日別アーカイブ: 2014年9月5日

大きな川

商業カメラマンの中村政秀氏と御一緒しました。

朗らかな氏ではありますが、ファインダーを覗く氏の後ろ姿は、一種独特の匂いがありました。

善い写真でした。

人の息づかいが鼓膜の中に届く写真でした。

これまで私は、多くの商業カメラマンと云う仕事に就く人達と御一緒させて頂く機会がありました。

無難な仕事と、ひと味違う仕事の違いが商業写真の世界にも在ることを、一目瞭然で判る氏の仕事でした。

写真の世界も歯の仕事と同じように、結果によって、仕事をする本人に残酷な現実を突き付けると云うことが、よく判った氏の仕事でした。

ー  デジタルカメラの時代になって、誰でも綺麗な写真が撮れるようになりました。
     だから先生、僕らプロは素人より断然抜きん出て良い結果を出さんとあかんのですよ! ー

歯科医の仕事も全く同じです!

歯科医師国家試験に合格した事は、患者さんの身体に触っても良いよ!と国が許可を出しただけの事でしかありません。

良い仕事が本当に出来るようになるには、血と汗と涙を流して、それから才能とセンスがあって、と云うものです。

どの世界も、プロとセミプロとアマチュアの間には大きな川が流れています。

情熱の歯科医

日本の人口は、毎年80万人ほど減少を続けていく相です。

80万人と云う数字は、凄まじい程の大きさだと思います。

凡そ徳島県の全人口が、これから毎年消えていく勘定です。

私の若い頃とは、全く様変わりした昨今です。

インターネットの普及で、経済においては国境など存在しない様を呈しています。

これからの若い人たちは、大変な時代を生き抜く知恵と力を持たなければ、あっという間に
大きな力によって飲み込まれてしまうでしょう。

にも拘らず、若い人たちが、ドンドンひ弱になっていると感じるのは私だけでしょうか?

かく云う私の愚息に関しても、親の心子知らずを絵に書いた有り様で、情けないことこの上なしです。

如何に父たる私が、愚息を鍛える環境を供しても、苦しさから逃れたい一心の愚息に対して、
孫かわいい無責任たる年寄りが、あるいは世間の動向などよりも母性だけで甘やかし、別れた亭主憎しの一心で、
知らずか知ってか判りませんが、愚息に逃げ場を準備する馬鹿どものお陰で、ドンドン愚息が落ちぶれていく様を
黙って観ていなければなりません。

ー 先生は厳し過ぎますよ! ー

との助言も、しばしば頂きますが、先に泣く我が子の顔を見ないで済むために、心を鬼にしているのは、
今の平穏無事に慣れた人に判る筈もなく。

男には、母性などあるはずもなく、男は自分で己の牙を研くもの!

男が女と同じになってどうするものぞ!
など言っていたら、大変なことになる昨今ですが、それがそもそもの間違いだと思います。

夢を持ち続けて、阿呆と馬鹿にされても、人の眼につかない処でコツコツと不安な心に苦しみながら、
夢の実現のために日々を過ごすのが男の証しでしょう。

かく云う私も、平均寿命まで生かして頂けるのであれば、後の何十年を老後と諦めて過ごす訳にはまいりません。

良い歯医者になりたいと、17の歳で志し、未々夢は叶ってはおりません。

今に想うのは、生涯、情熱の歯科医でいつづけようと、身体の中を燃やし続けようと思っています。