月別アーカイブ: 2016年6月

私の意味

来月から和田精密歯研㈱の主宰を始めとした

私の講習会が始まります。

封切りは和田精密発祥の地で在り、私のホームグラウンドでもある

高松市から始まります。

受講の対象者は40歳未満の歯科医師と、

その同伴の歯科衛生士とさせて頂いています。

アチコチからのお申し出に

いいよ!と、

気軽にお引き受けさせて頂いたものの、

実は講演の内容を私は決めかねていたのです。

で、

受講者の先生をご紹介して頂き、

週末に電話にてお伺いをたてたのです。

私と同窓であることから、

話しに華が咲きました。

相手の聞きたい内容に遇わせるのが

講演の成功の秘訣です。

妹ぎみも本学の卒業とのこと。

朝メールが届き、

両君ともに、

数日後にお越しになられる運びとなりました。

若い歯科医に手助けするのは、

私らの職務です。

先週末も、

新宿開業の若い綺麗な女医さんから小包が。

はて?

【先生、私の削った歯の模型の添削をお願いします!】

はい、はい、と。

若い綺麗な女性って得だと思います。

そんなこんなで、

若い歯科医に囲まれて、

私は幸せなのかもしれません。

歯科にお役にたてることが、

私の意味だと思っています。

 

歯の保存

診療所のドアを開いた瞬間に、

私は別の人間に生まれ変わります。

身体全体の皮膚が張り積めるのを意識します。

何時からか覚えていません。

私が歯科医になってから今日まで至った時間は、

もう私には残っていません。

むしろ、その半分の時間も残っていないでしょう。

精一杯に努めよう!

上手になりたい、上手になりたいと、

自己研鑽してきましたが、

今は、

歯を残してあげたい!

ただそれだけを念じて白衣を纏っています。

歯科医の本来の仕事です。

波間にて

出来るだけの精一杯のことをし尽くしたけれども、

真逆の結果なり評価を受けたときには、

自分の力不足であったと、自己評価しよう。

他人のせいにするのは止そう。

マリリンと長い間、

堤防から砂浜越しに海を眺めていました。

瀬戸の凪ぎは割れた硝子の粉のように眩しかった。

引き潮から満ち潮へと変わると、

風の匂いも変化することに気がつきました。

で、

波が

砂浜の上の折れ枝、塵、足跡、

いっさいを隠して消し去った後、

静かな押し波が堤防の真下までに。

リズムある波音が鼓膜に響きます。

マリリンは、

眼に風を受けて瞬きばかり。

空は薄い水色で、

遠くの瀬戸の島々が白く、

私が幼い頃に観た光景と変わってはいません。

変わってゆくモノは、

私のような不器用な人間には

追いかけようもありません。

息子の意見

久し振りに寝つきが悪い夜でした。

診療所が休みであることから、仕事疲れが無いからかもしれません。

息子に電話を入れました。

出来の悪いヤンチャな息子です。

私の悩みの四分の一は、

間違いなくこのヤンチャ坊主が原因です。

が、

気がねなしに話しが出来る唯一の男が

このヤンチャ坊主でもあります。

【父ちゃんは少数派やからな】

そうかもしれない。

【勤め人が大勢で飲んでる酒場は雑音でイライラするやろ】

そうかもしれない。

【飲み屋で嫁さんの悪口言う奴、嫌いやろ】

そうかもしれない。

【飲み屋のネェちゃんもウザいやろ】

そうかもしれない。

【経済や政治の話しも嫌いやろ】

そうかもしれない。

【バラエティ番組もワイドショーも嫌いやろ】

そのとおり。

【本格的でない、いわゆる芸人って嫌いやろ】

そのとおり。

【父ちゃん、それで良いやけど、浮くわな!】

大きなお世話。

【父ちゃん、馬鹿なって遊んだら?】

何をせよと?

趣味を作ろうにも、

私独りの身体ではありません。

趣味を持つことがズッと私は恐かったのです。

本業が【オロソカ】になってはならないからです。

身体の手当てにも時間を要するようになりました。

少しでも倹約して、

皆を大きくしなければならないという、

心に大きな縛りもあります。

歯の仕事に就けたことの幸せだけを

感謝し噛み締めて、

ズット過ごしてきた不器用な人間です。

ヤンチャ坊主の見本であった私が、

自力で自分を太い縄で縛って、

家長の役目を噛み締めて来たんです。

この縄が、

グサッとキレたら、

一番に困るのは身近な家族だからと。

 

 

マリリンと私

犬の朝は早い。

夜明けと共に目覚めるのは

野生の時の名残かもしれません。

で、

一緒に自宅前の公園から近所を散策するのです。

外気は少し肌寒く、パーカーがないと震えるほどの早朝です。

帰り道、何時ものコンビニでコーヒーを。

マリリンは外からガラス越しにズット私から眼を離しません。

コンビニから出ると、

ピョンピョン跳ねて跳ねて!

