日別アーカイブ: 2016年6月22日

三枝メソッド

ある時期に、私は歯科医向けの講演を控えるようになりました。

人様に教えられるほど、私は大した歯科医ではないと思ったからです。

加えて、

もっともっと逆に自分自身が勉強したいと渇望したからです。

それからの私は歯科医との関わりあいを絶ちました。

毎日の診療の質を更に濃く望み、

文献を漁り、

実験室での手探りの作業。

母校での関わり以外は、

正に自閉症のように歯とだけ向き合っていました。

が、

母校から巣だった若き歯科医が再訪して下さったり、

人と人との繋がりからでしょうか?

気がつけば多くの若き歯科医が集まって下さるようになりました。

私の歯科治療を一言で申し上げると、

【全人的歯科治療】であったと思っています。

インプラント、審美歯科、修復、歯周病治療、噛み合わせ治療。

様々な治療パートが在りますが、

それは単なる【戦術】でしかありません。

歯科治療とは【戦術】の組み合わせであり、

また、

歯科治療そのものは

人の身体のリズムと言いますか、

バランスの中に調和させませんと、

長く患者さんの健康維持のお役にはたてません。

私の独特の治療を若き歯科医たちが【三枝メソッド】と呼ぶ由縁が

此処にあるのでしょう。

私には息子が一人居ります。

息子も将来に必ず歯の仕事の苦しみを味わうでしょう。

私の若き時代に大勢の先人の胸を借りました。

現在でも、そうです。

今の私に出来ること。

お申し出のある処で、

私は自分の歯科治療を隠さずお見せしようと考えが変わりました。

講演会や講習会の予定が思わぬ処からも入って来ています。

この様な時に私は、線引きはしません。

スケジュールと体力と相談し、

選ばずお受けする積もりです。

想うに、

今の歯科治療は治療の体を成してはいません。

ただただ少ない患者さんを増やそうと、

躍起になり、

泥化した体を成しているように思います。

患者さんは賢明です。

本当に困った時には、

技術力と人間味ある医師を判別出来るのです。

治療のための治療ではなく、

患者さんの健康維持のための治療だと云うことを

私たちは肝に命じなければなりません。