職人気質

私の診療用チェア、

これは専門用語で歯科ユニットの言われていますが、

阪神大震災の前日から、

ドイツの某メーカーの機種を使ってきました。

今の歯科ユニットが3代目になります。

当初、

このメーカーの機種を導入するにあたって、

大変な勇気が必要でした。

1台で、

国産の機種が4台は購入出来るほどに

高額であったからでした。

それまで、

国産機種の全てのメーカーの製品を使用しました。

が、

私を満足させてくれるものは皆無でした。

初導入の際の興奮を鮮明に記憶しています。

昨日、

歯科ユニットのメンテナンスのために、

メーカーのエンジニアが来院しました。

機械モノですから、

ピアノの調整のように、

時々に、

エンジニアによる手当てが大切なのです。

なんせ、

私の診療を歯科ユニットに託す訳ですから。

で、

来院したエンジニアの顔を見て、

互いに、

手を取り合って、

お互いの近況に、

喜び勇んだのです。

当時20代であった彼は、

先生、53歳になりましたと。

エンジニアですから、

腕の良し悪しがある訳です。

同一メーカーのエンジニアと言えども、

技量の差は大きいモノです。

彼の師匠の村上エンジニアを私は尊敬していました。

彼は機械屋の頑固さ、こだわりは、

勿論の事ながら、

自分の調整した歯科ユニットに、

患者さんが身を託すことに、

大きな責任を持っていた医療人でもありました。

その村上エンジニアに付く若い彼の姿は、

誠に清々しいモノだったのです。

歯科ユニットを代代わりする大切な機会には、

必ず彼は、

私の元へと駆けつけてくれました。

今の診療所は、

最初の診療所から3件目の診療所です。

私の診療スタイルが変わる度に、

私は診療所を創り変えてきたのです。

引っ越しの度にも、

彼の姿があった事は、

言うまでもありません。

時々の調整は、

彼の部下が来てくれていましたが、

最近の人の無難な所作を感じて、

時代の流れを実感していたのです。

今回の彼の調整に接し、

私らの世代の職人気質を

大いに感じたのです。

嬉しかったですね。