父の威厳で


ー チョッと犬が産まれたんで見に来ませんか! ー

が、まずかった!

今月が誕生月である上の二人の娘から両手を合わされ、

末の娘までもが、皆で声を揃えて

もう夕御飯までのオヤツは買わなくても良い我慢するからと。

既にマリリンも、ラッシーも成犬となって普段はビクリともしなくなり、

手間は要らなくはなったのですが。

何処かへと出向く際には、犬だけホッタラカシにする訳にもいかず、

車のなかは人間より犬の方が場所を採る始末。

ホテルも昔はリッツカールトンやオークラであったのが、

今では犬と同伴で みんなで一部屋1万円なりの旅籠屋チェーンが贔屓となりました。

今日はショッピングモールで3年も1足で通した通勤用の靴でも買い替えようと、

が、3人娘の眼と、この目の前に鎮座したる子犬?の眼に、

あぁ、靴もスーツも我慢しようと覚悟したる私です。

私は雄の犬は苦手です。

掛けばりの後始末は、もう御免だ!と、

娘たちにすがる眼で哀願したのですが。

真ん中のモモちゃんが責任をもって世話をすると云う。

確かにラッシーの世話は、何から何まで上の娘がしています。

リードも引っ張らずに、私のしつけたマリリンよりもお利口さんであることは確かです。

内心で、子育ても犬の躾も、子供に負けた!と忸怩たる想いで、

娘とラッシーが戯れるのを眺めています。

父親とはかくも娘に弱いモノです。

ここまできたら、あと1匹くらいは何とかなるかと。

段々と我が家の食材の質が落ちていくのを調理で補おうと

覚悟を決めました。

名前は【平蔵】

これだけは父の威厳で譲りませんでした。

だって、セントバーナードですよ。