眼には見えない力


極度な淋しん坊であった私ですが、

神父さんからの

ある言葉から、

この孤独感から解放されたのです。

カトリックは、

いつも神さまと、

会話することが基本なのですよ。

何気なく言われたんでしょうが、

私の心の鍵にピタリと、

適合したのです。

治療の際に、

凝視し、

無心で、

器具を手にしています。

が、

私は歯と、

いつも会話してきました。

歯の声が聞こえるからです。

そんな私を、

ある歯科医師が

私を、

気がふれたと、

その医院に通っている患者さんに言っているようです。

しかし、

その医院に通っていた患者さんが

大勢、

私の診療所へと転院されてお越しになられます。

私は歯が大切でなりません。

どうしてかは判りません。

が、

自分の仕事を大切にできないことを

私は理解できません。

縁があって、

就いた仕事です。

仕事を通じて、

自分を鍛える。

ただただ、

それだけで過ごしてきました。

が、

歯から離れた瞬間に、

私は淋しさに襲われていたのです。

歯以外のことは、

何一つできないからです。

矛盾していますが、

死ぬくらいシンドイのが

真面目に仕事と向き合うと云うことです。

ですから、

仕事から離れた瞬間に、

否応ない孤独感に襲われてきました。

今ですか?

私は幸せ者だと思います。

一度の人生を、

好きな仕事で終えられるのですから。

言葉を発しない、

独り言が多くなりました。

眼に見えない力と、

話ししているのです。