月別アーカイブ: 2015年11月

歯科医の苦悩

私の歳にもなれば、患者さんの心の内側は手に取るように判るもんです。

其れが経験と云うもんだと思います。

特に初診でお越しになられた患者さんなどは、

私との人間関係は構築できていない訳です。

私が笑いながら、患者さんに語る台詞があります。

歯医者への感情は、例えるならば、鮨屋、弁護士の類いと同じなんでしょう?

どれ程の腕前か判らない!

いくらか採られるか判らない!

私は常に、逆の立場になって物事を観るようにしています。

私が患者さんの立場であれば、そう想いますもの。

少しでも、治療を受けて頂きたい情況を提供する気持ちは強いのですが、

はなから疑う気持ちが強いお方も、たまに見受けられます。

こういう時は、セツナイですね。

私らは、何も悪いことをしようなどといった気持ちは毛頭ありませんので。

ヒポクラテスの誓いがあります。

患者さんの不利益になる治療方法は絶対に選択しないという誓いです。

歯は命に関わることがないと、はなから軽い気持ちで来られる患者さんには、

辛いセツナイ想いを遺します。

インターネットで、簡単に医療情報を入手出来ますが、

其れは氷山の一角でしかありません。

にわか知識ほどに恐ろしいモノはありません。

プロフェッショナルと素人との間の大きな壁は、インターネット情報では解決できないのです。

私はプロフェッショナルだと云うつっかえ棒に支えられて、日々を患者さんの診察に従事しています。

私は歯医者の仕事を楽しんで過ごしています。

が、反面にセツナイ想いも味わっています。

医師になることよりも、医師であり続ける事の方が難しい

大学の庶務課にお願いしていた書類が届きました。

昭和56年度の日本歯科大学入試要項と受験生向けのパンフレットです。

医の博物館を併設するだけの事はあり、よく残っていたもんだと感心し、

また、ご足労をお掛けした職員の方々に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

この入試要項とパンフレットは、私が受験時に手にしたモノと同じです。

表紙に大臼歯の透過写真がデンと掲載され、

頁を進めると、中原 実学長の肖像写真と共に、

あの【歯学は私学によって創られた】と云う台詞と共に本学の沿革が記載されています。

これが私と日本歯科大学との接点の第一歩です。

私が日本歯科大学の第1学年の学生に担当しているプロフェッションと云う科目は、

今年までは後期の10月に行われていました。

来年度からは前期に移行すると聞かされて、慌てて準備しているのです。

歯学部に入学したてホヤホヤの学生たちへの講義など経験ありません。

で、当時の自分に経ちかえってと思い立ち、資料集めに取り掛かったのです。

私の前に座る学生諸君は、現在は受験を控えて不安な日々を過ごしていることでしょう。

ただ、私は明言します。

医師になることよりも、医師であり続ける事の方が難しい。

頑張れ、受験生!

一服

朝の10時から始めて、今は丁度1時です。

仮の歯2本の調整を行っていました。

歯科医ならビックリするでしょう。

時間がかかり過ぎ!ではと。

私にとっては、当たり前なんですが。

この処が、セラミック修復の勘所だと思っています。

スタッフの宮田君をランチにでもと思っていましたが、

残念ながら、次の患者さんは1時半からのアポイントメントの様です。

インプラントの歯型採りの患者さんが、二人ほど続いて。

今日は6時をまわる事でしょう。

私の診療を見学される先生方は、皆が驚かれます。

お一人の治療の時間の中で、すること満載で、結構と忙しいんです。

今日は、末の娘の誕生日です。

帰りにケーキを買ってと、そんな事を想いながらキーボードを叩いています。

歯周外科手術

上の真ん中の2本の前歯には仮歯を入れています。
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仮歯と言っても、取ってつけたようなモノは、私の美意識に反しますし、

仮の歯での微妙な加減から、将来に生じるであろうトラブルを予想し、

形なりを修正して、最終の完成形態に反映させるのです。

仮の歯は、私の治療にとっては大変に重要な意味合いを持っています。

歯茎に僅かに炎症が診られます。

少しどす黒いでしょう?

