学講座の小出 馨教授だった事から、

長話に興じたのです。

その際に、

総入れ歯の話しに華が咲き、

小出 馨教授の最近の著作を

送って下さるとの事。

こんな速くに

送って下さるとは思わず、

しかし、

よく出来た著作であることに、

あぁ!母校は大丈夫だと

安堵したのです。

日本歯科大学の絆の強さが、

他校の卒業生には理解できない程に強いのは、

類い稀なる100年以上続く【私塾】であることが

大きく影響していると思います。

小出 馨教授は補綴学、

私は保存学。

専門の違いこそ在れども、

小出 馨教授の著作から診る診療姿勢から、

顎の骨の吸収を抑える

保存的配慮を大きく感じたのです。

総入れ歯を勉強される歯科医師にとって、

非常に有意義な書籍であると

自信をもってお薦めします。

この送って頂いた書籍、

今年中には、

頁がボロボロになるまで、

読み返し、

著者である小出 馨教授も驚く顔を

想像しています。

 

 

 

手術前

昨日は早々に、

後片付けは宮田君にお願いして、

帰宅させて貰いました。

今日の手術に備えて、

ゆっくりと休養させて貰らうためです。

超高齢者の患者さんの手術です。

全身状態に

全神経を集中させて、

安全運転しなければなりません。

循環器に最小限の侵襲での手術を行う積もりです。

手術と言うことで、

只でさへ緊張している患者さんです。

安心して、

治療を受けて頂く。

私自身が一番の安定剤であるために、

ゆっくりと休養させて頂きました。

 

 

 

苦笑い

歯科衛生士の宮田君も

手慣れたモノです。

執刀する私は

麻酔とメスに集中するだけで

楽させて貰っています。

手術前の、

口腔内を清潔にする手当てから、

術後のケアに至るまで、

宮田君が手慣れた順序にて、

片付けてくれます。

先ほどのインプラントの埋入手術でも、

私の出番は30分も無かったろうと思います。

勤務してから6年経過した

この歯科衛生士は、

私の診療所を熟知したる業界人からは

一目置かれているそうな。

細かく、

何かにつけて煩い、

変人歯科医師の仕事上のキャディを務めれる事に

皆が感心しているそうな。

明日も難しい手術が在ります。

1症例を終わらせた瞬間から、

頭の中は、

瞬時に、

次の症例へと切り替える私には、

こういう話しに、

ただただ苦笑いするだけです。

 

若者へのメッセージ

今朝、

興味深いメールが、

私の診療所のホームページでの

問い合わせフォームから入っていました。

ウチの学生さんからです。

歯学部の学生は、

世間からの想像を絶するくらいに、

勉強しています。

ただ、

これは最近の歯学部の学生に限ってですが。

私の時代は、

歯学部に入学することで、

歯科医師免許証を頂けると言っても良いくらいに、

楽な環境でした。

ですから、

遊び呆けていました。

が、

今の時代は、

歯科医師飽和状態にて、

歯科医師数削減が緊急課題ですから、

国家試験は、

選抜試験の様相です。

そのような背景にも関わらず、

歯学部を志願した学生を

私は応援しています。

先生は挫けそうになったことはありませんか?

挫けそうになった時には、どうされていますか?

そのような問でした。

医師であり続けることは、

医師になるよりも難しいと、

この頃ヒシヒシと実感しています。

私が過剰なくらいに

読書するのは、

自分の経験値を越えての、

悩みへの解答を探しているからだと思います。

自分の仕事に対して、

真摯に向き合えば向き合うほど、

他事に割く時間とエネルギーはありません。

何をしていても、

全てを

歯の仕事に結びつけています。

古い車の修繕にしても、

エンジニア的な感性を養うために他なりません。

【縁】と云うモノを

大切に思っています。

歯の仕事に就いたのも【縁】。

新しい患者さんがお越しになるのも【縁】。

運命的とも言える【縁】を大切に、

そうに想えば、

挫ける一歩手前の処で、

踏ん張って、

踏ん張って、

これはもう、

やせ我慢の域に達していると思います。

自分の身体と心に、

自分自身で鞭を打つ。

職人の性かもしれません。

が、

鞭を打つことで、

自身が鍛え上げられるのも事実です。

そのためには、

先々の自分の有り様を

イメージしながら、

夢を持つことが必要です。

願えば叶う。

夢を抱く情熱が

全ての原動力となるでしょう。

青春坂と云う言葉が好きです。

若者は、

青春坂を駆け走って欲しいです。

私は既に55を迎えていますが、

未だに、

青春坂を、

一歩一歩、

歯を喰いしばって、

徒歩で登っています。

頑張れ若者よ!

