月別アーカイブ: 2014年1月

歯医者の食道楽 その5.

主食の米とパンを控えれば、肥満や糖尿病等の
生活習慣病が予防.改善出来ると提唱する考え方があります。

私には出来ません。

新潟に縁の在る私です。
越後平野の産んだ宝物であるコシヒカリ。

私の食卓に
ふっくらツヤツヤのコシヒカリは欠かせません。

私の好物である鮨。
鮨の命はシャリにあると云われています。

たしなむ程度にしか私は呑めませんが、
日本の酒。
冷や善し、燗でも佳し。
私は自宅での晩酌派です。

この様な私ですが、私は肥満体型ではありません。

嫌味ではありませんが、私は物持ちの良い方なので
20代後半のスーツが今でも其のまま着られます。
糖尿病でもありません。
毎度の血液検査でも異常値すらありません。

私はスポーツが苦手で、出来ることなら、身体を動かす事よりも
炬燵で蜜柑をの人間です。

恥ずかしながら、煙草も葉巻も好んで吸います。

この様な私を健康志向の方から観れば
トンでもない奴と思われるに違いありません。

が、私なりに注意している絶対に譲れないコダワリ処はあります。

料理の素材の組合わせとその調理方法です。

私は倅にも幼い娘たちにも積極的に調理する私の手伝いをさせて来ました。

新潟で暮らす高校生の倅の料理は、最近の女性よりも上手だと思います。

幼い娘も恐る恐る包丁を手にし始めました。

年に数回は店を選んで、他の客の迷惑にならない処と時間に
子達を一人づつ連れていって
かしこまる子達と食事を楽しみます。

舌の鍛錬とは
この様にして幼い頃から始めるのが一番というのが
私の信条ですし、なによりも食事は楽しいものでなければなりません。

 私は歯科医ですので
私の拝見する患者さんには
死ぬまで美味しく何でも召し上がって頂きたいと思っています。

この様な私ですから、あれは駄目!これも駄目!といった
食事制限を受けたならば
どれ程気落ちするか自信を持って言えるでしょう。

調理の方法やちょっとした工夫で
食は万病の薬であると私は確信しています。

無菌的治療方法 その8.

私の臨床では、生きている歯の神経を採る治療は
1年に五本の指で数えられる位です。

歯科保存学の進歩により、今までであれば神経を採って歯を殺していた処置も
殆んどしないで済むようになりました。

とは言え、根の治療は相変わらず毎日の様に行っています。

患者さんからして観れば、同じような治療に思えるかもしれません。

生きている歯の神経を採る治療の事を専門用語では、抜髄処置と言います。

対して、死んでいる歯の神経を採る治療は感染根管治療と呼びます。

現実には、この処置は前医による治療のやり直しの治療です。

抜髄処置も感染根管治療も、歯の中の空洞に在る生きている神経なり
死んで感染した神経を採る治療ですが、
正直に申し上げて、歯科大での基本的な教育を確りと厳守した上で
いざ、治療を開始しても
相当にトレーニングを積まなければ
歯科保存学を専攻した人間からして観れば、あまーいと云う結果となります。

大学教育では根管治療に於いては、ラバーダム防湿は必須であると教えています。

何故ならラバーダム防湿は、無菌的治療方法の第一歩であるからです。

又、治療の最中に撮影するレントゲンは勿論の事、
電気的根管長測噐による確認だけでも完全ではありません。

テクニック的にも根管治療は熟練を要します。

取り除かれた神経の後に残された
歯の中の空洞も完全に封鎖しなければ元の木阿弥です。

何故なら、歯の根の先には小さな穴が空いています。

この穴から歯の中へと神経や血管か通っているのですが、
歯の中が治療によって空洞化して仕舞うと
この根の先の穴から肉芽組織や人体の水気が侵入し、
歯の中で分解し、慢性炎症の原因となるのです。

感染根管治療の最大の原因は、歯科医による神経の取り残しと根の先の穴の封鎖不完全です。

歯科医にとって毎日の様に、何事もなく行われている根の治療。

治療される側も、ご自身がどの様な環境で、どの様に治療が行われているのか
確りと判断し、少なくても術後のレントゲンの確認だけでも、なさった方が良いと思います。

私自身も治療が終わってから、確認の為のレントゲンを観て

ー ごめんなさい。少し不完全です。直ぐにやり直します。ー

と云う機会は少なからずあります。

私はこの様な事を恥ずかしいとは思いません。

最も恥ずべきは、
黙って見過ごす事と、無知である事だと思います。

 

