強く、しなやかに から


この頃は、怪我のせいにして、

早めに仕事を終わらせています。

帰宅の道すがら、

書店へと立ち寄り、

何冊かを買い求めたのです。

【強く、しなやかにー回想.渡辺和子】

一気呵成に読み終えました。

良い余韻が残りました。

今では社会人となり海外に暮らす一番上の娘が、

中学二年の頃だったと思います。

夏休みを丸々以上利用してイギリスの田舎町にある

寄宿舎へ送り出しました。

幼い頃から、初めての娘と云うこともあり、

随分と可愛がり、

学会で海外へ行く時は勿論のこと、

幼稚園、小学校などは、

ショッチュウ休ませて、

海外へと連れ出していました。

親としては、

感性豊かな時に世界に触れさしてヤりたいと

思ったのです。

が、

このイギリスでのひとり旅が、

私にとっては仇となりました。

洗礼を受ける!と言い出したのです。

私は骨の髄まで、仏教徒。

朝のお勤めも欠かしません。

ですから、大いに仰け反り、

動揺しまくった!のです。

親子喧嘩ですよ。

怒る私を横に、

この娘はキリスト教風に両の手を合わせ、

頭を垂れて、瞳を閉じて、唇をギュッ!と。

この姿に、私の血圧は200を越えていたと思います。

この話を友人である歯科医の○○先生にしたところ、

「オレも昔、洗礼を受けたことがアル!」

???

この友人は、

私の知る限りキリスト教信者からは、ほど遠いお人柄。

悪口じゃないですよ。

人の良いお人柄ですよ。

が、

女大好きのスケベ丸出しだし、

煩悩の塊のような、

人間味ある情の深い人でしたので。

「子供の頃な、教会で菓子をくれるのや!」

「それで良い印象を持って、洗礼って訳や」

「今?先祖代々のお経やがな!」

「キリスト教辞めるのに、許可はイランがな!ヤクザやあるまいし」

「お嬢ちゃんの好きにさしとき!」

呆気にとられ、

心も随分と楽になり、

結局は、娘の洗礼式に立ち会ったのです。

昔話で、

娘に特別な信心があるとは思えません。

私は昔気質の人間故に、

キリスト教云々には、実感がありません。

が、

信仰心のない人より、

神仏の存在を信じない人よりも、

信仰を日々の暮らしの支えにする人を、

私は信用します。

この著作から、

俗に誉め称えられる人格者ではない人柄を感じて、

よけいに著者の人柄の正直さに、

尊敬の念を抱いたのです。

読書から思い出した昔の記憶とともに、

人の生きる時間などなど、

考えさせられた一時でした。