日別アーカイブ: 2014年11月18日

歯科医の使命

たまには歯の話題にも触れたいと思います。

歯科と言えども、教育や研究の現場に於いては幾つかの専門分野に別れています。

大雑把に云うと、

口腔外科 :口の中の腫瘍などに対する外科治療、顎の骨折、抜歯を主に行います。

小児歯科 :成長期にある小児の虫歯の治療や予防処置を主に行います。

矯正歯科 :歯並びの治療を主に行います。

保存科  :虫歯の治療、根の治療、歯槽膿漏の治療などの歯や歯茎、歯槽骨を出来るだけ残す治療を行います。

補綴科  :被せもの、ブリッジ、入れ歯などの治療を主に行います。

放射線科 :画像診断や腫瘍に対する放射線治療を主に行います。

麻酔科  :手術の時の全身麻酔やペインクリニックを主に行います。

大学卒業後に、大学病院のそれぞれの専門科に残って専門分野の勉強する人は1割、2割位です。
後は、開業医に勤務しながら総合力を身につけるべくトレーニングを受ける訳です。

どちらの道が適切なのかは、私には申し上げる立場にはありませんが、
長い臨床生活が続く訳ですから、若い時分にはジックリと1つの専門分野に取り組んで、
そこから徐々に技術的な幅を拡げていく方が、より深い洞察力が身に付くと思います。

今流行りのインプラント治療は、上の何れかの専門分野に属する治療ではありません。
口腔外科、保存科、補綴科、麻酔科、放射線科などにまたがっての知識、技術を必要とします。

私は大学卒業後は保存科の大学院に入学しました。
歯科医人生の第一歩は、歯科保存学から始めたわけです。

ですから、その影響は大きいと思います。

私の治療は全てが歯科保存学的な見地から成り立っていると言って良いでしょう。

入れ歯の治療に於いても、骨が痩せない配慮を第一として行っています。
インプラントにしても、残った歯との調和を優先しています。

歯の神経を採ると歯が弱くなると、一般的に言われている様ですが、
これは全くの誤りでしょう。

歯の神経を残す努力は絶対に必要です。
先ずは、これが最優先するべき姿勢です。

しかしながら不幸にして神経を採らざるを得ない状況に際しては、
歯科保存学的な適切な治療を行うことで、歯が長持ちするのは事実です。

インプラントのための歯科治療ではありません。

歯科治療の使命とは、健康で快適な咀嚼機能を長く営めるように、同じく美しい口許を維持できるようにと
私は結論づけています。

そのために、私共歯科医は居る訳です。

末の娘の誕生日

末の娘の誕生日です。

45も過ぎて、また子供を授かるとは想いもよらずといった心持ちでした。

倅と書店へと出向き買い求めたる姓名判断の本を前に、アレヤコレヤと悩んだ末に、
最終的にこの娘の名前を決めたのは、倅でした。

倅とは所謂、腹違いの妹です。
まだ小学生の高学年であった倅は、自身が始める新しい生活の中で、これも又、新しく生まれた命に希望を託したのだと思います。

愛奈(マナ)と云う名前です。

仕事が終わってから直ぐに、海の向こう側の川崎医科大学病院まで車を飛ばす間の、
倅と二人の幼い娘のヤリトリを今でも鮮明に覚えています。

倅と幼い二人の娘が、神妙な顔つきで手を消毒し、新生児室へと入る後ろ姿が瞼に焼きついています。
赤ちゃんと呼ぶに相応しいこの赤子を、最初に恐々抱いたのは倅でした。

6歳になりました。

色々な事がありました。

家族それぞれの立場で、皆が一生懸命だったのだと思います。

私にとっては、私と共にできる時間が一番短くなるであろうこの娘が、
私とソックリの性格を受け継いでいると思っています。

気が短く、癇癪持ちで、それで恥ずかしがりやの甘えん坊。

この娘が大きくなった頃に私には、どれ場の力も残ってはいないと思います。

其れが判るが故に、この娘の将来を是非に観ていたいと想う気持ちが、私が変わったと言われる所以かもしれません。

子育てで逆に、親たる私が育てられているのを感じています。