追悼

阪神淡路大震災から今日で19年を経過したとの新聞記事に
時の流れの速さを実感しました。

多くの亡くなられ方々のご冥福を
心よりお祈り申し上げるとともに、
未だ多くの苦難を抱えられて居られる方々に対して
お悔やみ申し上げます。

今の平常な生活を過ごせる幸せを
ありがたいと感謝して
これからも歯科の臨床に邁進する所存です。

歯科治療における感染防止対策 その1.

 私の両親は歯科医ではありません。
但し、身近に
私を幼い頃から可愛がってくれた叔父が
婦人科の医師でありましたので
医療と云うものを
遠いものとしては
感じていなかった様に思います。

 幼い頃からよく歯科医へは通っていた様に思います。

 私の実家は食料品関係の商家でありましたので、
衛生については特に気を付けて過ごす環境にありました。

 ですから、歯科に治療を受けに行った際には、
診療イスに寝かされて歯科医が自分の処に来るまでの間
うがいのコップは綺麗だろうか?
照明の汚れを何故、綺麗にしていないのだろう?
天井の汚れが気になったり
医師の手の臭いが気になったりしていた訳です。

 まぁ、衛生面では余り、歯医者を信じていなかった訳です。

 こういう私ですから、
自分が歯医者になったら
こうしたい!あぁしたい!と思う処が多々在って、
加えて生来の凝り性である事も手伝って
今の私の診療所のスタイルになった訳です。

 見学に来られた同業の先生方からは
半ば呆れられますが、
それでも、
感心されたりお誉めの言葉を頂いています。

 兎に角、歯の治療を受けに来られた患者さんに
他の病気を移せば
とてつもなく申し訳無いことですから、
それならば、いっそうの事、
患者さんに協力してもらって
採血をして血液検査を行えば
治療する側としても
それ相応のたいしょが出来ると
先ずは治療の入り口の処で
情報を正確に此方が把握する事にした訳です。

 この人はウィルス性の肝炎ではないかしら?
性病の人が居るのでは?等といった患者さんサイドからの不信は
随分と無くなったと感じています。

 但し、ここまで患者さんに協力してもらっているのですから
此方の感染防止対策は、しっかりとした絶対的なものでなければなりません。

 今の医学では解らなかった未知の感染症が将来見つかるかもしれません。

 私の診療所に来られている患者さんからの
私の診療所に対するこの辺りの潔癖度合いは
先ずは絶対であると自信を持っています。

 具体例を次回からお話しさせて頂きたいと思います。

 今から20年近く前の話になりますが
今春、大学の卒業を間近に控えた娘が
顔から背中、両の手、両足に至るまで
発疹に苦しまされ
あちこちの皮膚科へと
足を運びました。

 ところが、何処に行っても
ステロイドの投薬と軟膏、痒み止めばかり。
頭を抱える日々を過ごしました。

 みかねた婦人科の医師である叔父が
兵庫県のトアル評判の皮膚科を探しだし
気短で、
並んで待つ位であれば
他へ行って食事するが信条の私でありましたが
幼い娘をあやしながら
1日がけで受診しました。

 その医師から処方された薬はありませんでした。

 出されたのは暮らしのヒントだけでした。
私は、その医師の判断を重く受けとめました。

 そこで当事の私が辿り着いた処は
生活環境の中での
水の質でした。

 ご承知の通り
人の身体の大半は水です。

 私は口にする水の質について
徹底的に追求しました。

 香川県高松市は東京、大阪とは異なり
単なる地方都市に過ぎません。
都会の水道水は綺麗ではないけれども
高松市位であれば大丈夫と云う
油断が私にはありました。

 行き着いた先が
アルカリイオン水の生活に変える事。

多くのメーカーの浄水器も全て購入しましたが、
諸般全般に渡って安定した良質のアルカリイオン水が造れるのは
日本トリムの製品である事が
私も大学院出の研究者の端くれです。

