日別アーカイブ: 2013年12月10日

この季節

 この季節に成ると
忘年会のお誘いを受けるが
お気持ちだけありがたく頂戴し
固辞するのも
恒例行事となった。

 私は独り酒に
拘り通している。

 大勢の人の中に
入り込むのが苦痛である。

 年の暮れに
街に繰り出すのも
悪くはないが
私は独りで
コートの襟を立てて
新地か宗衛門町辺りから
少し入った小路の
静かな割烹で
少しの肴に熱燗を
手酌での方が
一年を振り返るのに
心地良く
又、
味気が在って
自分への御褒美として
相応しいと思っている。

 この様な私であるから
会合が在っても
二次会には
参加する事は皆無えある。

 その会合さえも
近頃は滅多に出向く事も無くなった。

 私の仕事は
自身の中で
イメージを膨らませ
自身の眼で
知識の修得せねば
成り立たない性質のものである。

 時間が幾ら在っても
足りないのが
現状である。

 逸れでも気持ちと頭の中が
目一杯に成った時などには
書店へと
ぶらりと出掛けて行って
其だけでも
大いに気分転換となる
安上がりな質である。

脳疾患?

 夜中に息苦しくなって
目が覚めた。

 身体が縦にも横にも
動かない。

 意識は未だはっきりとしていないが、
もしや脳疾患ではと
心の中で動揺したる私である。

 日中、私の患者さんを
脳外科の病棟迄
見舞いに訪れ、
痛々しい頭の傷口を
見せられた記憶が
鮮明に頭の中を
駆け巡った。

 その時である。
私の顎を
大きな毛むくじゃらの手が
叩き込んできた。

 我にかえって
首を起こし観れば
本来であれば
ベッドの下で
眠っている筈の
マリリンが
大きな身体を私の身体に刷り寄せて
横たわり
舌を出して眠っていた。

 どうりで寝返りもうてない筈である。
毛布をマリリンに掛けて
私は居間のソファーで
寝る羽目となった。