身体いっぱいで、

喜びを表現します。

で、

再び、

一緒に家路に就きます。

眠る時から、テーブルに付いている時さえも、

私の身体の何処かに、

自分の身体を触れさせています。

元来、寂しがり屋の私ですから、

今は同じ甘ったれのマリリンに菅って助けられてと云った処でしょうか。

私はマリリンに頻繁に語りかけます。

たワイもない話しばかりです。

仕事以外では、

私は独りでいることを心がけるようになりました。

変わり者と想われるのが恐いからです。

私のように1つのモノを追求して過ごしてきた人は、

皆、同じような台詞を言っていたように思います。

始終、歯のことが頭から離れないのを、

他人眼では不審に見えるのかもしれません。

工夫に工夫を重ねるって作業は、

さぁ!と始めるものではありません。

それこそ常日頃、寝ても覚めても。

ヒントの種子から

ひょんな事から発芽する事を経験済みだからです。

そんな私と、

丁度良い【間】を保ってくれるのが上手なマリリンです。

今日からまた1週間が始まります。

患者さんの診察と治療は、

大袈裟に聞こえるかもしれませんが、

私の命をかけた戦いです。

神経は張り詰め、

手先から掌、腕、そして肩から足腰は、

仕事を終える頃には、

痺れと痛みで、

私は苦しみます。

額の皮が突っ張るほど、

両の眼をカッと、

見開いて1日を過ごすからでしょう。

それでも私は【歯の仕事】に就けて幸運であったと思います。

さぁ、マリリン帰ろう!と、

一緒に車に向かう日が始まりました。

 

 

もう歯の神経を採るのは止めましょう!歯を守りましょう!

インプラントを治療の中心に臨床生活を過ごして来ました。

インプラントは確かな治療方法です。

ただし、適切な症例選択と確かな手技が必要です。

歯を失って、

色々な歯科治療を受けて、

それでも【本当に困った】患者さんばかり診察させて頂いた四半世紀です。

現実には【もし】と云う事はありませんが、

もし歯を抜かなくて良かったならば、

インプラント治療の必要はありません。

歯を失う原因の大半が歯周病であると云う説は

既に過去のものです。

抜歯の第1番の原因は【歯の根の破折】です。

この原因が【歯の根の神経を採る】ことが発起点になるのです。

歯科医学は進歩し続けています。

仮に進行した虫歯であっても、諦めてはなりません。

徹底的な【保存】治療が、

患者さんの歯科への信頼を取り戻せる大きな武器となるでしょう。

私の診療所では、通算17ヶ月、

神経を殺さず、採らずの記録更新中です。

家人と娘たちへ伝えなかったこと

先の大戦の際に、

沖縄へ片道燃料で海上特攻の海へと突撃した【戦艦 大和】

艦長であった伊藤 整 中将の家族へ宛てた遺書の手紙の中での

幼い娘たちへのお願いの言葉に

1本の糸の長さと太さを

感じざるを得ませんでした。

【お母様のような御婦人におなりなさい】

失敗を糧に、

縁あって出会った今の家人に対しては、

伊藤 中将の心持ちを常に心のど真ん中に置いて、

接してきたことに偽りはありませんし、

現在も、その様に思っています。

ただ、

私には運命的に出会った【歯科の仕事】を全うしなければなりません。

それが私の運命の定めだからです。

定めを背負う男には、

戦う相手や対象が多すぎるのです。

歩む私の前に道はありません。

掻き分けて、押し倒して、

転んでも、怪我をしても、

前へ前へと進まなければなりません。

この様な定めを自覚して生きる男と出会った事は、

普遍さを尊いと考える人であれば、

不幸な出会いであったと言わざるを得ないと。

随分と年の離れた家人ですので、

私が先立ってから独りで多くの時間を過ごし、

世間と接点を持たねばならないのが事実でしょう。

ですから、私にとっての家人は娘のような意識で接して来ました。

それが良かったと思い出す頃には、

私は既に居ないでしょう。

男と女は発する言葉が同じであっても、

言葉の意味は違うのです。

それに気づいた私は、

女家族の家の中では、

ジッと皆の挙動を眺めているだけになりました。

当然、昔男の私には理解できません。

が、

それで良いのででょう。

で、

私は皆に教えておかなければならない原則、規律は

全て聞かせてきたと思っています。

もう私の出る幕はないと思っています。

【お母様のような御先婦人になりなさい】

家人、娘たち、共に考えながら時を重ねていくのでしょう。

 

ひとり息子に伝えてきたこと

私は【しがない】職人でしかありません。

無論、人格者からほど遠い性格です。

現状の息子を評価する意味はないと考えています。

成人を迎えたばかりの青二才ですから。

全てが良い肥やしになるでしょう。

ただ1つだけは肝に命じておいて欲しいと考えています。

【評論家】になるな!