 診療が終わってから
ラボで調査したり検査を外注して
一つの自分の中での結論を導き出しました。

 半年もしない内に
娘を彼是苦しまさせていた
全身の発疹や痒みは
跡を遺すこと無く
すっかりと姿を消し去りました。

 私はこの医師に心から感謝しています。

 お陰で私の診療所で使用する水は
日本で一番綺麗であると自負しています。

 生まれつきの食いしん坊である事も
その原因かもしれませんが
日々、口にする食事に対する
心構えも変わった様な気がします。

 この娘が倅に言ったそうです。

ー パパの造った豚の唐揚げは美味しかった ー

 娘が中学時代の食事は
殆ど私の手によるものです。
ながーい反抗期をその後迎へ、
娘との会話は殆ど無くなった
悲しい父親ですが、
それでも娘の味覚には
親バカたる父親の味が遺されていると思うと
何故か安堵の気持ちを覚えます。

 私は食とはその様なものだと信じています。

歯医者の食道楽 その3.

 私の診療所では
初めてお越しになる患者さんへ
採血を行い、
詳細な血液検査を実地しています。

 前にもお話しさせて頂きましたが、
私の患者さんの平均年齢は68歳と云う
他の歯科医院よりは
多少、年齢層が高いと云う傾向にあります。

 人が長く生きていれば
多少のガタツキも
生じてきます。

 勿論、患者さんの中には
ご自身では気づいていなかった
思いも因らない疾患が発見出来て
喜んで頂ける場合も在りますが、
大半の方は
基礎疾患をお持ちでいない方が
稀と云うのが現状です。

 其れなりのかかりつけ医を
その歳になると
皆さんがお持ちですが、
興味深いのは
そのかかりつけ医の
技量なり考え方が
大きく違って
それぞれの処方なりに反映していると云う事です。

 血液検査の異常値の是正のための投薬より、
異常値を生じた基の基を辿って
生活習慣に迄も
向き合う医師についた患者さんは
幸運と云えるでしょう。

 私は歯科医ですので
患者さんの口腔の環境を
より良く、
そして良い状態の維持に
努めなければなりません。

 その為の指標として
生化学検査やら細菌学的検査を
実地していますが、
その検査結果のみを重視する訳ではありません。

 私はデーター間の行間を
如何に読み取るのかが
患者さんと相対する臨床家の
技量そのものだと信じています。

 私は食こそが健康の源であると
長い臨床生活で実感しています。
そして、
食べ物が最初に身体の中へと入る
器官が口腔であり、
歯の仕事に携わる者として
重い責任を感じています。

 私にとっての食は
楽しみであり、
又、
人の身体に係わる仕事をしている
人間としての
当たり前の追求対照であります。

歯医者の食道楽 その2.

 母親からの影響でしょうか。
幼い頃から美味しいものに
目がなかった私は
この年になるまでの間
随分と方々へと
美味しいものを求めて
歩き回りました。

 美味しいものと豪華なものは
違うと云う事や、
食材の産地も大切ですが
食材の持ち味を
いかに上手に引き出すのか
と云う事の方が大切である事を知りました。

 健康志向の昨今、
玄米、五穀米中心の食生活を
やたら信仰する風潮があります。

 其れはそれで悪い事だとは思いません。
しかしながら、
私は毎日の食事を
麦飯、玄米の類いで
楽しめる程に
心できたる人間ではありません。

 ふっくらツヤツヤした
炊き上がった白米の味に
心持ち豊かな気分になります。

 油ものも
好んで食べます。

 此れにはコレステロールが、
あれには血糖値が、
等と気にしていたら
五感を豊かにする食事の楽しみが
半減してしまいます。

 何かしらにつけて凝り性の私です。

 絶対に美味しいものを。
そして身体に優しい食事を。
と、気を付けている内に
自分で料理する様になりました。

 健康診断での血液の異常値に
敏感に反応して投薬を勧める
医師の判断より先ず先に
自分で工夫する事で
心も身体も共に
豊かで在りたいと願っています。

歯医者の食道楽 その1.

