日別アーカイブ: 2014年11月20日

新人時代を思い出し

高松市で審美学会が開催されるのに伴って、ウチの医局員達が総出で来讃します。

東京校と新潟校揃ってのイベント故に、賑やかな週末になりそうです。

先だって、新海教授が今日の夕刻に到着するので空港まで、お迎えに伺うことになっています。
私が医局に入った当時に新海先生は、医局長だったと記憶しています。

私が今、細かい性格のように言われるのは、間違いなく、この新海先生のお蔭?だと思います。

学生気分の抜けきれていなかった当時、私は先生の細かさに反感の気持ちさえ持ちました。

ただ、保存科の医局員は概して細かかったですが、新海先生の其れは特に顕著だったと記憶しています。

歯科の中で一番の細かさを要求される分野が保存学ですから、其れは仕方の無いことかもしれません。

このような環境の中で、歯科医師としての第一歩を歩めたことは、今となっては幸せな巡り合わせと云えるでしょう。

皆が私の診療所の見学に来られるそうです。

昼からは新人時代を思い出し、掃除に明け暮れそうな模様です。

歯の治療の本当の話 その1.

人の身体の中には、多くの細菌が生息しています。

これは別段驚くようなことではありません。

腸内細菌が消化に役立っているように、

細菌イコール不潔と決めつけるのは大きな間違いです。

口の中にも多くの細菌が生息しています。

この細菌イコール虫歯の原因と決めつけるのも誤りです。

何事もバランスの上で成り立っています。

なんでもかんでも除菌と云う考え方には大きな落とし穴が在ると言って良いでしょう。

歯の神経を採ると歯が弱くなると言う考え方も、これと全く同じ事です。

どの様な状況下のもとで、どのように神経を採って、歯の根をどの様な処理を加えたのかで、
神経を採った歯の寿命は大きく異なります。

歯の根の中を完全に無菌化することはできませんし、神経の残骸を全て取り除く事も不可能です。

歯科保存学の中に歯内治療学と云う専門分野があります。

これは歯の神経を採る治療についての研究と診療を主に受け持っています。

この学問的見地に立って、的確な治療を、正しい手技に則り、
歯科医の手が本当に器用であれば、神経を採った歯も長持ちします。

東京の有名な鰻職人である野田岩の店主の言葉ですが、
職人が自分の腕の悪さを鰻の素材のせいにする傾向があるが、そのような事を言う前に、自分の腕を研け!

職域が違っても、正に的を得た言葉だと思います。

人の身体の中は、生き物故の様々なバランスの上から成り立っている事を噛み締めて、
私共歯科医は歯を噛み締めるだけではなく、
人の身体の重さを噛み締めて、
安易な言葉を吐くものではありません。

最近の歯科のホームページを観るに忍びない想いに、
歯医者の仕事はインプラントを入れるだけではなく、
歯を残してナンボ!と思うのは私だけでしょうか?

インプラントの業界に於いて、メジャーなメーカーや、昔からキチンとしたインプラント治療を実践してきた本当のインプラント専門医であれば、
私の名を知らぬ人は先ずは居らんでしょう!と何時もの私らしくなくハッキリと、これは言わせて頂きますが、
インプラントは良い治療です。

しかしながら、インプラント治療だけが良い治療ではありません。

歯科医の仕事は、患者さんのためにあると思ってます。