師匠からの言葉


朝、

診療所に着いて・早々に、

おう三枝っ、

おめぇ・幾つになった?

東京・麻布開業の内藤先生です。

今年75歳になられる私の師匠の

相変わらず・エネルギッシュな太い声。

はっ、56になります!

もう、そんなになったか。

三枝っ・おまえ、65歳までは、

走り続けろっ!

ナンも考えないで、

脇目振らずに、

走り続けろっ!

師匠から、

歯科治療は無論、

諸般全般を教えて頂き、

今日にあります。

デカルトを紐解くキッカケ、

絵画の見方、

歴史との向き合い方、

等々。

カトリックの洗礼名も、

師匠が、

名付け親であり、

卓上の聖書も、

師匠からの贈り物。

診療室前の絵画も、

師匠の御祖母様自筆の【聖・ヨゼフ】の肖像画。

診療室内の、

私のデスク横の、

患者さんがお座りになる

アンティーク・チェアーも、

師匠からの贈り物。

私が【自分】を貫いて来られましたのは、

師匠の影を踏まず、

ひたすら・師匠に憧れて、

内藤先生の弟子たる者が、

みっともない真似など出来ぬ!

それが原動力であり、

その一念で、

という処です。

私も、

西洋歯科医学一辺倒から、

私の歯科医学を

形にする歳になりました。

そういう時期を

師匠は、

不肖の弟子に伝えたかったのだと思います。

私は毎日、

師匠の顔を思い出し、

治療器具を手にしています。