です。

ヘボで下手でも良いから【小説家】であれ。

オリジナリティのない男にはなって欲しくないのです。

それだけです。

また、それ以上のアドバイスできる資格など

好き勝手生きた父にはありませんので。

犬という同志

最初の家人と所帯を持った時に、

二人で黒い柴犬を飼いました。

私の博士論文提出前の多忙な頃でしたし、

当時の私は、

モテるのが【芸人にとっての芸の肥やし】と、

当時は時代背景は、

その辺に寛容でしたので、

家に帰るのは週に数えるほどだったのです。

最近、落語家の不倫での明るい釈明会見があったようですが、

当時は、そんなノリだったからかもと、

責任転嫁ですが。

直ぐ長女が生まれ、

開業し、

慌ただしい暮らしを余儀なくされた事から、

私は、この【クロ】と名付けた柴犬との時間を振り返って、

ありがとうと感謝する気持ちはあっても、

大切に接してやったと云うより、

もっと可愛がってやれば良かったと悔やんでいます。

この最初の家庭も壊れ、

後から来たラブラドールリトリバーのラブリーに対しても

仕事に全力投球の時代でしたので、

結局は同じ始末と云う情けない私。

縁あって2回目の所帯を持ちました。

犬好きな女であったので、

我が家には一気に犬の家族が増えました。

その様な中、

高松市へ越して間もない頃に

マンションの裏庭で拾ったネコの【にゃん太】も

21歳の大往生を遂げ、

ついでラブリーも、

私の帰宅を玄関脇にて待ちながら眠るように

14歳で旅立ちました。

コレは私には相当、精神的に参りました。

ペットロス症候群というんでしょうか?

私はつっかえ棒が無くなりました。

娘たちに常に囲まれていましたので、

気はまぎれましたが。

男の癖に、

院長室でズッと泣いて過ごしていました。

で、

此れでは私は心が潰れてしまうと、

今のマリリンを家に迎えたのです。

現実に、

マリリンしか私には近寄ってくれません。

父は孤独な可愛そうな生きもんですね。

普段の生活は当たり前だと思って、

煩い昔人間の私はむしろ忌々しい存在でしかないのでしょうね。

片時も離れないマリリンが居てくれて良かったと。

DSC_0130

そのマリリンの顔に、

今まで大切にしてやらなかった【クロ】【ラブリー】の顔を重ねて、

身体じゅうを撫でまわっているのが、

今の私の普段の生活です。

【香川こまち】の山田さんの創って下さった

一つめのホームページの冒頭画面に少し手直しが入ったようです。

で、

二つ目のホームページ、これは私の患者さんである多田真奈美女史に

お願いして創って頂いたモノなんですが、

これも現在、手直しの作業に入っています。

山田さん、多田女史共に、

私は仕事人として評価しています。

この二つのホームページに於ける【三枝デンタルオフィス】の見せ方の

色合い、趣は異なります。

が、共通する1点を、

山田さん、多田女史は共同歩調を採っています。

歯科医院を一般のお店に例えるならば、

商品群は、

インプラント、セラミック等などと云った処でしょうか。

私の考えは全く違います。

【三枝デンタルオフィス】の売る商品は、

他でもない、この【私】自身です。

山田さん、多田女史共に、

私の考えに同調され、

私のホームページは制作されました。

人それぞれに感じる【処】は異なります。

その感性を私は大切にしたいと思っています。

歯科医としての人生は駆け走って、

人生を終わりたいと、

常々願っています。

ホームページはバーチャル広告の中でも

リアルタイム感、鮮度を適格に表現できる手法です。

私も歳をとって【おじいさん】になりました。

自分の顔を改めて観て、そう落胆しています。

男前ではありません。

が、

これでも若い時分には、

モテた!モテた!

情けなや!今は、

生活に疲れ果てたんでしょうか?

それでも【歯が大好き】であることには

18の頃から微塵も変わりません。

歯の話しをする時の【私の顔】は面白いんだそうです。

この私の手先の動きが、

患者さんにズットズット喜んで頂けますように。