日別アーカイブ: 2016年10月7日

私らの研究

虫歯菌の話題に先ほど述べました。

私らの研究は、

細菌の代謝産物として生成された酸で傷んだ象牙質、

これを軟化象牙質と言いますが、

この厄介な軟化象牙質が所謂虫歯ですので、

これを再び硬くする手法に着目しています。

詳細は今は申し上げられませんが、

虫歯を削り取った後に、

私らは、そのような考えの基での手当てをしています。

虫歯の治療

ダイレクトボンディング修復を代表とする【接着修復】は、

それほど新しい治療方法ではありません。

ただ現状もドンドン進歩しています。

接着修復は、単なる修復手法でしかなく、

虫歯菌に対する攻撃的な治療ではありません。

菌を殺菌するという概念は、接着修復とは別のジャンルに入ります。

確かに、虫歯菌を殺菌するという考えに至るのは解るのですが、

ある菌種に対して、それを力でもって制圧しようとすると

必ず耐性菌が出現してきます。

歯周病治療の分野において、

非常に強い殺菌力を持った消毒薬で、

菌を叩くという手法が紹介されました。

浅学の徒は、直ぐに飛びついて、

患者さんに対して【特殊な治療】という触れ込みと、

ここでは控えますが、

耳障りの良いキャッチコピーで喜び飛びついたのは

記憶に新しい現象でした。

口腔の中には多くの細菌が生息しています。

これを無菌化することは愚かな行為です。

役にたつ細菌も多いからです。

人体という生命体は、

多くの細菌と共存しています。

劇薬をもって制圧すれば、

役にたつ細菌まで死んでしまうのです。

則ち、

抵抗力のない身体になってしまいます。

歯に話しを戻しましょう。

歯の象牙質は、硬くはないのです。

私らのような、歯科保存学を専門とする人間からすれば、

歯象牙質は、コラーゲンの集合体なのです。

コラーゲンほど、傷みやすい組織はありません。

できるだけマイルドな手当てをと、

知恵を搾っています。

リン酸溶液や次亜塩素酸などでの殺菌など、

コラーゲン繊維を損傷させるだけで、

保存学の王道から外れています。

現状、虫歯菌に対する治療方法としては、

私らの研究グループが進んでいるようです。

そう遠くない日に、ご紹介できると思います。

 

奥歯のダイレクトボンディング修復

明日から所要にて3日ほど留守にします。

来週の火曜日から診療を再開します。

休日にはブログをアップしないので、

その分のを今日、

患者さんの合間で書き足しています。

奥歯のダイレクトボンディング修復の手順です。

術前です。

広瀬和代殿20160726001

金属の詰めモノにひび割れが起きて、

虫歯が拡がっています。

ラバーダム防湿を施して、

広瀬和代殿20160726003

綺麗に取り除いた虫歯のない綺麗な歯面を

唾液から守り、

キッチリと消毒して無菌的環境下で、

ダイレクトボンディングの手当てを進めてゆきます。

で、

完成。

広瀬和代殿20160803001

セメントでくっ付ける訳ではありませんから、

歯と人工素材の間に、隙間は全くありません。

コレがこの手法の最大のメリットです。

コンポジットレジン修復とダイレクトボンディング修復

時代ですね。

今では奥歯の詰めモノでも、

患者さんは金属色を嫌がるのが当たり前となりました。

私個人としては、

ゴールドの詰めモノが1番信用できるのですが。

私の意志とは反し、

この患者さんもダイレクトボンディング修復を希望されて

私の診療所へお越しになられました。

当初は、

他の歯科医院にてダイレクトボンディング修復モドキの処置を

お受けになられたようです。

濱田純子殿20160826001

で、

直ぐにガリガリ、グチャッと!

アラー!

歯の中で砕けていますね。

はい、これでどうでしょう?

濱田純子殿20160909003

噛み心地よさが全然違います!と、

ビックリされておられました。

コンポジットレジン修復あってのダイレクトボンディング修復だと、

私は思っています。

どう違うんでしょう?

歯科医と歯医者の違いみたいなモノでしょうか?

 

恐い先生

私の臨床のスライドなり、

チョッとした治療に関する話題の中での私見に対して、

痛い処を的確に突いてくる【判ってる歯科医】の一人に、

日本歯科大学 保存学第2講座 前准教授である山口隆司先生が

その代表格と言えると思います。

理論的な処は勿論の事ながら、

行間もキチンと、

この先生は気づいているから恐い!恐い!

ある時、

何故?視えるのだろう?と、

真面目に考えながら、

先生との雑談の興じていました。

で、

私の出した結論。

この先生は、

若い時分から全てのジャンルにおいて

大きな無駄を経験されておられるということ。

則ち、

好奇心の塊からなる探求心から

色んなモノを観て、

実際に体験して、

肌で感じた過去からの積み重ねが

人の厚みを増したのでしょう。

実体験に乏しい人からしてみれば、

この先生の眼力と判断の勘所は

到底、理解は及ばないでしょう。

他人の言うことを聞かない私ですが、

少なくても、

内藤正裕先生、

山口隆司先生、

藤井一維先生、

の、

この御三方は

恐い先生であることに間違いありません。

総入れ歯

83歳の女性の患者さんです。

12年ほど前に、

私が製作した総入れ歯です。

定期検査には必ずキチンと来院されます。

DSC_0152

青色の印記は、

歯科医や歯科技工士が診れば、

恐らく評価して下さると思います。

下の入れ歯との、

噛み合わせの接触点です。

この接触点の付け方に、

歯科医それぞれの考え方や技量が顕れています。

私の総入れ歯が

【なぜ良く噛めるのか】

【どうしてピタリと吸着するのか】

この接触点に、

そのアイデアが仕込まれています。

インプラントも優れた治療ですが、

身体にリスクの全く無い【総入れ歯】を

もっと大切に考えて欲しいと、

若い歯科医の先生方に望むのです。

【総入れ歯にしたら骨が溶ける】というのは大きな嘘です。

それは私の臨床が証明しています。

人工歯の磨り減りも、

高齢者は噛み合わせの力が弱いからでしょうか?

出来上がった時から、

ほら、

そんなに変わってはおりません。

総入れ歯の製作を

全て歯科技工士に委ねてはなりません。

私らは、歯科医です。

歯の番人であることを

忘れてはなりません。