このまま最終歯にすると、将来に必ず歯茎は黒くなります。

この炎症の原因は、歯の削り方が正しく行われていないからです。

前に治療した先生の手によってセラミックのクラウンが入っていました。

そのクラウンを外して、仮の歯を入れて、歯並び全体を治すために歯列矯正治療を行いました。

矯正治療は、兵庫県ご開業の畑 豊先生にお願いしました。

そのあと、再度、仮の歯を作り治したのが、この写真です。

被せる際に、歯茎の嫌がるラインまで削りこんだら、このような歯茎になります。

必ず歯茎は黒ずんで、被せモノの境目が露出します。

患者さん的には、なんやら臭い感じを味わう?のも、そのためです。

で、歯周外科手術にて、辻褄をあわせます。
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歯茎が治ってから、丁寧に削り治して、本歯に移行します。

このような手順にてクラウン治療を進めます。

因みにこの患者さんは、スタッフの宮田君です。

日々過ぎていく

DSC_0102今年は、時間に追い立てられてアッと云う間に終わろうとしているような気がします。

今年の目標は、ほぼ達成出来たと思っています。

去るひと在り。

新たな出会い在り。

来年の予定なり抱負は既に決まっています。

攻める処はトコトン進み、

待つ時、退く時の判断の狂いのないようにと心掛けて

と、自身を戒める積りです。

須磨の海岸からの瀬戸の日暮れ時の光景に、

心穏やかであろうと。

さて、今日も大きなインプラントの手術です。

頑張ります。

座右の銘

今までに随分と多くの方々と知り合いました。

生きていく上に於いても、

歯科の道を進むに際しても、

多くの方々からの影響を受けて今日に至っています。

其々の方から座右の銘を伺った記憶があります。

その言葉は何れも、心を打つ響きがあり、納得させられるモノがありました。

私の仕事に関係する言葉として特に印象深い言葉は、

今は亡き日本歯科大学口腔外科学教授であられた加藤譲治先生の座右の銘であった

【鬼手仏心】であります。

この言葉は、私が仕事をする上に於いて、常に心の拠り所となりました。

歯科以外のジャンルでご活躍されて居られる方々の言葉も、それはそれは心響く味わいあるものも多かったように思います。

【夢こころ】で、今まで私は駆け走ってきたように思います。

既に50を過ぎた私ですが、未だに少年時の心は棄ててはおりません。

私が最近、取り組んでいる虫歯制御の研究も、頑固なまでも頑なに守っているインプラント治療の原則も、

歯で困った人を無くして、美味しく、幸せに過ごして頂きたい。

親から受け継いだ大切な歯を守る番人で居たいという、夢の心で無我夢中で、

歯の本当の声を聞きたいと願っていたからだと思います。

私の【夢こころ】は、生涯、膨らんでいくことでしょう。

来年は

クリスマスのメロディーが街角を通るすがら聞こえてくる季節となりました。

来年は随分と講演の予定が入っています。

最近では億劫になり、大学以外での講演は控えていました。

私の専門は歯科保存学です。

私のインプラント治療も修復治療も、何から何まで歯科保存学見地で成り立っています。

其処が私の強みだと思っていますし、

歯科保存学は歯学の王道であるとも信じています。

私の診療所へお越しになられる患者さんの大半が、インプラント治療と審美歯科治療です。

そもそもが最初に小さな虫歯になった時に、キチンと確かな治療を受けていたならば、

歯を失いインプラントをする羽目にはならなかった筈だろうとか、

綺麗に被せていたならば大掛かりな審美歯科治療など必要なかったのにと、

日々、感じて過ごしています。

他人のやり直しで日々を過ごす虚しさは、語るに辛いモノがあります。

私の夢は虫歯を叩きのめしてやっつける事です。

そうすれば、歯の治療も最小限で食い止めることが出来ますから。

