月別アーカイブ: 2015年2月

手当て

右手は毎日の治療で酷使しているのにも拘わらず、特に不自由を感じたことはないのですが、

左腕から左肩、掌、指の痛みは勿論のこと、そして頚の後ろ側などは頚を仰け反ると痛みが酷く、

これは職業病だと数年前から諦めていました。

針、お灸は勿論のこと、毎週のマッサージは欠かせず、

自宅に帰ってからも、湿布にアレヤコレヤと手当てに励む数年を過ごしてきました。

私の診療所へと通われてくるようになった〇〇さんは、

若いながらも実に真面目で几帳面な方で、

私も一目置くようになりました。

この〇〇さんは、所謂ヨガのレッスンプロであり、

患者さんとの雑談大好きな私は、身体を適度に動かすことに目覚めたのです!

で、昨年のクリスマス頃より自己流で、左掌や指を机や床から反り返すストレッチを始め、

何事も凝り性の私は、それこそ暇があれば左掌と左腕のストレッチをズット繰り返し、

遂には海軍体操も始めるに至ったのです。

で、徐徐に判ったのは、

右手は酷使したことで逆に鍛えられ、

左手はなん十年もの間、ズーと小さな小さな技工物のみを握ってきたことで、

筋肉が縮んだんだと!

運動や体操などよりも、炬燵で蜜柑を好む私が、

親の敵を討つくらいの勢いで体操とストレッチに励んだ成果でしょうか?

あれほど私を悩ませていた痛みは、完全に消えて仕舞いました。

歯も毎日の生活の中で酷使されています。

咀嚼は当然のことながら、睡眠時においてもストレス発散のために上下の歯をくいしばります!

日頃、気にしたことはないと思いますが、

私たちのために一生懸命に働いてくれている歯にありがとうと感謝し、

手当てのための時間を少しだけでもと、気にかけてあげて下さい。

医療教育 その2.

歯科の学生さんへの講義は、彼らが歯科への興味を果てしなく拡がるようにと心がけています。

が、歯科医師免許を取得した大学院生は当然の事ですが、

若い歯科医の先生方や歯科技工士、歯科衛生士の教育に関しては

私はまったく容赦しません。

厳しいと思います。

意見や感想なども言わせません。

10年イヤ20年早いと、ビシッと遮ります。

反感を持たれるんでは?

歯科に本気で挑もうと決意した人は、私の言葉に泣くことはあっても、

反感を持たれることはありません。

逆に、互いの絆が強くなります。

それが専門職に就く人ってものです。

私自身も、師匠から厳しくシツケラレました。

今でもありがたいと感謝しています。

人の身体を診る仕事、人の身体の一部を造る仕事とは厳しく教育しないとナランと思っています。

教育は、自己顕示欲を満たす手段ではありません。

教える側に、教えられる側に、各々の心構えってモノがあります。

この処は、素人の口だしは無用であり、

厳しい環境のなかで育たぬ医療人は、却って社会貢献にはなりません。

それが医人の教育だと信じています。

日本歯科大学新潟病院 写真

インプラント治療をうどん屋さんに例えるならば その2.

歳をとって最近は、まわりクドイ言い方になっているでしょうか?

先にブログで、インプラント治療をうどん屋さんの饂飩に例えてお話ししました。

メールとは便利な通信手段です。

早速、モット判りやすく!具体的に!というコメントを頂きました。

豚カツ定食や中華そば、焼き魚定食や刺身定食など

様々なメニューを提供している街の定食屋さんをよく目にする機会が在ろうかと思います。

その定食屋さんの数あるメニューの中のひとつであるうどんの味が本物の味と思えますか?

