活字


昨今は、昔の人と比べて活字離れが著明なのだそうです。

活字中毒の私には到底、理解出来ないのですが。

その様な私が思う処あって、

昨師走から先日まで、

活字を断ちました。

ただ活字のなかには文献や週刊誌の類いは

含まれてはおりません。

文献読みは歯科医師の仕事の内ですし、

歯科という自然科学の範疇にある文章には、

著者の【想い】とか【感性】などは

全く含まれておらず、

完全客観世界の【味気ない】文章です。

ここには【思想】なり【哲学的要素】は

皆無の世界です。

また週刊誌の文章というのは、

文章体には為していないと、

私は考えていますので、

私の中の【種分け】において活字としては

含まれてはおりません。

活字を意図して断っていた私が、

先日コンビニに立ち寄った際に、

偶然、書棚に在った【文藝春秋】を手にとり、

レジへと持ち運んだのです。

衝動的所作と言えましょう。

で、

頁を捲り、

2編の文章を一気呵成に読みました。

私の当初の意図通りに、

乾いた砂漠の砂に染み込む水のように、

私の脳髄に活字は入り込んでゆきました。

この状況を私は欲していたのです。

私が選んだのは、

【父、新田次郎と母、藤原てい】というエッセイを

数学者である藤原正彦氏が認めたモノ。

そして【オール巨人が語る漫才道】という

中村 計氏のノンフィクション記事でした。

読んでみて、

【匂い】というモノに気がついたのです。

古い日本の男という少数派の匂いです。

その事を実感する機会が在りました。

時代遅れになってはならないという

反面反省と焦りもあり、

週末に最近人気で話題と云われるテレビドラマに

テレビのチャンネルを変えたのです。

サラリーマンだかスーパーマンだか、

タイトルは、よく覚えてはおりませんが、

小泉今日子さんが出演しているというのが、

ただ救いとなって、

私を観る気持ちにさせたのです。

で、

私は血圧が上がるのを実感したのです。

何もテレビドラマにイチイチ反応しなくてもと、

笑って下さい。

でも、

アレハいけません。

日本の男を馬鹿にするな!と、

思わず怒鳴りつけたくなりました。

不快な気持ちでいた私ですが、

その後チャンネルを変えて、

役所広司さんが出演の【蜩の記】が在り、

原作は面白ろくありませんでしたが、

良い映画だと。

あぁ!コレが日本の男、日本の女と、

鞄の中の扇子を引っ張り出して、

パシン!と、

膝を叩き、

大いに満足、

大いに感心、

大いに納得したのです。

筋眼って云うんでしょうか?

そういう眼には見えない道って云うんでしょうか?

私は、その辺を大切に暮らしたいと思っています。

活字についても同じで、

読者を納得させる【書き手当て】がないから、

活字離れが進行を助成している気がします。