日別アーカイブ: 2015年10月29日

プロとしての責務

若い時分には焦りが在りました。

将来、歳をとって仕事の勢いが落ち、若い歯医者に負けたらどうしよう。

そんな想いで、自分に鞭を撃っての四半世紀だったと思います。

歯科の何たるか❗は、正直に言って今でも判りません。

其ほどに歯の世界は奥が深く、魅力に満ちています。

今では他の歯科医のことには関心がなくなりました。

もっと、もっと上手になって、歯と自分が一体と成りたいという想いで一杯です。

未々、未熟者だと感じて、日々を反省と、悩んで過ごしています。

が、其れとは裏腹に想うところ沢山ある歯科の現状です。

私の診療所へお越しになられる患者さんは、他での再治療を希望する方ばかり。

嫌でも、何処其処の誰それの技量が判ります。

で、だらしねぇな!と。

仮に私の診療所に勤務する歯科医であれば、私の鉄拳が跳んでいる事でしょう。

未々、ヤれる!と、安堵しているのは正直な処です。

私は手持ち無沙汰の時には、石膏棒を彫刻刀を使っての歯の彫刻に勤しんでいます。

此れは私らプロの責務だと思います。

治療は本番。

患者さんを診る他の時間には、練習に勤しむのがプロだと思います。

研修会に出席するのも刺激を受けて、それはそれで必要な事でしょう。

しかし、プロ野球の選手は日々を自己研鑽で、凌ぎを削っています。

野球セミナーなるものがあって、月に1度程度通って、半年位の講習の後、

修了証書を貰って一人前になって喜んで。

それでジャイアンツの一軍に成れますか?

あり得ないですよ。

私ら専門職は、日々の患者さんが一番の先生です。

その先生を疎かにするから、患者さんが来ないんです。

セミナーを受けても、実際の現場に還元出来ない。

此れは、自らの姿勢に問題があることに気づかなければなりません。

あぁ!情けない!

出勤前のバタバタしている時に流しっぱなしのテレビから、

インプラント詐欺の歯科医が逮捕!と言う声が聞こえてきて、想わず手を留めました。

歯科医院の外観からも、歯科医の顔からも、下町の庶民的な雰囲気が伺えます。

逮捕された歯科医には全く同情の余地はありません。

が、近所にお住まいの、この歯科医院に通っていた患者さんの声として

ー 腕は下手だったけど、近いから通っていた ー

これにはがっかりしました。

やはり歯は軽く観られてるんでしょうか?

この患者さんも、この歯科医にインプラントの治療を受けたそうです。

私には、何がなんだか判らなくなりました。

和の心

相続税などの税制改革の影響だと思います。

俗に云う超富裕層の海外への移住の話題を新聞や週刊誌などで目にします。

私の患者さんの中でも、生活の拠点を海外へと変えられた方が大勢に居られます。

定期的なプラークコントロールは、歯周病専門医のクリニックにてとお伝えして、

海外へと送り出すように努めてきました。

が、噛み合わせの微妙な加減については、

やはり日本人特有のあやが在るように感じています。

【噛み心地】なりの日本人特有の表現方法からも、

繊細な国民性であることが判ります。

今日も、その様な海外へと移住された患者さんが帰って来られ、来院されます。

どうやら虫歯の治療であることが予想されます。

日本人は何処に行っても日本人なのでしょう。