うどん一筋なん十年!といううどん造りに命をかけるという職人さんも

このうどんの国の讃岐にはチラホラ数は少ないですが、いらっしゃいます。

そのようなお店には当然の事ですが、うどん以外のメニューはありません。

しかも、釜あげ、ざる、ぶっかけ程度のお品書きしかないところは、

正にうどんの味だけで勝負しているお店です。

歯科治療についても、同じだと思っています。

私の診療所では、毎日インプラント治療とセラミック治療を行っています。

丁寧に、患者さんの各々の個性と体質にあわせた治療をするので

1日に大勢の患者さんを椅子に列べた治療はできません。

私が今の診療所を構えるに際して、歯科のユートピアを創ろうと云う永年の夢を実現させました。

丁寧な歯科治療だけの専門である努力は惜しみません。

常に患者さんの側に立った確実な歯科治療を心がけているのが、私の数少ない取り柄だと思います。

医療教育

日本歯科大学 校舎写真

春が来れば新学期が始まり、私の母校での講義や実習の準備に追われます。

校門にて私の姿を見つけた学生さん達は、誰彼となく駆け寄って来て

私の手から鞄を取り上げて、医局まで運んで呉れるのも恒例の行事となりました。

若い歯科医の先生方にとっては、私は恐い存在なのだそうですが、

努めて学生さん達へは優しく接することを、心がけています。

専門的な教育は、自己顕示欲を満たすためのモノではありません。

客観的に科学の根拠を、学生さん達の血肉となすためにあります。

それは歯科の専門職に就いた人への講義でも同じです。

その辺りは、素人の介在する余地はない位に厳しいものです。

医人教育は遊びではありません。

聞き手の感想などはさむ余地もないと思っています。

これが私の教育論です。

近況報告

今春、小学校へと上がる末の娘が、金魚の糞のようにくっついて

幼稚園から下校するや否や、私の院長室に籠り、

私のタブレットを器用に使いこなしてアニメにご満悦!