日本歯科大学の生物学教室の岡先生に一肌脱いで貰って、

その研究の仕上げにかかって貰う運びとなりました。

私が臨床でのデーターをフィードバックして、

岡先生には基礎的根拠を実証して頂こうと。

岡先生の人柄から、私は秘かに其れを目論んでいたんです。

基礎的研究には、キレる頭の回転と、何事にも囚われない独創性、で、実直な性格という、

非常に矛盾する二面性を持つ研究者が必要です。

岡先生は、正にその様な人だったのです。

ただ、大変だと思います。

私が後ろから追い立てまくりますから。

先生も、其れを察して、ゆっくり出来るのは今だけであろうと、恐れをなして居られるでしょう。

来年は、私の先生も大忙しの1年になるに違いありません。

平凡な毎日

手術が終わって、張りつめた気持ちを解すために

マリリンと中央公園へと出かけていました。

穏やかな日差しです。

優しい気持ちに帰って、診療所へと戻りました。

これからは、全ての歯をインプラントを土台にした人工歯の歯型採りの治療です。

今日は取りあえずは、上の顎だけの型採りになりますが、凡そ2時間はかかると思います。

で、再び私はピーン!と、張り積めて、

その次の患者さんのダイレクトボンディング修復で、遊び心を満喫して、

帰路につく予定です。

その間マリリンは、院長室でお利口に私を待ってくれています。

帰宅の際は、其れは心得ているようです。

嬉しくて嬉しくて、私が着替える間、院長室の中を跳び跳ねて、最後にドアの前で待ってくれています。

単純な平凡な毎日を過ごしています。

社会貢献の中での歯科治療

私の歯科治療に関する基本的な考え方をお話しします。

歯科治療は、社会貢献性を一番に考えなければなりません。

その社会貢献をどの様に捉えて、どのような形で実践するのかは

其々の歯科医師個人の考え方で変わってくるのでしょうが、

先ずは、歯科医師自身が自己の煩悩や欲得を封じて、人の幸せを一番に考えるべきだと信じています。

地域に密着した歯科治療、予防歯科を中心にした歯科治療、

難症例と云われる困難な症例を治す特殊歯科治療、

一般の方々への歯科啓蒙活動、そして教育、研究など、

様々な形こそあるものの、

個々の歯科医師は、社会の中での歯科を通じての貢献を

今一度、考える時が来ています。

私からのメッセージ

私はヤタラと人前に自分の顔を曝す事を、本来は好んでいません。

また、私の診療所を広告で宣伝する事も好んでいません。

が、ある時からこの私の流儀を180度、反転したのです。

これは母校の学生や若い先生方によく私が口にする台詞なのですが、

歯科医師と歯医者は、まったく別物である!

歯科医師とは単に歯科医師国家試験に合格した者でしかありません。

歯医者とは、患者さんの人生を小さな背中であっても生涯、背負っていくもんだと思っています。

決して自己の技術に奢る事なく、寡黙に決まり仕事に精を出す、打ち込み仕事に従事するもんだと思っています。

私の診療所にお越しになられる患者さんの口腔内の悲惨な状況に

頭を抱え唖然とする毎日を頻繁に経験するようになりました。

ホームページ等の広告媒体の上手なだけの歯科医師の仕事の結果の結末を

身をもって認識したからです。

広告の上手な歯科医師と、品格ある治療を行う歯科医師は一致しません。

元来、私は負けん気の強い質です。

金儲けの好きな自称名医を叩きのめしてやろう❗と、

私に火がついたんだと思います。

歯は大切な身体の一部です。

その治療に携わる私らは、精進に精進を重ねても足りることはありません。

一度、こうと決めたら徹底的にが私の利点でもあり欠点でもあります。

私の診療所は、歯の番人であろうとの私の決意の結晶であります。

それ故に、私は自己主張の場を広く求めるようになりました。

本当に歯で困った時に思い出して下さい!が、

私からの真のメッセージです。