踏み絵


高校時分に読んだ

遠藤周作氏の有名な沈黙を

その時から、

時々、思い出していました。

私は氏のような真面目な生き方をしていません。

人の業の中で、

さ迷っていたようなモンです。

私が家族に誇れるものと言えば、

歯科医学の道だけは

王道を歩いてきた積もりであること。

お日様の真下を、

汗をイッパイかいて、

絶対に日陰には

逃げださなかったと、

やせ我慢です。

でも、それだけは断言できるのです。

ですから、

他のことはサッパリです。

それだけで精一杯だったからです。

こんな私ですが、

私は神さまが、

許してあげるから、

踏みなさい、

私の息子、

と仰られても、

私は踏みません。

踏めないのではなく、

踏みません。

それが私の頑固者のケジメなんです。

シスターとの会話の中で、

人生には、

踏み絵のような機会は何度も在りますものねと。