日別アーカイブ: 2014年9月7日

治療計画立案の難しさ

治療を始める際には、必ず治療計画を立案します。

この時に一番厄介なのは、所謂、感染した歯の根の取り扱いです。

この感染した歯の根とは、前医が歯の神経を採る治療が既に施されており、根の先の部分に膿が貯まっている歯の事です。

この様な歯の中は、実際に歯の中に入ってのぞきこむ事ができないので、

兎に角丁寧に丁寧に治療して、ジックリと経過を観察して、本当に長い間保存ができるのかどうかを観なければなりません。

私は、歯は残せるのであれば、たとえ長い間かかってもジックリと経過を観たいと思います。

時に、患者さんから最終的な治療の計画について聞かれる機会があります。

その様な時には、本当に困ってしまいます。

簡単にシロクロつけるには、難しい事を言わないで、抜歯して、ブリッジなり、インプラントにとすれば治療計画は単純なものになりますが。

少しでも、身体のダメージを少なくする治療、歯を残せる治療をと考えれば考える程、

治療計画は複雑化してしまいます。

この様な時には、現状を明確に患者さんにお伝えして、歯を残す治療を選択するのかはご自分で判断して頂くしかありません。

この辺に歯科医の限界を感じます。

自己反省

最近、ある方から相談事を受けました。

ホンに深刻な相談内容に、私は頭を抱え込んでしまいました。

物事が上手く運ばないのには、様々な理由があります。

相手となる対象がいる場合には、相手の考え方が変わらなくてはなりませんが、往々にして其は期待しない方が良いでしょう。

それならば、相手の行動を封じる力、相手を必要としないで済む力が身に付くまで、
自分に力を付けなければなりません。

時間が必要だと云う事です。

但し、単に時間を過ごすのではなく、力を付けるべく、日々を一生懸命過ごすと云う事でしょう。

怒り、腹立たしさ、悔しさ、情けなさの気持ちを、身体の中で凝集させて、自己を燃やしつづけて、力を養う事。

この方は、まっすぐな心をお持ちの人だと、お話を聞きながら、あらためてそう感じました。

口が軽い人。

寝返る人。

自分のない人。

私も此の歳ですから、その様な人も多く観てきました。

負のスパイラルに振り回され無いように、

その様な性格は、治らないと考えた方が良いでしょう。

関わりを持たなくても良いように、結局は自己の力不足を反省し、力を養う努力の日々を過ごすことが肝要だと、お伝えしました。

歯科医の商品棚

何処かへ出掛けた際には、お土産屋の陳列だなを覗くのが好きです。

駅前の小路地に迷いこんで、小さな引き戸の小料理屋へとブラリ立ち寄った際に、壁に掛けたる品書きを仰ぎ見るのが好きです。

私は開業医として随分と長い間、過ごしてきました。

ですから、そう言う意味では私も何物かを売って暮らしてきたと言えるでしょう。

私は、この様に考えています。

私は、インプラントなり、セラミック修復、入れ歯と云う商品を供しているのではありません。

私は自分を商品として、売っているのだと考えています。

私の見立て、これは診断であり、私の技術を供していると考えています。

個性強い私ですから、万人向けの商品ではないかもしれません。

但し、鮮度だけは常に、旬のものをと云うポリシーだけは、昔から変わりません。

お昼休みに、ふと喫茶に立ち寄った処、偶然にも顔見知りのインプラントメーカーの方に会いました。

最近のトピックス等を熱心に語っておられる氏に、好感をもって頷いていました。

ー 先生、オール.ジルコニアのアバットメントは固すぎて、チタンの方が削れてダメだと云う報告が出てました! ー

報告を待たなくても、当たり前の話なのですが、その様に聞かされると、

ー  ああ、自分はそんな事をしなくて良かった! ー

と、安堵して、目がね違いではなかったと胸を撫で下ろしました。

私は、今の歯科の現状では、どちらかと言えば保守的な方だと認識しています。

超最先端の治療は、ある意味危険だと思っているからです。

何年も何十年もの、ふるいにかけられて、残った確かな治療を患者さんに提供するのが臨床家の務めだと思っています。