舞台の幕


診療室のドアの前のエントランスに、

小さな机を置いています。

私が幼い頃から好きだった画家の絵と、

グラスの数々です。

少しずつ増えてゆきました。

診療室のドアを開ける直前に、

両の掌で自らの頬を叩いて、

活を入れるのが習慣になりました。

で、

厳し過ぎる表情を解すつもりで、

視線を絵とグラスに向けるのです。

役者の舞台の幕が開く瞬間です。