が、機械音痴の私としては、これは大変迷惑な話で、

機械の何処を押せばブログを書く項目になるのかサッパリ判らず、

娘の下校を待って、娘のアニメ鑑賞の合間で

娘にお願いしてブログを書く始末です。

銀行のATMもろくに使えない程の機械音痴の程度は、

診療所に勤務して4年になるスタッフもヤット理解出来たようです。

そもそも歯科の治療に、そのようなモノは関係無いと、

パソコン上の画像もスタッフがキチンと準備してくれるので、

仕事本体には、無関係なことも私が機械の操作を一向に覚えようとしない理由かもしれません。

この処は、時間に追われまくってが、本音です。

色々な歯科医院を渡り歩いて、私の診療所へ辿り着いて下さった事に、

物凄い重みを感じて患者さんと接しています。

そもそも歯科治療は、理論や理屈も大切ですけれども、

最後は腕と手指、感性がモノを云う性格をもちます。

狩人の感性を研くのが歯科医の一番の要であると、日々の患者さんを拝見しながら感じます。

このような数十年を過ごしてきた私は、相当の頑固者であると自覚しています。

私の診療所へ見学にお越しになられる若い先生方は、後を絶ちませんが、

歯科一筋で過ごしてきた私にとっては、専門職である歯科医師がどうして歯科一筋でおかしいのか?は

サッパリ理解できないのですが、単細胞であるから難しいことは考えずに済んだのでしょう。

今、私の横でウダウダ言っている娘も、なかなかの頑固者で、

親父の血を完全に引き継いでいると感じながら認めています。

インプラント治療をうどん屋さんに例えるならば

インプラント治療を他の歯科医院でお受けになられた患者さんが、この処やけに多くお越しになられます。

皆さんが一様に、こんな筈じゃなかった‥‥。

骨と結合したインプラントは、容易には取り外すことは出来ません。

ですから、インプラントはそのままで、歯茎に接するアバットメントと言う部品を作り直す事からが修整の第一歩となります。

そもそも、アバットメントの設計に修正が必要と言うことは、

インプラントの打ち込み位置に不備があると言うことです。

このような治療を行う際に、内心では患者さんが気の毒になります。

讃岐はうどんの国です。

皆さんが其々に、好みのうどん屋さんが在ろうかと思います。

本物の讃岐うどんをと、店主が腕に自信ある処には、うどん以外のメニューが無いことを、

讃岐に生まれ育った方々はとうにご存じのことでしょう。

壁一面にイッパイのお品書きの店に、旨い店はないと私は思っています。

1日の大半を、イヤひと月の大半を、数で勝負の保険の治療の合間で、

確実なインプラント治療を出来るほど、インプラント治療を舐めちゃいけません。

県外へと出でて、うどんを食しガッカリした経験のない讃岐の人は居ないでしょう。

インプラント治療で四半世紀、携わってきた私です。

最近の他所のインプラント治療に接し、ガッカリを通り越して、ナサケナイ想いを感じています。

餅は餅屋、うどんはうどん屋で、インプラント治療も同じことです。

三枝デンタルオフィスの流儀

もう既に20年近くの患者さんである〇〇さんは、

一昨年の秋に胃癌の手術を受けてからはそれはそれは随分の落ち込みようで、

私の方も特に治療することはないのですが、口腔清掃と称して

〇〇さんを自宅から外へと出させる機会を作ろうと毎月、診療所へ来ていただくように努めておりました。

昨年の年末に、もう一度の手術を受けられてから初めての来院が今日でした。

で、一通り診察してから〇〇さんへ私がお声がけした台詞です。

ー どういんだ!なじらね? ー

こう言う時に私は越後弁が出てしまいます!

ー どうしたん!なんで?〇〇さん!

  お口の中の粘膜の毛細血管は確りと勢いあるのに!

  神様から頂いた寿命は未々あるんよ!

  一杯、患者さんを見送った私だから判るんよ!未々生きてられるよ!

  未だ寿命が在るのに、死ぬのを今か明日かと恐がってどうするん!

  歯しか出来ない私が、グニャリと折れた時に支えてくれるのが私の患者の務めでしょうが!!! ー

 帰りに、私の観音様の脇に置いたる亀の御守りのキーホルダーを手渡して、

ー 亀の万年の寿命の10年だけでも頂いて下さい!お会計は今日はツケにしときます!来月元気で持って来て下さい! ー

アノォ?お支払はしたいんですけど?でも、御守りはありがとう、先生。

イヤイヤ、会計は来月だと無理に突っぱねて手を振ってお送りしました。

私のこのヤリトリをどのようにお感じになられるのかは判りません。

が、これが三枝デンタルオフィスの流儀です。

近況

この小柄な身体に与えられた、たった24時間と言う短すぎる1日がアッという間に過ぎていくのに対応できていません。

この処、東京や遠方より面識のない若い歯医者さんたちから頻繁にメールを頂くようになり驚いておりました。

話を聞かせて欲しい、見学に来たいのですが‥様々ですが、

私は出来る限りの協力はさせて頂く積もりです。

これからの歯科を背負って行かれる若い方々ですから。

私の財産

その時の勢いに押されて、或いは成り行きなりで動いた時には、録な結果を生みません。

物事を眺めるにしても、全方向から、加えて現状、過去の挙動、将来的な事柄についてを配慮しなければなりません。

将来的な事柄については、願望ではなく、予想でもなく、確定的な予知でなければなりません。

その様な意味合いに於いて、歯科医学とは最も適したオンザジョブトレーニングの実際です。

その修得度合いによって、歯科医の治療成績は大きく異なります。

ズット歯科の仕事に向かい合って得た、私の財産です。

仕事の性格上、気持ちを患者さんなり治療に対して注入することが

とても大切であることに、当たり前の話なんですが、気づいたのは歯科医の新人時代の頃です。

情のない仕事はしたくありません。

情熱に溢れた歯科医でありたいと思っています。

医者が患者さんへの一言一言は、とても注意する必要があります。

約束を果すことが大切だからです。

確りと診たてて、耳障りの悪い事柄も正直にお話しすることが

将来的な信頼関係が構築できるからです。

毎朝、朝刊の占い欄に一喜一憂する私です。

頭では判っているのですが、つい気になって、その日の有り様に期待したり、警戒したり。

自分でいうのもなんですが、私は信仰心のアツい方だと思います。

神様、仏様の存在も信じています。

科学を越えた不思議な力の存在も信じています。

が、科学を越えた力とは眼には見えない、耳には聞こえないものであり、

根拠に裏づけられた確たるものが科学であります。

私が自分以外の人と関わる場合、特に仕事に於いては

科学に裏づけされた方法、言葉しか用いません。

それがプロフェッショナルであると信じています。

但し、決して眼には見えない、耳には聞こえないんですが、

気合いなり、情の大きさも重要なエッセンスになるのは間違いありません。

決意なり、約束なり、情の大きさに結局の処は左右されるのだと思っています。

そのような意味合いから、私は融通の利かない石頭の古い人間なのかもしれません。

受け取り方は様々ですが、一本の筋の通った人でありたいと思います。