虫歯との戦い

私の歯科医としての第1歩は、歯科保存学からスタートしました。

その後、縁在ってレイモンド.キム先生などの影響によって、

歯周病治療、クラウン治療、そしてインプラント治療が臨床の大半を占めるようになりました。

特に1990年代の前半からは、インプラントメーカーのインストラクターとして歯科医向けの講習会活動を行うようになったことから、

インプラント治療は、私の歯科医人生の歩みと同じと言って良い程に、大きな関わりあいを持つ事になり、

私の毎日は、インプラント治療に明け暮れるようになりました。

但し、私のインプラント治療は明らかに、歯科保存学とレイモンド.キム先生仕込みの歯周補綴の影響を受けています。

それが私の強みだと、師匠と、その縁に感謝しています。

私にとっては、歯周病の治療なりインプラント治療は、其れは其れで日々研鑽に努め、技術の向上に精進を続ける積もりですが、

それはプロとしては当たり前の事だと思っています。

50を既に過ぎた私にとって、私の歯科での生きた証しとしての仕事に取り組む事が、私のなかで大きな関心事となりました。

それは歯科保存学でスタートした私は、最後はヤハリ歯科保存学で幕を終えたいと願う気持ちが強くなりました。

歯を長持ちさせたいと云う気持ちが、歯を失ってインプラントにて補う事よりも

私には重要であると思うのです。

そもそも歯を失わなければ、インプラント治療の必要性はありません。

歯周病については、私の診療所では既に解決済みであり、

この点については、患者さんのお役に十分たっていると自負しています。

虫歯が進行し神経を採る根管治療に至らない手当てを行う事が、

歯を失わない第1歩だと確信しています。

神経を採った歯の破折に、歯科医は無力です。

この様なシチュエーションに遭遇した際に、私は敗北感に苦しんできました。

虫歯の進行にストップをかける事が、今後の私の課題です。

虫歯の予防としてのフッ素塗布や様々な洗口剤を見かけます。

確かにその効能により、虫歯は減少していますが、

それでも根絶出来てはいないのが現状です。

また、高齢者は唾液の分泌が著しく減少します。

その事で、口の中は酸性環境と偏り、歯は酸の力で脱灰し、虫歯が発生します。

特に部分入れ歯の症例においては、入れ歯を安定させるがために残った歯に細工を施しますが、

この細工をしたことが仇となり、エナメル質が稀薄となった処が、虫歯になりやすくなることを

長い臨床経験から知りました。

審美治療の際のセラミック修復においては、虫歯が生じないような方略を予め手当てとして施すことも、

臨床経験から気づかせてくれました。

患者さんを長く経過観察できた事が、私の大きな財産だと、患者さんたちに感謝しています。

日本歯科大学は、我が国で最古で最大の歯科大学です。

その懐の深さに感謝しています。

保存学教室第2講座と生物学教室との共同で、私の虫歯への挑戦の研究がスタートしました。

私たち歯科医は、最後はヤハリ虫歯との戦いだと思います。

医療人とは、患者さんのお役にたつ事を第1とすべきであることは揺るぎない事実です。

私は、少年から青年への移行期に歯科医になりたくて、なりたくて、

この道に入りました。

自分の望んだ職業に就けること程に、幸せなことはありません。

歯科の世界で、無我夢中で、楽しみ、苦しみ、それも楽しみかもしれませんが、

振り返れば、果報者だと天に感謝しています。

虫歯との戦いは、私の最後の御奉公だと思っています。