其れが先人からの

熱いメッセージです。

部分入れ歯への挑戦

あっという間に

夏が終わりました。

今年も最終シーズンに入りました。

歯科医師過剰にて、

酷しい歯科業界であるにも関わらず、

私の診療所は、

大勢の新しい患者さんに恵まれています。

私の歯科治療は、

【考える歯科治療】をモットウにしています。

手先が器用であるのは当たり前。

ですから、

まだまだ勉強しなければなりません。

噛む力は強大です。

歯科治療は、

この凄まじい力のコントロールへの計算に尽きると思います。

来年の課題は、

部分入れ歯に焦点を当てようと思っています。

歯科治療で一番難しいジャンルは

間違いなく、

部分入れ歯だと思います。

現在まで蓄えてきたノウハウで以て、

やっと、

部分入れ歯に挑む気持ちになりました。

超高齢者の治療においては、

外科的侵襲を極力、

避けなければなりません。

また、

唾液腺の萎縮による、

唾液の分泌量の低下から、

乾いた口腔環境が、

虫歯の多発を誘因します。

部分入れ歯の保持となる

残り少ない歯を

虫歯から守らねばなりません。

私の脳髄は、

部分入れ歯の設計の基本型を探し求めて

フル回転しています。

其れが私の現状です。

ブリッジ治療の前準備

この患者さんはブリッジの適応症例です。

初診の際の所見です。

可哀想ですね。

修復物を撤去します。

クラウンを被せる際に歯を削ることを

支台歯形成と呼びます。

この形成デザインが悪いと、

歯肉に炎症が生じます。

で、

形成の修正を加えて、

仮歯を装着します。

それぞれの歯の大きさのバランスがとれていませんね。

しかし、

前医の為した修復物を外しませんと、

実際に中を直接に診ないことには

正確な診断が付きません。

アンバランスな前歯の見栄えの修正には、

歯周外科が必要です。

これも、

仮歯を実際に入れてみて初めて判断出来るのです。

あと、

興味深い所見を見つけました!

歯の根に亀裂が入っています。

これに気がつかないで、

先に治療を進めると、

ブリッジは早晩にダメになるでしょう。

この歯はブリッジの土台には使えません。

抜歯です。

この症例はインプラントの適応症例ではありません。

左右前後の歯の状況、

そしてインプラントを入れるスペースの問題から、

ブリッジを選択すべきでしょう。

ただ土台の数を増やす必要が在ります。

どの歯を土台として利用するのかは、

歯周外科によって、

実際の骨と歯の状況を確認しつつ、

審美的観点、

力学的観点から決定します。

ブリッジは決して簡単な治療ではありません。

確実に進めるには、

各治療のステップ、ステップ毎を

丁寧に、

慎重に、

手当てするに限ります。

歯が大好き

朝、

日本歯科大学の補綴科の医局に所要があって電話したら、

小出 馨教授自らが受話器をお取りになりましたので、

ビックリし、

と言いながら、

ついつい長話。

先生のご専門が入れ歯であることから、

またまた長話。

歯の話しを始めたらキリがありませんね。

まだまだ治療の半ばですが、

あの患者さんです。

今日は上顎の状態をお見せしましょう。

歯槽膿漏でブラブラの歯を残そうとする

心構えには敬意を表したいと思います。

が、

その無謀なる想いが、

この患者さんの治療を

こんな風にした原因なのです。

歯科保存学が専門の私ですが、

この場合には、

歯の保存よりも、

歯槽骨の保存を優先します。

抜歯です。

歯が全くありませんが、

綺麗な粘膜に仕上がってきました。

仮の総入れ歯です。

簡単には外れません。

ピタッと吸着しています。

下顎の状態です。

インプラント支台による仮歯を固定しました。

今日から、

お好きなモノをお召し上がりくださいと。

で、

お顔です。

初診時です。

 

で、

今日のお顔です。

今日からシッカリと噛むことで、

表情筋も活発化し、

頭蓋の骨格もシッカリしてきます。

そのためにグン!と若返りした表情筋肉に発達します。

そこで再度、

精密診断して、

最終入れ歯の歯の位置や形を決定するのです。

若返りのお顔創り

一昨日のブログにて、

ご報告した患者さんは、

私の診療所の患者さんの中で、

最優先で治療を進めています。

緊急性が在る患者さんだからです。

噛む歯が在りません。

骨の中で遊んでいるだけのインプラントも、

骨とは殆ど結合していません。

軟組織も感染手前です。

早々に、

インプラントを除去しなければなりません。

こういう症例は、

一応の安定が得られるまでは、

スピード勝負でも在ります。

と言っても、

正確さは、

絶対に維持した治療でなければなりません。

人工の歯を植える基準を得た蝋模型に、

人工の歯を実際に植えました。

今日の夕刻に、

患者さんにお出で頂き、

お口に入れて、

お顔創りの確認作業を行います。

私の総入れ歯は、

絶対に噛めます。

チョッとやソッとでは外れません。

今は、

若返りを得られる総入れ歯造りに励んでいます。