日別アーカイブ: 2016年7月14日

現代のお父さん

私は商家の生まれです。

昭和の38年生まれですから、

日本の高度成長期に育ったことになります。

大勢の従業員も雇用していましたし、

労働基準法の厳守以前の、

敗戦から立ち直れ!

より豊かな暮らしのために

国中一丸となって働いていたような時代だったと思います。

歯科の道に進んでからは、

歯科大ってのは謂わば職業訓練大学ですから、

一つの目的のためにひたすらレールに乗せられる日々を

余儀なくされます。

この様な時代を経た私ですから、

今の時代の普遍の定義の一部に、

違和感を覚えることが多いのです。

随分と前の話しになりますが、

帰宅し食卓に着き、

箸をとって、

大根と豚肉の煮物を一口、

で、

味噌汁を一口。

【不味い】

別段、私は美食家ではありません。

が、

沖縄生まれの沖縄育ちの家人に

責めるもの申し訳ないのですが、

日本の味に似通ったモノに

そのときは大いにカチンときたのです。

私は昭和の男ですから。

が、

家人は怒ったのでしょう。

翌朝は

口もきかず、

私の食事だけ用意はなく、

子供たちの登校に車を出す気配もなく、

不貞腐れて、

リビングのソファーで寝そべっています。

体調でも悪いのか?

熱でもあるのか?

と、掌をおでこの持っていくと

手で払いのけられました。

注意すると、

貴方とは相性が合わないからと云う痛切な一言から

風船玉製造機のように次から次へと、

責める!責める!

で、結論は何時ものように家を出て行きます、と。

以前は、ぶん殴ったこともありました。

さぁDVだ!

犯罪者だ!

感情のコントロールの出来ない病気だ!

あぁ!殺される!

手を出した私に弁解の余地はありません。

してはならない事だと反省しています。

が、

女性の口の達者なのには

私ら男は無力です。

勢いある責めの台詞。

こう言えば、ああ返す。

その時の頭脳明晰さ。

で、

第二の矢は、

無視といった手段で、

ジワジワと私を締め上げてきます。

コレは私だけではないそうです。

仕事場では男は戦士。

帰ったら、

居候のようなモノ。

コレもみんなだそうです。

外では私は恐そうに見えるんだそうですが、

本当は、

私も現代のお父さんなんです。

 

繰り返し繰り返しから

朝の一番の患者さんはインプラントの人工歯の歯型採り。

お昼を跨いで、

マイクロスコープを使った根管治療でした。

今は14時過ぎですが、

そのくらい時間がかかります。

歯の先端部の小さな孔から、

根の先の骨にできた炎症の袋を

マイクロスコープ視ながら、

除去していました。

歯のなかも、

綺麗に綺麗に清掃して、

根の先端部の孔を、

MTAセメントにて緊密に填めていました。

この歯は大丈夫です。

疲れたので、

チョコレートを口に放り込んで、

次の手術を待っている処です。

スタッフの宮田君も、

当然、昼食は採れていません。

よく頑張ってくれて感謝しています。

開業歯科医って楽チンに見えるかもしれませんが、

コレが私の日常です。

私の治療は、

歯の治療を受けた方の

云わば【再治療】ばかりです。

県内の患者さんも、

わずかですが随分と増え出しました。

面白いのは、

転院されて来られる歯科医院って、

数件、決まっています。

インターネットで派手な処からの

患者さんが多いのには笑っちゃいますよね。

歯科医学って、

そんな単純な簡単なモノではありません。

毎日、毎日の患者さんを丁寧に診察する

繰り返しから、

大いに学ぶ事ができるのです。

自信過剰は、私らの成長を止めます。

謙虚な気持ちで、

患者さんの状況を見逃さないことが

私らの成長の秘訣だと、

私は、

その様に思って臨床に臨んできました。

歯科医学って、

おもしろい学問ですよ。

女性の時代

私くらいだけかと思っていたら、

共同研究者の山口隆司元准教授も共に、

夜の9時には床に就いて、

早朝に論文などの仕事をするのだそうです。

ですから、電話での打ち合わせは9時前には終わらせますし、

出張をご一緒させる頂く時も、

夕食は8時過ぎた位に

「 三枝 、そろそろココで。明日の仕事に差し控えるからな」

キチンと生活管理をされている事が伝わって来ます。

私らの仕事は、

患者さんを診る大変責任あるモノですから。

なんて偉そうな口を叩いていますが、

昔の私ら二人を知る人は、

今の私らの生活を絶対に信じないでしょう。

私らは、本当に遊んだ!遊んだ!

で、

研究もイッパイした!

そして、

女性にも大いにモテモテだったもんです。

今は本当に優しいオジイチャンになりました。

そい言えば、

昔、私を振った吉澤さゆり女史。

「三枝君、大人になったわねぇ」

と、しみじみ言われるのに、

「私も53ですから。子供ではありません」

先ほども診察中の患者さんが

テレビでの都知事候補の討論の感想を。

「 全く男はダメねぇ!

そう言えば先生も昔は女の人を

イッパイ泣かしたんでしょうねぇ?

ねぇ、宮田さん、そう思わない?」

私ですか?

うつむいて黙って聞いてました。

そうかもしれません。

女性の時代ですね。