父ちゃんの仕事だもの


夕方、

息子がブラリと帰ってきました。

今朝早く帰った行きましたが。

歩いて、

焼肉屋へと。

学生ですから金がないのでしょう。

肉は久しぶりだと言いながら

黙々と肉を口に運ぶ姿を観ていました。

チョッと遠くまで来すぎたねと、

歩いて帰る道すがら、

男同士の会話ができるようになりました。

テーブルの上に、

帰宅してから一緒に一杯やった

ジャックダニエルのボトル。

私の好みを間違いなく受け継いでいるようです。

昨日は忙しい1日でした。

新患の方の手当てに、

一生懸命で。

上顎全体に9本のインプラントが埋入され、

大型のブリッジで修復されておられました。

下顎の片方の奥歯部分に、

2本のインプラントが。

そこにはセラミッククラウン。

他の部分も歯は全くありません。

簡単な部分入れ歯で修復していました。

噛めない!

痛い!

臭い!

と云うのが、

患者さんの苦しみでした。

通常はレントゲン検査と血液検査のあと、

次回、

じっくりと診るのですが、

お口の中を拝見し、

【勘働き】が一瞬!

緊急性を感じたのです。

レントゲンから、

インプラントの種類は判定できますので、

ドライバーを用意して、

ブリッジを壊さないように、

丁寧に取り外します。

左奥歯部分のインプラントは全滅でした。

ブリッジと一緒に骨から簡単に取れました。

ブリッジは両端を手で押すと、

ガタガタします。

汚れきったブリッジを、

スタッフに綺麗に清掃して貰う間、

私は顔面の計測に取り組んでいました。

このような症例においては、

頭蓋骨の基準点から、

噛み合わせの基準線を決定しなければなりません。

これは総入れ歯でも同じです。

顎の型を採ったり、

色んな手当てで、

お昼休みも潰して、

3時からの患者さんまで、

診査項目の漏れがないように、

ハンターの眼のようであったに違いありません。

診療室に就いた息子が開口一番、

父ちゃん、眼が充血!

それが父ちゃんの仕事だもの。

今年後半の難症例の到来ですから。