日別アーカイブ: 2016年6月3日

本当の料理

誤解のないようにお願いします。

私は決して【食通】ではありません。

高級レストランよりも、下町の洋食屋の方を好みます。

高級ワインよりも、ワンカップ大関の方を好みます。

味わいから、思い出が甦るからです。

私は歯の職人です。

だからでしょうか?

いい加減な仕事をする人間が嫌いです。

もっと云えば、

なんのコダワリもない人を軽蔑します。

ただそれだけです。

不味くても、

訳が在るなら、

私は其れは其れで認めています。

今からもう35年は前の話しになるでしょうか?

雪の津々と降る夜は、

人恋しい、

酒恋しいモノです。

で、

大学の近くの【寿司屋】にて、

友人と待ち合わせと相成って。

学生ですから、始終お金がありません。

そんな私ら相手の【寿司屋】です。

店は若い主人独りで、なんとかかんとかと言った塩梅だったのでしょう。

私ら貧乏人でも、

まだ来てくれるだけマシと言ったのが本音の店だったと思います。

黒ずんだ鮪なんて、この店で初めて知りました。

寿司屋へ行って、出きれば寿司は食いたくなかったですね。

この店で、

私は初めて【あんこう鍋】を食しました。

コレは衝撃を受けました!

新潟で、初めて【甘エビ】の味噌汁を食した時も。

仰け反りました。

漁師さんのお食事かと。

私はボンボン育ちでしたから、

懐石料理で育ったようなモノなので。

すみません。

が、今では自らの手で、

これ等の料理を造ります。

一口、口に入れて、

あの懐かしい越後の風景が脳裡に浮かんでくるのです。

これが本当の料理だと、私は思っています。

男の修行

先の日曜日の朝の事です。

日本歯科大学 保存学第二講座 前準教授であった

山口隆司先生と待ち合わせ場所の品川へと急ぎ駆けつけ、

で、

「 三枝、チョックラ蕎麦でもどうだい?」

てな具合で、

【藪そば】の暖簾をくぐったのです。

盛りをひとつ。

あれっ?

思わず席の後ろ側を振り返り、

お持ち帰り用の出汁のラベルを眺めていたら、

「 ヤッパリ気になるんだ?」

と、私に語りかける山口先生。

【藪】が小豆島産醤油はオカシイでしょ?

と、マジな顔で山口先生に問う私。

この辺りの【彩】が判らないのは

大人の男の修行不足。

歯医者の意地

最近の傾向として、

他医院にてインプラント治療を勧められた患者さんが

大勢いらっしゃるのです。

既に歯を抜いてしまってからお越しになられた場合には、

もうインプラントかブリッジの選択をと云う塩梅になるのですが、

運よく、未だ抜歯に至ってない場合に於いて、

ほぼ全般の症例は、歯を残せるのに!

私にも子供が居ります。

出来が良い悪いは別として、

産まれた日から今日までの成長する時々の姿を忘れません。

健やかに育って欲しいとだけ念じて来ました。

患者さんにも、幼い頃が当然在った訳で、

親御さんは、幸せを願っていたことに間違いないのです。

患者さんが親御さんから引き継いだ大切な【歯】です。

安直に抜くなどとは【もっての外】と、

歯医者の意地がガゼンと芽を出して、

で、

マイクロスコープを引き寄せて、

あァ!また私は慢性的な眼性疲労に苦しむのです。