日別アーカイブ: 2018年2月15日

歯科医師の全身管理

超高齢化社会の中で、

歯科治療を【普通】に行う時代になりました。

私の教育を受けた時代には、

考えられないことです。

昨秋もそうでしたが、

診療所での患者さんの所作を観て、

即、

県外の私立医科大学病院へと誘導し、

くも膜下出血の爆発する直前の漏洩の段階で、

危ない処から危機一髪で逃れた患者さんが居られました。

私の診療所の患者さんが増えれば増える一方で、

当然の結果として、

歯科以外の異変を感じる機会が増えました。

また、

口腔粘膜の視診や、

麻酔前に脈をとったり、

心電図のモニターから、

?を感じる機会が増えました。

それは高齢者だけではありません。

壮年期の方でも、

超ストレス社会です。

心と身体に負担を強いられているのだと思います。

私が医科との連携を重視する、

或は、

患者さんの全身状態に気配りするようになったのは

訳が在ります。

現在、

日本歯科大学新潟生命歯学部にて学部長を務める

藤井一維教授が、

麻酔科の準教授から、

新設された全身管理科の教授へとなられた時です。

ああ、時代は変わるぞ!

歯学部から生命歯学部と云う、

当時は妙な感じの印象を抱いた

学部名称の変更でしたが、

今になって、

その訳を実感しています。

修復中心の学問を中心に過ごした私です。

その辺りには弱いことを自覚していました。

ですから、

医科の専門書、

特に内科、外科の専門書は相当読み返しました。

判らない処は、

藤井教授に即、電話。

そんなこんなの繰り返しを10年です。

私は医師ではありませんから、

治療はできません。

が、

私は歯科医師ですから、

誰が上手な歯科医師であるかを判断できます。

その眼で、

私は自分の患者さんが

スムーズに

安心して、

診療して頂けるような

何処の誰が、

その分野において長けているのか。

そして、

その医療機関は患者さん本位の精神を持っているのか?

そのような基準から、

私の患者さんの異変が生じた際の

仕組みを構築したのです。

ただ、

10年って長いですからね。

途中で、

私の基準に満たさない医療機関ができたのも事実です。

医師も人間です。

色んな事情なり、

医師自身の考え方が変わる場合、

スタッフの口が軽い、

受付対応に問題がある。

そんな感じが、

私の基準から転げ落ちた理由です。

厳しいと言われるかもしれません。

しかし、

私は自分の患者さんが1番大切です。

昨日のような突発事項が生じ、

患者さんがご無事であった時の嬉しさほど、

言葉になりません。

それと共に、

私より1年後輩に当たる藤井教授。

私が先輩であると云うことを、

こういう時には忘れてるんでしょうね。

厳しい指導なり助言を頂いて来られたからこそ、

今の私が在るのだと、

照れ臭いので電話しませんが、

ありがとう!

感謝しているのです。

患者さん第1主義

昨日最後の患者さんは、

メンテナンスを既に20年の長きに渡り、

1月半の間隔で、

通われている76歳男性でした。

大がかりなインプラント歯周補綴治療を行った患者さんです。

無論、

インプラントも修復も問題ありません。

ただ、

神経を採った歯、

これは私の30代前半の頃の治療ですが、

根の先にレントゲン上で陰が視えるのです。

これは、

来るべき時が来たぞ!

歯の根にヒビが入ったか?

それとも、

根管充填材のパッキンが甘くなったか?

何れにしても、

対応を考えるために、

メンテナンスから【再評価】のために、

来院して頂いたのです。

診療室に入室して頂くと、

診察の前に、

歯科衛生士の手によって、

口腔内のクリーニングがなされます。

プラークの微塵もない状況で、

観察することが、

診査の第1歩だからです。

クリーニングが終わった頃を見計らって、

私は診療室へ入室します。

で、

チェアに座る患者さんの前に出向いて、

挨拶する。

これが私の診察のスタイルです。

が、

!!!

患者さんは普通に

季節柄の挨拶をなさっておられますが、

私の眼はハンターの眼へと変化し、

患者さんのお話しを聞く耳は獣の耳へと変わったのです。

チェアを下ろし、

手を繋いで、

この紳士に対して、

このような行いをした機会は1度もありません。

患者さんの方が、

戸惑っておられます。

○○さんの【かかりつけ医】は確か○○総合病院ですね?

はい、

鞄から診察券と保険証を出して下さい!

次は担当医の名前をお願いします。

じっとソファーにてお掛け下さい。

私に任せておいて下さい。

急に不安になる○○さん。

この数日、しんどかったんですよ。

瞼も朝から下がってきて。

先生、何ですか?

○○さん。

恐らくごく軽い脳梗塞かもしれません。

今日の治療は、

私の判断で中止させて頂きます。

お車でお越しですか?

いけませんよ!

運転はさせられません。

私が代行して運転させて頂きます。

助手席に乗って下さい。

宮田君!

悪いが君の車で着いてきて、

私を帰りに乗せてくれるかい?

では、

準備して下さい。

その間に、

私は○○総合病院と打ち合わせしておきますから。

時間は10分で完了しましょう。

患者さんを横に、

○○総合病院へと電話し、

25分後には到着する旨を伝へ、

先方も担当医を呼び出し、

検査等の準備を整えておくとの事。

助手席の○○さん、

ご不安そうでしたが、

ごく初期の症状ですから大丈夫!

安心させる声をかけるのですが、

所作から、

ほぼ間違いないでしょうと、

内心では、

速く速く病院へとと。

総合受付では、

話しが通っている様子に安心しました。

この際に、

公立病院のあまりにも事務的な対応に

腹が立つ機会が多いのです。

この病院の院長がシッカリされておられるのでしょう。

外来までは、

受付嬢に同行を依頼し、

私は○○さんの後ろ姿を見送ったのです。

2時間も経っていない頃、

○○さんの携帯電話からご本人からの報告を受けました。

先方、ありがとうございます。

先生の言う通りでした。

簡単な手術で済むそうです。

皆さんを待たしとるんです。

先ずは御礼をと。

この頑固親父を

私は若い頃から好感を持っていました。

速く手術に行って下さい!

あぁ先生、入院は2週間程度ですって。

退院したら、

歯、お願いしますよ!

電話を終えたあと、

私は神さまに祈りを捧げました。

ご無事でありますようにと。

先生、自ら病院までお送りしたんですか?

帰院してから、

お送りする間、

診療所は閉めていましたので、

出直した歯科関係の営業マンが驚いていました。

私からすれば、

驚くことはありません。

私の診療所の中で異変が生じた際には、

医科領域であっても、

次の処置する相手を診て、

委して良いかどうか判断する。

ここまでが、

私の職責ですから。

これが【三枝デンタルオフィス】が四半世紀、

他の追従を受け付けない理由の一つです。

私は患者さん第1主義者ですから。