 他人からは派手に観られがちで
仕事が終わってから街へと繰り出して
外食三昧の美食家と思われている私ですが、
実際の処は、
外食は月に一度か二度の割合で
其れも他所へ出張に出掛けた時に位で
もっぱら、
夕食は自ら包丁を手にするのを
好んでいる私です。

 外食するにしても
懐石料理等は
他人から招かれた時位で
私が最も好むのは
鮨、天婦羅等の
一点ものです。

 私は所謂、美食家ではありません。

 が、私が歯の職人であるからでしょうか。

 私は食材への手間のかけかたに
大層、興味を覚えるのです。

 食べ物と云うのは
単に栄養の補給の為にあるのではありません。

 人が人である証しとしての
豊かな心持ちを形成するには
美味しいと云う感動は
無くては為らないものであると
信じています。

 調理の方法へのこだわりは
素人なりの笑止で陳腐なものかもしれません。

 但し、たまの外食での
失意の機会が多い
今日この頃の料理屋の技術の低下で
私の自炊の機会が益々
増える様になりました。

 例えば、トマト。
生活習慣病予防や老化抑制に
効果があると云われるリコピンが豊富に
含まれているのは
皆さん、既にご承知の通りです。

 このトマトは冷蔵庫の中で保存する際に
トマト同士を少し離して並べて
密封容器に入れておかねばなりません。

 熟したトマトは
劣化を速めるエチレンガスを発生します。
エチレンガスを含んだトマトは
幾ら無農薬、有機で栽培されている
今では高価な品を求めても
健康志向からは
大きくかけ離れてしまいます。

 私は食材については
ごく普通の物で良いと思っています。

 其れよりも
食材へと手のかけ方のほうが
ずっと大切であると考えています。

 序でに、このトマト。
生で食べるよりも
加熱調理したものの方が
身体によく吸収されます。

無菌的治療方法 その7.

 歯科の治療に於いて、
インプラント治療等の移植治療だけでは無く、
虫歯治療等の一般的な治療でも
常に無菌的配慮が必要である事を
前章までお話しさせて頂きました。

 但し、この際に気を付けなければならないのは、
人体は生きていく上で
様々な微生物からの恩恵も受けているという事です。

 解りやすいのが腸内細菌です。
人の身体の中には多くの微生物が住みつています。
それは決して不潔な状態ではありません。

 身体の中の微生物の力を借りて
消化したり、体内のバランスを保っています。

 私が治療の守備範囲とする口腔に於いても
ご承知の通り多くの微生物が生きています。

 最近、歯周病の治療として
強力な殺菌効果を発揮した
薬剤によるものを薦める広告が認められます。

 私は基本的にこの様な治療はお勧め出来ません。
歯周病の治療こそ
学会のガイドラインに則るべきでしょう。

 いたずらに強力な殺菌効果が
本来、口腔環境に必要な微生物までも
徹底的に痛めつけられてしまいます。

 私の歯周病の治療は
アメリカ歯周病学会のガイドラインに則り
行っています。

 これまで無菌的治療方法について
お話しさせて頂きましたが、
この強力な殺菌効果のある薬剤による
歯周病の治療については
私は否定的態度を採っています。

新年あけましておめでとうございます

 今日から、今年の診療を開始しました。

 やはり私は歯の仕事をしている時に
幸せと充実感を実感します。

 とは云っても
私にとっては長い休みの間には
沢山の出来事がありました。

 新潟市の高校へ通っている息子が
久方ぶりに高松市へと帰って来ました。

 幼い三人の妹達の喜び様といったら
どの様に表現したら良いのか解りません。

 ー 晋ちゃん!晋ちゃん!ー

と、風呂、就寝は勿論の事ながら
トイレにまでも就いて行く始末。

 挙げ句の果ては
末の娘はトイレの中から

 ー 晋ちゃん!拭いて!ー

 此処までくっつかれると
悪い気がする筈は無く
息子は幼い妹達の
されるがままでした。

 1日がかりの
息子からの特訓で
小学一年生の娘は
自転車に乗れる様になりました。

 息子が手を放した瞬間に
独りで走り出した
娘の漕ぐ自転車の姿に
他の娘達は手をたたき
私と息子は涙ぐむ始末。

 自信と達成感に溢れた
娘の表情を私も息子も
生涯忘れる事は無いでしょう。

 皆さんは、どの様に過ごされたでしょうか?

 悲しい想い、
 怒りの気持ち、
 情けない心持ちで
決して良い新年を迎えられた訳ではないと
嘆かれている方も居られるかもしれません。

 私は知っています。
必ず良い日が来る事を。