後輩


新しい患者さんの共通点に

気がついたのです。

ですから、

複雑な気持ちになったのです。

今は歯科医師が過剰で、

歯科氷河の時代と言われています。

歯科医師の数が多いので、

1歯科医院当たりの患者さんの数が減って、

歯科医院の経営が苦しいと云う理屈なのだそうです。

そうでしょうか?

本来、

1人の歯科医師がマトモに診察できる患者さんの数など

たかがシレテいるのです。

キャパシティ以上の無理した仕事の結末が、

私の診療所へお越しになられる患者さんから

ハッキリと伺えるのです。

歯科医学が科学とは別物の能力を

とても、とても必要とする仕事であることを

そろそろ歯科医師自身が認める時だと思います。

休暇の夜遅く、

日本歯科大学 新潟生命歯学部の学部長をお務めになられる

藤井一維教授からお電話を頂きました。

月に一度程度の割合で、

先生と長電話に興じるのが、

この10年の定例行事となりました。

先生は私より1年後輩に当たります。

私は心の底から、

この後輩を尊敬の念で見つめています。

歯科氷河の時代に在る歯科界の将来を

真摯に受け止めて、

軌道修正に命を懸けているのを

解っているからです。

誰が、

このような役柄を望むでしょうか?

【歯学は私学によって創られた】

我が国最初の歯学校であり、

歯科医師の最大派閥である日本歯科大学の

オーナー家以外での学部長の重責は

普通の歯科医師では務まる筈はありません。

このような歯科医師が、

今後の歯科の文化を創って行くのでしょう。

私は、

歯科の世界をノビノビと、

遊び心満々で、

楽しんで、

生涯を終えたいと思います。

歯科の仕事を選んで良かったと、

そう思える歯科医師を造り出して

社会へと送り出して欲しいと、

私は此の優秀な後輩に

いつもいつもお願いして

電話を終えているのです。