私の行うトラディショナル・レストレーションのルーツ

コレは何だか・お判りになりますか?

メタル・ボンド・クラウン修復の

セラミックを盛り上げる前の状態です。

コレを、

メタル・フレームと言います。

上の歯の全部を修復します。

このような・大がかりの修復治療の際には、

私はメタル・ボンド・クラウン修復が好きです。

その後の手順は・後ほどご覧になって頂くとして、

この治療のあと、

思いだしたように、

ある方に電話したのです。

群馬県の浅見裕先生です。

御年87歳。

日本歯科大学の大先輩です。

私は浅見裕先生を尊敬しています。

初めてお会いしたのは、

私が18の歳です。

同級生である浅見友市朗君のお父上です。

浅見君の親父が来るって云うンで、

晩飯を・たかりに行ったのが、

本当の話しです。

浅見先生は歯科補綴学の大家です。

晩飯のテーブルを囲んで、

次々と先生の口から出る

歯科医学の話題に魅了された時のことを

今でも時々・思い出すのです。

このような歯科医師も居るンだと、

筋金入りの歯医者ってモノを、

知った時の衝撃が、

その後の私の人生を大きく変えたことは間違いありません。

先生は既に引退されています。

でも、

今日の話題も・部分入れ歯でした。

電話を切る前に先生は仰いました。

三枝君、

ズッと歯医者やれよっ!

生きてる限り・歯医者やれよっ!

グッと胸が詰まりました。

で、

浅見先生、

淋しい時は、電話くださいよ!

先生の歯科医学は、

血こそ繋がっていませんが、

私の中に流れていますから。

私は判るンです。

歯の職人だからこその・苦しみが。

孤独な仕事です。

患者さんとは楽しく会話しています。

でも、

その時の私は、

本当の私では・ないのです。

医療人たる者の絶対的安定感を保った

役者なのです。

診療室から一歩出たら、

淋しい気持ちが頸をもたげるのです。

背負った責任の重さ故と、

特殊な治療を行うことを自分で決めたことに対するケジメと、

特殊ゆえに、

同業の歯科医師からも奇異な目で視られます。

また、

治療に関する相談相手も、

ごくごく限られてくるのです。

答えは・自分自身で出さねばなりません。

そういった・些細なアヤは、

私には判るンです。

何故なら・浅見裕先生は、

本当の歯医者だからです。

先生の御子息である私の同級生の友市朗君も、

臨床の場からは離れて、

群馬県の医療系大学の解剖学の教授として

御活躍されています。

浅見裕先生も、さぞや喜んでおられることでしょう。

先生には、いつまで長生きして頂きたいと願っています。

浅見裕先生先生から大きく影響を受けた

トラディショナル・レストレーションの語り部である者として

私は歯科治療を続いてゆくでしょう。