日別アーカイブ: 2016年10月22日

根管治療の極意

指先の器用不器用も当然あるんですけど、

歯科の治療全般において、

特に根管治療なんかは、

歯科医の性格ってのが、

大きな治療の成功の鍵なんじゃないかと、

最近、私は思うんです。

で、

どういう性格かって云うと、

スッポンのように

食いついたら放さない執念深さって云うか、

1に根気、2に根気。

3、4が無くて、

5に根気。

先程、根管治療してたんですが、

根管充填の後のレントゲンでのチェックで、

自分のした治療なんですが、

気にくわない!

直ぐにやり直しですよ。

こういう処は、

私には恥も何もありません。

患者さんへは、

もう一度直ぐにやり直しますって伝えて、

直ぐに再度トライします。

私は歯科の仕事を野球に例えるならば、

確実にバンドで走者を送るという、

くそ面白くない手順が1番大切なんだと考えています。

往年の長島選手のプレーはファンを大いに沸かせたモノでした。

ハラハラドキドキ!

が、

歯科治療は見世物やゲームじゃあありませんから。

特に根管治療なんかにおいては、

根気が全てだと思うんです。

マイクロスコープは当然使いますが、

使えば良いってもんじゃない処が、

根管治療の面白さでしょうか?

プロフェッショナルの本来の仕事

初診の患者さんの口腔内を診察しながら、

歯科医の職域の中で、

本当はとても大切な勘所なのですが、

スルーされている箇所を診るにつけて

落胆する機会が増えました。

それは【予防】の概念と、その実際です。

プラークコントロールとは、

歯磨きトレーニングと、

歯科衛生士による歯石除去と、

それに引き続くルートプレーニングという

歯の根の表面の研磨だけではありません。

患者さんの歯質の個体差を見つけ、

患者さんの唾液の分泌の個体差を見つけ、

患者さんの噛み合わせの個体差を見つけて、

口腔内の衛生管理に努めることです。

口腔内には様々の微生物が生息しています。

これを単に【不潔の基】と決めつけて、

徹底的に排除する行為は、

生命体を知らない無知なる歯科医モドキです。

【抗菌】という安心感に頼った日常生活のために、

人間は本来の抵抗力を失いつつあります。

清潔さも度を越せば、

生命体に危険信号を灯します。

今ではありふれたアトピーですが、

私の幼い頃には、

稀な【病気】でした。

どんなにどんなに強い殺菌材に頼っても、

生命体は微生物の恩恵を蒙って生存していますから、

それは自己虐待でしかありません。

と言って、

不潔を推奨する積もりは毛頭ありません。

この【さじ加減】を工夫し、

患者さんに理解して頂き、

治療にも採り入れることがプロフェッショナルの本来の仕事です。