進歩でしょうか?


新しい患者さんの口腔内の診察を通して、

他の歯科医師の治療レベルなり、

最近の傾向を・つぶさに観察できます。

で、

全く進歩を感じません。

むしろ劣化しているかも・しれません。

私らの世代は、

小学校へ就学する以前から、

男子なら・普通にポケットの中に、

【肥後守】を忍ばせていたものでした。

【肥後守】を知らない?

和製の折りたたみ式の小刀です。

竹とんぼを造ったり、

自然から素材を選び、

手製で玩具を造るのが、

当時の普通の男子でした。

危ないって?

そりゃあ、自分の手指を過って切ったことは

誰でも・あったと思いますよ。

そうやって・道具の使い方を覚えるンです。

コレで・他人を刺したりするナンて、

そんな発想する時代じゃあ・なかったですもの。

手指ぐらい傷つても、

大人たちも・ギャァギャァ・騒がなかったですよ。

逆に、

上手に細工できるコツとか、

ドレドレ見せてごらんってな時代でした。

鉛筆だって【肥後守】で削ってましたよ。

そこから少々・年長になると、

プラモデルの製作へと。

道具を持つってことが・当たり前で育ってきたんです。

コレは、

歯科医師という職業においては・大きいですよ。

また、

スマートフォンなんかありませんから、

読書・読書って、

大人たちから・口うるさく、

本を読まされました。

辞書も・そうです。

ボロボロにまで使い込む。

コレが最低限の勉強だったと記憶しています。

ソレが今では、

調べ物は、

速攻でスマートフォン。

これじゃ・物事の表面しか視ない人間になりますよね。

計算も・そうでしょっ?

直ぐに携帯電話の電算機能を使う。

笑って下さい。

算盤に向き合って正座し、

ねがいましてはっ!

の、大きな掛け声のもと、

算盤教室に通うことも普通の時代だった私らとは、

全く土壌が違うンです。

レントゲンの読影なんか・特にそう実感しますね。

頭の中で、

三次元に構築できないのが、

不思議でなりません。

レントゲンの読影で・そういう状況ですから、

根管の複雑な解剖学形態や、

骨の立体構造、

噛み合わせの細かい作業なんて、

イメージもできない、

手先も動かない。

でも、

国家試験の正解だけは・よく知っている、

ペーパー歯科医師が量産されているような気がします。

神経を採っても、

根管充填材の施していない根管治療、

根管治療したものの、

根管壁をパホっている根管治療、

噛み合わせのズレの修正なしの全顎治療。

そりゃあ・後始末は大変ですよ。

手がつけられないまでに。

修正不可能な症例も、

たまにお越しになられます。

私は名医ではありませんので、

ご辞退させて頂くしか・ありません。

溜め息まじりの初診の対応が増えたように思います。