職人ですもの


30歳の未婚女性がお越しになりました。

歯の神経を採った後、

詰めもの?をして、

違和感が残り、

再度、

その歯科医院を受診したら、

根が腐っているので痛いのでしょうと言われ、

再び、

根の治療を始めたそうな。

次回に根の治療が終わりますと云う段階になっても

痛みが残り、

不安になって、

私の診療所へお越しになられたと云う次第です。

私はお喋りです。

が、

聞き出し上手でも在ります。

患者とのコミュニケーションが

治療の第一歩だからです。

高松市で一人暮らしであるそうな。

と、

治療したる歯科医師が、

私の教え子であることも知ったのです。

昨日の新患の方は、

診察し、

お話ししてみて、

私はお役にたてないと、

お断りしました。

幾らでも払いますからお願いしますと

仰られたことも、

私の地雷を踏まれたのです。

私はハサミではありませんと申し上げました。

歯科医師過剰の時代ですから、

名医はイッパイ居られるでしょうから。

今日の患者さんの治療は

責任を持ってお引き受けしました。

が、

私も同じ年頃の娘を持つ父親です。

一人暮らしで、

カツカツの生活でしょうに。

ですから、

夕方の5時にお越し下さいと。

その時刻なら、

普通は帰る準備する頃ですから。

特別な治療方法は必要の無い症例です。

普通に治療すれば、

痛みも消えるし、

歯も残せます。

アポイントメントも、

間隔を開けて、

生活費を圧迫させないように、

そんな心情になるほどの、

本当に歯で困っている程度が

津々と伝わったのです。

ラバーダム防湿を施し、

マイクロスコープで歯を覗き、

根管の中を探ってみました。

恥ずかしながら、

教育効果が奏功していないと、

私はレントゲンを診て感じた想いを、

再度、

強く認識しました。

私の手で治して差し上げようと。

偏屈者と思われるかもしれません。

だって、

私は職人ですもの。